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北里大学獣医学部附属フィールドサイエンスセンター八雲牧場が、肉用牛で日本初の「有機畜産物JAS基準」認定

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北海道二海郡八雲町にある北里大学獣医学部附属フィールドサイエンスセンター八雲牧場では、国内初の自給飼料100%の肉牛生産を行っている。このたび、2009年10月1日に有機畜産物の生産行程管理者として認定され、「有機畜産物JAS基準」を取得した。肉用牛の認定は大学牧場ではもちろんのこと、日本でも初めてのことだ。

 国民的関心が高い有機畜産ではあるが、その歴史は浅い。2001年に、コーデックス委員会(WHO/FAO合同規格委員会)で合意された有機畜産ガイドラインが国際基準として示され、日本では少し遅れて、2005年に有機畜産物の表示基準(JAS規格)として制定された。有機畜産物の生産方法の基準(ポイント)となるのは、以下の4点である。
・飼料は主に有機農産物を与えること
・野外への放牧などストレスを与えずに飼育すること
・抗生物質等を病気の予防目的で使用しないこと
・遺伝子組換え技術を使用しないこと
 このように、有機畜産の基本は「畜産は土地と結びついた生産活動」であることを大原則としている。しかし、養鶏や養豚などの中小家畜の飼料の大半は海外の飼料用穀物に依存しており、土地と結びついた畜産とはいえないのが現実だ。鶏卵、鶏肉、豚肉などの有機畜産物の多くは、海外から輸入した有機飼料を使用せざるを得ない。主要な穀物輸出国であるアメリカでは、遺伝子組み換え体作物の栽培面積が急増しており、EUでも規制緩和の方向にある。このように、有機飼料の確保は厳しい状況にある。
 
 こうした中、北里大学獣医学部附属フィールドサイエンスセンター八雲牧場では、1994年から自給飼料100%給与による牛肉を生産している。牧場の総面積は約351haあり、採草地及び放牧地面積は約220ha、残りは森林約130haで、日本短角種を中心に交雑種などの肉用牛専用種を約280頭飼育している。
 広大な立地条件を生かした「物質循環を重視した自給飼料による環境保全型牛肉生産」を基本方針に、夏は昼夜放牧、冬は貯蔵粗飼料で飼育し、家畜の排泄物は完熟堆肥として草地に還元する資源循環型牛肉生産の実践研究を行ってきた。
 
 2004年度には、八雲牧場の生産物に対して商標登録も取得。また、2003年から全ての農薬を、2006年からは化学肥料の施用も完全に中止し、人の健康と動物の福祉、環境との調和を考慮した現在の基盤を作りあげた。この頃から消費者より安全・安心な牛肉であるとの評価を得るようになる。同大学病院の患者用食材としての利用も始まり、現在では同大の農医連携の一端を担うまでとなった。
 2008年度には、JAS有機畜産物認証の取得に向け準備を開始。これまで八雲牧場で取り組んできた牛肉生産方式が「有機JAS認定」にほぼ適合していたため、検査において改善事項もほとんど無かった。そして、2009年10月1日に有機畜産物の生産行程管理者として認定され、「有機畜産物JAS基準」を取得した。
 
●参考URL: http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
 
▼本件に関する問い合わせ先
 北里大学獣医学部
 〒034-8628 青森県十和田市東二十三番町35-1
 TEL: 0176-23-4371(代表)
 FAX: 0176-23-8703
 URL:  http://www.kitasato-u.ac.jp/vmas/
 
 北里大学獣医学部附属フィールドサイエンスセンター八雲牧場
 〒049-3121 北海道二海郡八雲町上八雲751
 TEL: 0137-63-4362
 FAX: 0137-62-3042
 URL:  http://kitasato-u-fsc.jp/index.html

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