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被災地に「元気」を、ご支援いただいた方々に「感謝」を届けよう――北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所が岩手県の名花名木由来の酵母を利用し、地域ブランド商品を開発

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北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所(岩手県釜石市)は、岩手県内の名花名木から採集した酵母を被災地の製造業者に提供し、県産の食材と組み合わせることで、新しい商品開発への活用をめざしている。このたび、同プロジェクト「『いわて花咲酵母』を利用した地域ブランド商品開発による被災地産業の活性化」が、「フード・アクション・ニッポン アワード2011」の「食べて応援しよう!賞」を受賞した。

 今回受賞した「フード・アクション・ニッポン アワード」(主催:フード・アクション・ニッポン アワード2011実行委員会、共催:農林水産省)とは、食料自給率向上を図る国民運動「フード・アクション・ニッポン」の一環として創設されたもの。食料自給率向上に寄与する事業者・団体などの取り組みを広く募集し、優れた取り組みを表彰することにより、食料自給率向上に向けた活動を広く社会に浸透させ、私たちや未来の子供たちが国産の食品を安心しておいしく食べていける社会の実現をめざしている。

 今回、北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所(岩手県釜石市)が受賞したプロジェクトは、岩手県内の名花名木から採集した「いわて花咲酵母」(※注)と、県産原料を利用した地域ブランド商品を開発することで、被災地産業の活性化をめざすというもの。

 同研究所は、酵母そのものと酵母の生理学的なデータを提供し、産官学共同体制で商品の開発を進めている。
 盛岡石割桜から採集に成功した酵母は、パンづくりに適していることが分かり、岩手県立盛岡農業高校と県産の米粉や小麦を利用した基礎レシピを作成した。また、一関市の世嬉の一酒造株式会社や岩手県工業技術センターの協力のもと、酵母と県産のホップを使った「復興ビール」の共同開発にも取り組んでいる。

 3月11日に発生した東日本大震災では、同研究所は海から数メートルしか離れていない場所に立地していたため、大津波による甚大な被害を受けた。しかし、壊滅した研究所一階の瓦礫の中から、樹齢360年を超えてなお咲き続ける盛岡石割桜などの「いわて花咲酵母」を救済。同プロジェクトには、被災地に「元気」を与えるとともに、ご支援いただいた方々に「感謝」を届けたいとの思いが込められている。

 同研究所では、酵母の利用業者を引き続き募集しており、新たな商品開発に向けての取り組みを広げていく。

(※注)岩手県内の名花名木から単離した酵母を「いわて花咲酵母」と命名。岩手石割桜、北上展勝地ソメイヨシノ、大船渡三面椿、遠野夫婦杉桜などの酵母を商品開発に利用している。

参考:
●北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所HP
 http://www.kitasato-u.ac.jp/roics/kamaishi

●フード・アクション・ニッポン アワードHP
 http://syokuryo.jp/award

▼本件に関する問い合わせ先
 北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所
 〒026-0001 岩手県釜石市平田3-75-1
 TEL: 0193-26-6621
 FAX: 0193-26-6592
 E-mail: hkasai@kitasato-u.ac.jp
 URL: http://www.kitasato-u.ac.jp/roics/kamaishi

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