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千葉工業大学未来ロボット技術研究センターが可搬重量世界最大級の大型二足歩行ロボット「core (コア)」を開発

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千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo/所長:古田貴之)では、「fuRo搭乗型二足歩行ロボットプロジェクト」を平成21年度より開始した。「core (コア)」は同プロジェクトのもと開発された、大型ロボット脚部のプロトタイプ1号機であり、二足歩行ロボットとしては世界最大級である100kgの可搬重量性能を有する。

◆可搬重量世界最大級の大型二足歩行ロボット 「core (コア)」

1.概要
 千葉工業大学未来ロボット技術研究センターfuRo ※1 (所長:古田貴之)では、「fuRo搭乗型二足歩行ロボットプロジェクト」を平成21年度より開始した。「core  (コア)※2 」は本プロジェクトのもと開発された、大型ロボット脚部のプロトタイプ1号機であり、二足歩行ロボットとしては世界最大級である100kgの可搬重量性能を有する。
 「core」には電磁ブレーキを組み込んだ関節駆動用大型モーターシステムと、足部の衝撃吸収機構を新たに開発し搭載した。本モーターシステムを用いてモーターと電磁ブレーキをハイブリッドに駆使することで、全長1.9m、体重230kgの大型かつ超重量級でありながら安全かつ省エネルギーに制御可能なロボットを実現した。さらに新規開発された衝撃吸収機構を両足部に搭載することで、可搬重量100kgの世界最大級の可搬重量性能を実現した。

2.開発背景 「fuRo搭乗型二足歩行ロボットプロジェクト」とは
■ 「技術ランドマークとしての未来の乗り物」 脚移動式モビリティの開発
 fuRo搭乗型二足歩行ロボットプロジェクトは、脚移動式モビリティを未来の乗り物として実開発することをミッションとしている。特に現在、高齢者の「足」として利用されているシニアカーの用途に、さらに自動操縦技術や不整地移動能力を備えることで、来たる高齢化社会において環境にやさしく、かつ安全な未来の乗り物を開発する。また、福祉用途として人の日常生活や移動をサポートするアームや脚を実現するためには、省エネルギーかつハイパワーな駆動システムや、制御システムが必要となる。「core」に搭載された各種ロボット部品を応用することで、ロボットシステムだけではなく、今後の実用化が期待される、さまざまな対人サービスを想定した福祉機器を開発することが可能となる。
 このように、開発するロボット技術でライフイノベーション(高齢者対応の未来の乗り物や人をサポートする福祉機器)と、グリーンイノベーション(自然環境での自在な移動手段)の促進を行う。
■ ランドマークプロジェクトにより派生する 「各種ロボット用部品の実用化・事業化」
 「core」を含むプロジェクトの過程で、順次開発される数々の各種ロボット用部品(センサー、モーターおよびその駆動システム、制御用コンピューターユニット等)の実用化と事業化を行う。開発する搭乗型二足歩行ロボットは技術のランドマークであり、そこから派生する技術およびロボット用部品を産業界と連携して積極的に実用化・事業化することで、ロボット産業全体の活性化を行う。
■ 「学生との連携による『皆で創る』プロジェクト」を通じた人材の育成
 本プロジェクトは千葉工業大学の各学部・学科の学生参加型のプロジェクトでもある。これまでの「core」開発の過程においても、複数の学科に所属する学生の協力を得ている。

3. 特徴
■ 関節駆動用大型モーターシステム
 「core」 に搭載した関節駆動用大型モーターシステムは、大出力ブラシレスモーター(定格1200w 最大3000w シニアカーや電動スクーターのモーターは600w以下)と減速機、電磁ブレーキ、絶対角度センサーから構成される関節駆動ユニットと、モーター制御駆動ユニットから構成されている。
 各要素部品はすべてfuRoで新規に開発されたものである。本システムにより、モーターと電磁ブレーキをハイブリッドに駆使することができ、大型・超重量級である「core」を、安全かつ省エネルギーに制御可能である。
■ 足部の衝撃吸収機構
 新規開発した衝撃吸収機構を両足に装備している。各足の衝撃吸収機構は、独立可動型吸収器4台と並列可動型吸収器1台から構成され、脚着地の際の衝撃力を約80%吸収可能(定点高さ落下試験による測定)であり、機体の安定動作を実現した。

4.core スペック
 移動方式 二脚
 可搬重量 100 kg
 関節構成 12関節(片脚6関節 × 2)
 重量 230 kg
 全高 1915 mm
 脚長 1337.5 mm
 搭載センサー モーター部
 ローター軸角度センサー x 12, 関節軸絶対角度センサー x 12,
 ステーター温度センサー x 12
 モーター駆動回路部
 3相電流センサー x 12, 入力電流センサー x 12,
 入力電圧センサー x 12, インバーター温度センサー x 12
 胴体部
 角速度センサー 3軸,加速度センサー 3軸 x 12
 足部
 足裏タッチセンサー x 8, 6軸力センサー: x 2
 撃力吸収機構 独立式 x 8,並列式 x 2

5.将来の展望
■ 「高齢者対応の未来の乗り物を実現」
 環境と共存し、高齢者の足となるような脚移動式モビリティの開発
■ 「各種ロボット部品・福祉機器の実用化・事業化」
 ロボット部品や派生技術を利用した、人をサポートする福祉機器等の実用化・事業化
■ 「学生参加型プロジェクトによる人材の育成」

※1:  fuRo(未来ロボット技術研究センター)
 古田貴之率いるロボット技術の研究拠点。千葉工業大学の学校法人直轄の研究機関として、2003年6月に設立された。アスリートロボットとも言われる高い運動性能を持つ小型ヒューマノイド「morph」シリーズ、未来の乗用車のプロトタイプ「Hallucigenia01」や、その後継機で日本科学未来館で常設展示デモを行っている「HallucII」および操縦コックピット「Hull」等の研究開発を行ってきた。

※2:  「core」の名称の由来
 今回発表するロボットは、このプロジェクトの初号機である。未来の社会や世界の状況に合わせ、この技術が応用されることを期待し、またこの技術が「核」となり今後さまざまなシーンに合わせたロボットが生まれていくように、そんな願いや想いを込め、今回発表するロボットの名前を「core」とした。

▼本件に関する問い合わせ先
 千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo) 事務局 
 担当:先川原(さきがわら) 
 TEL: 047-478-0567