東京薬科大学

産学協同PBL講座で学生が社員へプレゼンを実施 ――企業と連携した新しい取り組み・東京薬科大学

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東京薬科大学(東京都八王子市、学長:笹津備規)生命科学部 応用生命科学科では、平成25年度4月より1年次前期必修科目として企業と連携し産学協同PBL(Project-Based Learning: 課題解決型学習)講座を開講している。5/17(金)には講師である資生堂の社員に対して、学生による前半課題への最終プレゼンテーションが行われた。こうした企業と連携した新しい取り組みを通して学生が主体性やコミュニケーション能力を身につけ、さらに今後の大学での実習や講義に生かすことで、社会で求められる主体性や課題解決能力を身につけることが期待される。

 今、社会では知識だけでなく、課題解決能力や主体的に課題に取り組む能力を持った人材が求められている。中央教育審議会が答申した「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」では、大学に自立的・協調的に課題解決や創造性を発揮できる人材の育成を求めている。そのために、主体性やコミュニケーションを育む大学教育改革が求められている。

 東京薬科大学生命科学部 応用生命科学科では、平成25年度4月よりこうした社会から求められている人材を育成するため、1年次前期の必修科目として、企業と連携し産学協同PBL(Project-Based Learning: 課題解決型学習)講座を開講した。この講義は株式会社ベネッセコーポレーションが事務局を運営している、Future Skills Project研究会(座長:安西祐一郎 日本学術振興会理事長)の協力を得て開講された。Future Skills Project研究会は企業人と大学人が問題を共有し、主体性をもった学生を育てるカリキュラムを提供することで、「産」と「学」に共通する課題を議論することを目的としている。

 講義では資生堂、アステラス製薬といった学生の就職先としても人気の高い企業から第一線で活躍されている方を講師として招き、学生の上司という位置づけで、実際に企業が取り組んでいる課題が出題され、学生たちが解決方法のプレゼンテーションを行う。FSP研究会の手法を用いた理系大学での産学協同PBL講座の本格的な開講は初めてとなるため、学生と同じ理系の出身である資生堂研究推進部の石野氏から理系学生に求められる能力について、企業の視点や実際の体験をもとに講演があった。その後、国内化粧品事業部の渡部氏より、課題(ミッション)が出題された。

 学生たちはミッション「あなたは、SEA BREEZEの担当者です。競合ブランドから首位を奪い、NO. 1のポジションを磐石化するためのブランド育成戦略を提案しなさい。」に対して6から7人の小グループで取り組み、中間プレゼンテーションを行った。
 学生のプレゼンに対し、渡部氏よりどうしてそのような考えに至ったかなどの質疑、講評が行われた。「商品の蓋が開きやすく持ち運んだときに中身がこぼれやすいという弱みばかりに目を向けるのではなく、片手でも簡単に開くことができるという強みを生かした戦略を考えるべき」など厳しい意見も出たが、学生たちはそれらの指摘を受けて提案を練り直し、最終プレゼンテーションに備えた。最終プレゼンテーションは中間発表での渡部氏からの指摘を生かし、顧客の視点に立って商品の使用感を高める提案をしたグループが1位となった。
 学生からは「プレゼンテーションはこんなにも時間を要するものなのかと驚いたが、やりがいを感じた。」「企業の方も私たちを本気で社員のように扱い質疑をしてくれたので、次回への改善点がはっきりと分かった。」「連休中にアンケートをとったりして、最終プレゼンに向けて行動できたのが良かったと思う。」と話していた。
 最終プレゼンで1位になったグループは4週間で講義時間外のミーティング回数が12回、時間数は約20時間に及んだ。講義時間以外にもグループで集まり議論することで、学生が主体的に学習に取り組む時間が増加したと考えられる。またPBL講座は選択科目として開講している大学が多くモチベーションの高い学生が集まる傾向があるが、本講座では必修としたことで、モチベーションの異なる学生全体のレベルアップにつながったと考えられる。講義は前期の半年間で2つの企業の課題に取り組むことで、失敗を次に生かせる仕組みになっている。

 講師の資生堂の渡部氏は「目の前にユーザーと同じ年代の学生が大勢おり、消費者に近い人の考えや我々と違う発想、着眼点を知ることができた。普段見ている市場行動や消費者データではなく、直接フレッシュな空気感、生の声に触れることができた。」と話していた。

 この講座を通して、学生が主体性やコミュニケーション力などを今後の大学での4年間の実習や講義に生かし、社会で求められる主体性や課題解決能力を身につけることが期待される。

 東京薬科大学では、このような教育改革に取り組み、社会から求められている人材の育成を目指す。

▼今後の講座開講日時・場所
日程: 4月12日~6月28日の金曜日
場所: 東京薬科大学(八王子市堀之内1432-1)
今後の内容(予定):
     講座12 グループ活動
     講座13 プレゼンテーションと講評
     講座14 全体の振り返り
参加企業: 株式会社資生堂、アステラス製薬株式会社

▼参考URL
 生命科学部 応用生命科学科 産学協同講座特設ページ
 http://pathos.ls.toyaku.ac.jp/applife/産学協同PBL講座/

▼本件に関する問い合わせ先
 東京薬科大学 総務課(法人・広報担当)
 大坪、松本、葛西 
 TEL: 042-676-1649
 FAX: 042-677-1639
 E-Mail: kouho@toyaku.ac.jp
 〒192-0392 東京都八王子市堀之内1432-1 

4290 最終プレゼンテーション後、資生堂の渡部氏からの指摘に真剣に耳を傾ける学生たち