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北里大学が身近な海から新科新属新種のクラゲを発見、「リュウセイクラゲ(流星水母)」と命名

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夏になると海水浴場に出現し、刺傷被害をもたらすのは箱型の傘を持つ立方クラゲ類である。この仲間は、立方型をした傘の四隅から、猛毒をもつ刺胞がぎっしりと詰まった触手を伸ばす。この触手に触れることで刺傷被害が出る。このクラゲの仲間にはアンドンクラゲや、人を死に至らせるほどの猛毒を持つハブクラゲなどがいる。
今回、北里大学の研究グループは、新種の立方クラゲ類を発見し、和名リュウセイクラゲ、学名「Meteorona kishinouyei」(正式表記は斜体)と名付けた。

 リュウセイクラゲの見た目はアンドンクラゲとそっくりであるため、今まで別種として認識されることなく見過ごされてきた(図1)。しかし、2つの種を見比べてみると、さまざまな形の違いが見つかった。特に、リュウセイクラゲの触手と触手の間で、傘の縁近くにある感覚器に「フラップ」と呼ばれる、「ひさし」のような部分が覆っている点と、消化液のでる胃糸の束が馬蹄形であるのが決定的な違いとなっている(図2)。

 このたび北里大学海洋生命科学部・三宅裕志准教授の研究グループ(主著者:現 公益財団法人 黒潮生物研究所・戸篠祥)により発見されたリュウセイクラゲは、ハブクラゲと同じ、ネッタイアンドンクラゲ目と呼ばれるグループに属する。さらに、リュウセイクラゲについてDNA分析を行い、他の立方クラゲ類と塩基配列の違いを比較したところ、これまでに知られている種とはまったく異なることが明らかになり、新しい属であるリュウセイクラゲ属と新しい科であるヒサシリッポウクラゲ科を設立した。

 リュウセイクラゲは今のところ、福島県と茨城県、神奈川県の一部からしか見つかっておらず、その毒性の強さや生態は不明である。北里大学の研究グループは今後、リュウセイクラゲの分布状況や毒素、生活史について調査を進めたいとしている。

▼本件に関する問い合わせ先
 三宅裕志
 北里大学海洋生命科学部
 〒252-0373
 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
 TEL: 042-778-9132
 FAX: 042-778-5010
 E-mail: miyake@kitasato-u.ac.jp

 主著者
 戸篠祥
 公益財団法人 黒潮生物研究所
 〒788-0333
 高知県幡多郡大月町西泊560番地イ
 TEL: 0880-62-7077
 FAX: 0880-62-7078
 E-mail: toshino@kuroshio.or.jp

7113 図1. 立方クラゲ2種の比較(側面図) (A)リュウセイクラゲ、(B)アンドンクラゲ スケールバーは1 cm

7114 図2 リュウセイクラゲの特徴