法政大学

法政大生が手がける産学連携プロジェクト――帰宅困難を体験した女性100人のインタビューをもとに、都市災害に備えるコンパクトな「防災セット」を開発

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学校法人法政大学(総長:増田壽男/以下、法政大学)デザイン工学部システムデザイン学科大島礼治研究室は、昨年3月に産学連携プロジェクト「SG(エスジー):P(ピー)(self guard project)」*を立ち上げた。大島研究室の学生2名が中心となってコンセプト開発から製品化までに一貫して携わり、都市災害における帰宅困難者のためのコンパクトな防災セット(2種)の開発を進めている。
この防災セットは、東日本大震災時に帰宅困難を体験した女性100名へのインタビュー調査「100人の真実」から、“自助”の考えを基に帰宅するまでの必要最低限の備えとは何かを検証し、コンパクトさと実用性の両立を突き詰めたもので、今夏以降、全国の企業・自治体・学校等を対象に販売する予定。

 防災セットは、「バッグインプロテクターセット」と「防炎フードケープセット」の2種類。帰宅までに最低限必要と考えられる10アイテムと「ヘッドプロテクター」、「防炎フードケープ」のいずれかをコンパクトに同梱したもの。
 「ヘッドプロテクター」は、落下物の力を左右に受け流す不均等なアーチ構造、上板を脱着する組み立て式という今までにない機構により、重さ約270g、セット収納時の厚さが約15mmとビジネスバッグに入れて持ち歩くことのできる携行性を実現。産業用ヘルメットの製造国内最大手の谷沢製作所の協力のもと、およそ100回もの試作と衝撃実験を経て完成に至った。外出時の被災における新しい“自助”の形を提案する。(特許・意匠登録出願済)

 また、「防炎フードケープ」は、「100人の真実」の対面インタビューから得られた女性の体験談を踏まえ、都市での震災時の大きな課題とされる「火災」から身を守るだけでなく、授乳時・排泄時等のプライバシー保護、他の携行品をポケットに収納しながらの機動性の確保、利用者の体型にとらわれない汎用性などの点に配慮した。(意匠登録出願済)
 「SG:P」のメンバーである宇野咲耶子(さやこ)さん(システムデザイン学科4年)、滝沢宏樹さん(同4年)は、東日本大震災での経験から、首都圏直下型地震の発生時には989万人にものぼるとされる帰宅困難者の問題に着目。いつ起こるとも分からない災害に常に備えるための防災グッズの開発と、それを通じての防災対策・防災意識の向上をテーマとした産学連携プロジェクトを立ち上げた。

 大島礼治教授(デザイン工学部)の指導の下、構想を実現するためのパートナー企業を求めて延べ30社以上に アプローチし、選定された協力企業10社とともにおよそ1年間の研究・開発期間を経て今日に至った。

*「SG:P(self guard project)」:株式会社谷沢製作所(代表取締役社長:谷澤和彦/以下、谷沢製作所)、大日本商事株式会社(代表取締役社長:柏原茂/以下大日本商事)ら提携企業10社と協力しての防災セット製作を目的に発足。

▼本件に関する問い合わせ先
 法政大学 広報・広聴課 吉田
 TEL: 03-3264-9240
 E-mail: pr@adm.hosei.ac.jp