神奈川工科大学

神奈川工科大学が、3Dディスプレイの新方式「2x3D」の開発に成功――2Dと3Dを同スクリーンで上映

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急速に普及しつつにある3Dディスプレイにおいて、2Dで視聴したい利用者と3D視聴したい利用者が、同時に同じスクリーンで映像視聴することは不可能であった。神奈川工科大学はこの問題を意外な方法で解決し、その研究成果をこのたび公開する。

 神奈川工科大学情報学部情報メディア学科の白井暁彦准教授および谷中一寿教授らは、3Dディスプレイにおける新方式を提案し、このたび一般に向けて初公開する。

 現在、映画・TV・ゲームを中心に急速に普及しつつある3Dディスプレイだが、2Dで視聴したい利用者と3D視聴したい利用者が、同時に同じスクリーンで映像視聴することは不可能だった。

 同研究グループは、偏光投影型の3Dディスプレイとハードウェア的に互換性のある方式で、2Dで視聴したい視聴者と、3Dで視聴したい視聴者が同時に同じスクリーンを見ることができるディスプレイ方式「2x3D」(ツーバイスリーディ)の開発に成功した。

 従来ステレオ立体視は、右目用映像と左目用映像を、それぞれ異なる偏光フィルタを装着した2つのプロジェクタから投影。それぞれの光を打ち消す偏光フィルタを右目と左目にメガネとして装着することで成立しているが、「2x3D」では、偏光フィルタを通して観る必要があるのは右目用映像のみで、裸眼(つまりメガネをつけていない状態)では左目用の映像が視聴できるように特殊な映像生成アルゴリズムを使用している。裸眼では2D映像として左目用映像を見ている状態となる。
 この技術は、3Dディスプレイを利用した「多重化隠蔽映像」における長年の研究と、ゲームなどに利用される高速な映像生成のためのハードウェアおよびソフトウェア技術の融合で実現している。

 「2x3D」が現在の映画館に普及すれば、2D/3Dをそれぞれ別の映写室で上映する必要がなくなる。これにより子どもや眼鏡使用者など、長時間の3D視聴に難がある利用者が気軽に同じ映写室で映画を見ることができるようになり、いつでも2Dと3Dを切り替えて、多人数が同時に視聴できる。映画館側のコストと映画視聴者側の両側において利益がある。また両眼に使用していた偏光フィルタが片眼で実現できるという利点もある。

 動画による解説(英語):http://www.youtube.com/watch?v=8UMpx56lMT8

 同研究は専門家向けに、日本VR学会および国内最大のゲーム開発者会議であるCEDEC2012で発表している。CEDEC2012においては、参加者が選ぶ最高の賞である「インタラクティブセッション・大賞」を受賞した。

 海外では、11月末にシンガポールで開催される世界最大のCG・インタラクティブ技術の国際会議SIGGRAPH ASIA 2012において採択難度の高いデモ展示セッションである「Emerging Technologies」での採択が決定している。

 なお、同研究はNECディスプレイソリューションズとの共同研究であり、一般向け初公開として国内では10月25日~27日に日本科学未来館(東京・お台場)で開催される「デジタルコンテンツエキスポ2012」にてNECブースにてデモ展示を行う(参加・体験無料)。

▼本件に関する問い合わせ先
 神奈川工科大学 工学教育研究推進機構
 〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
 担当: 山本 博一
 TEL: 046-291-3218
 E-mail: scritter@shirai.la (プロジェクト直通)