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地方創生に向けた日本初・京都発の人材育成システム「地域公共政策士」の新資格制度をスタート -- 龍谷大学

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京都府内の公共政策系の学部やコース等を持つ9大学(龍谷大学、京都大学、京都府立大学、京都産業大学、京都橘大学、京都文教大学、成美大学、同志社大学、佛教大学)は、地域資格制度「地域公共政策士」の新資格制度をスタートする。

 同資格制度は、京都府内の大学、自治体、経済団体、NPO等が連携して開発した地域資格制度で、2011年4月より、大学院(修士課程)修了を取得要件として制度を運用してきた。このたび、地方創生の担い手の育成制度として各界から期待されている「地域公共政策士」資格を、学部、大学院(修士課程)のそれぞれのレベルに応じて取得できるように制度変更を行う。

 なお、地域公共政策士の新資格制度の内容については下記の通り。

1.事業背景
 大学の街である京都は全国から多くの若者人口が流入している。しかし、若者人口の定着は決して高くなく、25歳~29歳では京都市も含め大幅な人口流出超過となっている。若年層が京都に所在する大学を卒業して京都府内に就職するのではなく、大阪等の関西他府県や関東圏に流出する傾向が見られる。府北部に位置する福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、舞鶴市、伊根町、与謝野町の京都府北部地域では15~19歳人口と比較して、20~24歳人口が約30%減少しており、非常に深刻な人口流出が生じている。

2.地方創生を担い得る人材の育成
 大学には、地域社会や企業などの抱える人材の不足やミスマッチングに対応する努力が求められている。地域公共人材大学連携事業の9校は、政策系の学科等を有する学部が中心となって、京都地域の社会的課題や経済的課題の解決に関与できるような能力を有する人材の育成に貢献できる資格教育プログラムの開発に連携して取り組んできた。学部教育カリキュラムの改革を通して、資格教育プログラムとして、毎年1000名規模の学生が「現場」として京都府内の地域社会や企業において、それぞれチームを組んで能動的学習や課題解決型学習の取り組みを展開することとなる。

3.地域公共政策士について
地域公共政策士は、京都が直面する社会的課題や経済的課題に対して、産公学民の連携を通じて解決する指向と能力を有する人材「地域公共人材」の能力を保証する地域資格制度である。この地域公共政策士の取り組みは、京都府内の大学・大学院、自治体、NPO、経済団体等の連携事業「地域公共人材大学連携事業」によって、平成23(2011)年度から大学院修士レベルの人材を対象にスタート。今般、新たな学部の資格教育プログラムの開発に連動した地域資格制度の改訂が必要となった。

4.新資格制度について
 旧制度では学部レベル、修士レベルのプログラムを合計3ユニット取得することで資格取得が可能であったが、資格取得者は限られた人数にならざるを得ず、地方創生への高まる期待に応える規模感を実現できなかった。
 新資格制度では、学部レベル、修士レベルのそれぞれのレベルに応じた形での資格ユニットを開発し、学部レベル=初級地域公共政策士、修士レベル=地域公共政策士の取得を可能とする制度にした。とりわけ初級地域公共政策士ではプログラム実施機関の在学生全体の1割にあたる約1000名の資格取得者が毎年誕生することを想定している。

5.初級地域公共政策士と京都の地方創生
 毎年総計1000名の規模の学生がチームを組んで、地域社会や企業に関与する課題解決型学習、能動的学習が京都府内で展開する。域学連携と産学連携の大きなうねりを地域社会に起こすことと地域と大学が共に変わっていく可能性が展望できる。これら初級地域公共政策士の資格取得者と京都の地方創生事業や地元企業とのマッチングを目指していく。大学の立地のない京都府内エリアも含めた地方創生に貢献できるスキームを関係団体と共に構築していこうと取り組みを進めている。
 さらに今年度からは、初級地域公共政策士プログラムをベースとして、グローバルな観点で物事を考える能力を兼ね備えつつ、地域社会(ローカル)の持続的な発展に情熱を持った人材の育成を図る「グローカル・プロジェクト・マネジャー(GPM)」という新資格制度もスタート。地元企業への就職のマッチングを想定したスキームを関係団体と共に構築していこうと取り組みを進めている。

6.初級地域公共政策士の資格教育プログラムの概要
 初級地域公共政策士は8大学で15プログラムが提供されている(うち5プログラムはGPMに係るプログラム、表1参照)。
 初級地域公共政策士は教育要素を大きくわけて「公共マインド」「情報把握力」「実践力」「分析企画力」に分けている。GPMもその教育要素をもとに、「公共マインド」「ビジネスマインド」「グローバルマインド」「専門知識(大学独自要素)」「双方向(アクティブ・ラーニング)」「企業連携」といった6つの要素に分け、それぞれの大学等が提供する地域公共政策士資格教育プログラムを特徴づけている(表2参照)。

7.地域公共政策士の社会的活用
 初級地域公共政策士では、能動的学習「アクティブ・ラーニング」の要素を必須としている。地域公共政策士では政策提言学習「キャップストーン・プログラム」が必須している。いずれの場合も学生はチームを形成して現場性を持った地域課題解決のための学びを促される。
 現在、各大学では、地域課題解決や地方創生に向けた多様な取り組みの現場を設定するような展開が始まっている。地域公共政策士資格教育プログラムの地域展開、さらには域学連携の基盤の拡大は、地域公共政策士の資格が自治体、NPO、民間企業等での採用活動における能力証明「社会的パスポート」として活用される可能性を開くものになると考えている。

8.地域と大学との連携の進展
 京都府との関わりでは、一般社団法人「京都府北部地域・大学連携機構」(京都府、福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町が参加)の設立(2012年)によって、地域公共人材大学連携事業が参加する京都府北部エリアでの域学連携のプラットフォームが運営され、地域公共政策士の学習や活動のフィールドとなるような取り組みを進めている。
 京都市との関わりでは、地域公共人材大学連携事業として、「京都創生・お宝バンク」への事業提案などに取り組み、資格教育プログラムとの連動を図ることを準備している。

9.経済界と大学との連携の進展
 京都の経済団体と協働しながら、初級地域公共政策士にのプログラムをベースとしてグローカル・プロジェクト・マネジャー資格の開発を行っており、地域公共政策士の学習や活動のフィールドとなるような取り組みを開始し、さらにはいくつかの企業との雇用マッチングも含めた取り組みにできるような準備をしている。

10.地域公共人材大学連携事業について
 京都の9大学(龍谷大学、同志社大学、京都府立大学、京都産業大学、京都橘大学、京都文教大学、成美大学、京都大学、佛教大学)や自治体(京都府、京都市)、経済団体(京都商工会議所、(一社)京都経済同友会)、NPO・民間団体((公財)京都市景観・まちづくりセンター、(公財)大学コンソーシアム京都、(特活)きょうとNPOセンター、(一財)地域公共人材開発機構、(一社)京都府北部地域・大学連携機構)が連携して「地域公共政策士の資格制度」の共同開発・運用を行う事業。

11.資格取得までの手続き
 プログラム修了後は、プログラム実施機関が発行する履修証明書・成績証明書を資格発行手数料とともに、一般財団法人地域公共人材開発機構に提出し、手続きをすることで資格が発行される。

・初級地域公共政策士取得手数料
 5,000円(税抜)  
 (地域公共人人材大学連携事業加盟校は、3,000円(税抜))
・地域公共政策士取得手数料
 15,000円(税抜)  
 (地域公共人人材大学連携事業加盟校は、12,000円(税抜))

12.国際機関との連携
 地域公共人材大学連携事業による取り組みを核としたネットワークは、「Kyoto Alliance」として国際的な注目も浴びており、OECD(経済協力開発機構)との共同研究も行っている。大学と地域の連携による地域課題解決のモデルとして、国内外への情報発信も積極的に行っており、10月1日には京都で国際シンポジウムを開催する予定。

▼本件に関する問い合わせ先
 龍谷大学政策学部教務課 内藤・野村 
 TEL: 075-645-2285