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生物製剤研究所の技術が、ベトナム初の「国産麻疹ワクチン」の製造に貢献──学校法人北里研究所

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5月21日、JICAのプロジェクトを通じた生物製剤研究所の技術協力により製造された「麻疹ワクチン」のベトナムでの販売が、同国政府に承認された。今回開発された「麻疹ワクチン」は、ベトナムで初めて世界保健機関(WHO)の医薬品適正製造基準を満たすもので、品質の高さも評価されている。なお、今回のワクチンは日本から供給した原液を製剤化したものだが、さらに、早ければ年内にも、種ウイルスから製剤化された麻疹ワクチンの販売が、同国政府から承認される見通しだ。

 学校法人北里研究所 生物製剤研究所は、人体用、動物用の生物学的製剤(主としてワクチン)の開発、研究、製造ならびに供給を主たる業務とする研究機関である。1915年にコレラワクチンの製剤化に成功して以来、今日までに多くのワクチンや血清、トキソイド、診断薬などを開発・供給し、感染症の予防と治療の一翼を担ってきた。
 
 ベトナムでは、乳幼児死亡率の低減および感染症流行抑止のため、6大疾患(ポリオ、ジフテリア、百日咳、破傷風、結核、麻疹)の予防接種を推進するとともに、ワクチンの国内生産にも取り組んできた。
 こうした中、生物製剤研究所は、2006年から独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施している「ベトナム国麻疹ワクチン製造基盤技術移転プロジェクト」を受託。同プロジェクトは、ベトナム政府の要請により、品質の高い麻疹ワクチンの生産体制をベトナム国内で築きあげ、安定した自国供給ができるよう、同国のワクチン公社である「ワクチン・生物製剤研究・製造センター(POLYVAC)」に技術協力を行うものだ。
 
 生物製剤研究所では、プロジェクトを通じて専門家をベトナムへ派遣。専門家の熱心な指導のもと、POLYVACは2007年12月までにワクチン原液を製剤化し、その後、2008年12月までにこの麻疹ワクチンの安全性と高い有効性が、臨床試験により確認された。
 さらに、2009年5月21日には、この麻疹ワクチンのベトナムでの販売が、同国政府から承認された。
 
 今回承認されたワクチンは、生物製剤研究所から供給したワクチン原液を用いて製剤化したものだが、プロジェクトは既に種ウイルス(AIK-C株)からワクチン原液を作り、それを製剤化したワクチンを完成させている。現在、第2回目の臨床試験を実施中で、早ければ今年中にこの一貫製造された麻疹ワクチンの販売がベトナム政府から承認される見通しだ。
 
 ベトナムはこれまで麻疹ワクチンを輸入に頼っていた。しかし、自国での生産体制が確立したことで、今後は多くの子供たちに接種され、麻疹の予防に役立つことが期待されている。
 なお、この麻疹ワクチンは、ベトナムで初めて世界保健機関(WHO)の医薬品適正製造基準を満たすものであり、品質の高さも評価されている。
  
▼本件に関する問い合わせ先
 学校法人北里研究所 生物製剤研究所 事務室
 〒364-0026 埼玉県北本市荒井六丁目111番地
 TEL: 048-593-3939
 FAX: 048-593-3850
 
北里研究所 生物製剤研究所ホームページ
 URL: http://www.kitasato.ac.jp/rcb/

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