東京医科歯科大学

チリ国にて「東京医科歯科大学ラテンアメリカ共同研究拠点」開所式――中南米における「早期大腸がん診断と治療」に関する国際教育研究活動を本格化

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東京医科歯科大学では8月4日から15日まで、大山喬史学長をはじめ理事(企画・国際交流担当)、がん研究に取り組む臨床部門の教授3名、基礎研究部門の教授3名らがチリ国を訪問。8月9日には「東京医科歯科大学ラテンアメリカ共同研究拠点(LACRC)」の開所式を開催した。また、今後の発展に向けた関係機関との協議と、日智消化器がん共同シンポジウムを実施。中南米における「早期大腸がん診断と治療」に関する国際教育研究活動を本格化し、さらなる国際医療社会への貢献を目指すこととなった。

 東京医科歯科大学は平成21年7月15日に、チリ国保健省(Ministry of Health)ならびに首都サンティアゴのチリ大学研修病院「クリニカ・ラス・コンデス(チリ国病院/CLC; Gonzalo Grebe CEO)」と臨床・科学・学術協力に関する協定を締結している。
 
 この協定の第一の目的は、チリ国および中南米諸国における大腸がん死亡率低下にある。同大は1991年から15年間の長期にわたり、中南米諸国において日本式の「大腸がん早期発見と診断・治療法」の普及に努めた経験を有する。そのため、チリ国最先端病院であるCLCが予定する大規模な集団検診プログラムに、「早期大腸がん診断と治療」に対する指導・教育・研究支援をもって協力することを狙いとしている。
 
 さらに、がん研究の更なる発展、当該活動の機動的な展開には、同大の教員・研究者を現地に常駐させることが必須であると考え、今年の4月にはCLC内に「東京医科歯科大学ラテンアメリカ共同研究拠点(LACRC)」を開設した。
 
 今回の訪問の目的は、(1)LACRCの開所式の開催、(2)LACRCの今後の発展に向けた関係機関との協議、(3)日智消化器がん共同シンポジウムの共催、である。
 
(1) LACRC開所式
 8月9日の開所式には、チリ国保健省、チリ大学、在チリ日本大使館、JICAチリ支所等から来賓が多数参加。さらに、1980年~1995年にJICA支援下の日本における研修(胃がん早期発見治療プログラム)として東京医科歯科大学が実施した研修会を受講した中南米医師も参加し、盛大に執り行われた。
 LACRCでは、今秋CLCが保健省に対して申請する国家プロジェクト(FONDEF)における臨床指導・教育・研究を精力的に進めることとなる。同プロジェクトは、サンティアゴの3万人を対象にした集団検診を行い、診断・治療はCLCと保健省直轄のサンボルハ病院(国立)が実施。東京医科歯科大学は、同プロジェクトの企画立案に参画し、CLCやサンボルハ病院や、今後開設予定の内視鏡センターにおける臨床指導を行う予定である。なお、東京医科歯科大学では今年の4月以降、内視鏡部門・病理部門の医師らをLACRCに派遣しており、かかる業務に従事している。
 
(2)LACRCの今後の発展に向けた関係機関との協議
 東京医科歯科大学では、今年10月から医学部の4年生6名を5か月間LACRCに短期留学させる予定である。将来的にはチリ国内の大学との交換留学体制を想定し、チリ大学およびアウストラル大学と協議を行った。なお、アウストラル大学の強い希望により、学術協定締結に向けた覚書を締結。また、CLC関係者と共に、保健大臣(Dr.Jaime Manalich M.)を表敬訪問し、チリ国大腸がん集団検診スキームについて協議したほか、サンボルハ病院を表敬した。
 
(3)日智消化器がん共同シンポジウム(CLC・東京医科歯科大学の共催)
 東京医科歯科大学の8名の教員が講師等を務め、19の発表やパネルディスカッションに参加した。さらに、中南米地域において医療教育活動面でリーダーシップを発揮していくため、JICAを通じて東京医科歯科大学に留学経験のある2名の中南米医師を、フォローアップ研修も兼ねて講師として招聘した。
 東京医科歯科大学は、わが国が開発した免疫学的便潜血反応による大腸がん検査や、世界でも一流とされるわが国の内視鏡技術を通じて国際的な医療コミュニティーに貢献できるよう、今後とも情熱を持って取り組んでいく。
 
▼本件に関する問い合わせ先
 東京医科歯科大学広報室(総務部総務課広報掛)
 TEL: 03-5803-5011
 FAX: 03-5803-0272
 E-mail: kouhou.adm@tmd.ac.jp

1549 LACRC開所式典での集合写真(林渉在チ日本大使含む)

1550 大山喬史学長とチリ国保健大臣(Dr.Jaime Manalich M.)