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【京都産業大学】遺伝暗号コドンの組み合わせによるリボソームの減速がmRNAの安定性を決定することを解明 -- 欧州分子生物学機関誌「The EMBO Journal」(オンライン版)に掲載

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京都産業大学生命科学部 三嶋雄一郎准教授、木村 成介教授と理化学研究所らの研究グループは、メッセンジャーRNA(mRNA)からタンパク質が作られる際のリボソームの移動のスピードが、mRNA自身の寿命を決めていることを解明した。mRNAワクチンのような人工mRNAが、細胞の中で安定かつ持続的にタンパク質を作り出せるように設計する技術の開発にも貢献できると期待する。

 本研究では新たにPACE法という分析手法を使って、小型熱帯魚ゼブラフィッシュの胚においてコドンがmRNAの安定性にどのような影響を与えるかを測定し、「コドンを解読する際のリボソームの減速が、mRNAの分解を引き起こす」ことを突き止めた。また、この「リボソームの減速」は一時的なものであり、タンパク質合成時のトラブルによって引き起こされる「リボソームの異常な渋滞」とは異なる現象であることも示した。
 これらの結果から、「mRNAからタンパク質が作られる際のリボソームの移動のスピードが、mRNA自身の寿命を決めている」ことを明らかにした。本研究の成果は、私たちの体の中でmRNAとタンパク質の量が調節される際の基本原理の理解を飛躍的に高めることにつながる。
 三嶋准教授は、「mRNAの寿命はこれまであまり重要視されていなかったトピックだが、mRNAワクチンの普及によって注目されるようになってきた。私たちの研究成果が将来よりよい医薬品の開発につながることを期待している」とコメントしている。

 この研究成果は、2022年1月18日(日本時間)に欧州分子生物学機関誌「The EMBO Journal」(オンライン版)に掲載された。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

■関連リンク
・mRNAの安定性は遺伝暗号コドンの組み合わせによって変化する。その原因は「リボソームの減速」
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/2022_ls/20220119_400a_ronbun.html
・京都産業大学 生命科学部 先端生命科学科 三嶋 雄一郎准教授
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/ls/mishima-yuichiro.html
・三嶋研究室ホームページ
 https://www.mishima-lab.com/

▼本件に関する問い合わせ先

京都産業大学 広報部

住所

: 〒603-8555 京都市北区上賀茂本山

TEL

: 075-705-1411

FAX

: 075-705-1987

E-mail

kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp

20220118_01.jpg リボソームはmRNAのコドンの並びを解読し、アミノ酸を順番に連結してタンパク質を合成する。コドンに対応するtRNAが少ないとリボソームが一時的に減速し、これが感知されることでmRNAが分解される(左下)。mRNA上でリボソームの衝突が起こると、異常を解消するためにmRNAが分解される(右下)。

20220128_01.JPG 京都産業大学生命科学部 三嶋 雄一郎准教授(写真左)と木村 成介教授(写真右)