北里大学

畜産現場におけるメタン計測のIoT化を実現 「無線型/ウェアラブル型メタンモニタリングシステム」を開発--北里大学

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北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室(青森県十和田市)と同大学発ベンチャーのライブストックジャパン株式会社(青森県十和田市)が、畜産の生産現場でメタンと二酸化炭素の濃度を遠隔でモニタリングできるシステムを開発しました。このシステムの活用により、畜産現場から発生するメタンガスのモニタリングが容易に行えるようになり、畜産からのメタン排出を削減するための研究や取り組みが様々な場面で加速することが期待されます。

反すう家畜からのメタン排出と家畜排せつ物などからの排出を合わせた家畜生産に起因する温室効果ガス排出は、農業排出の約65%に達すると試算されており(FAO:国際連合食糧農業機関)、畜産業界としても排出削減を目指したSDGsの取り組みが始まっています。

 牛のげっぷ由来のメタン排出を削減するために、消化管内の微生物叢を制御する研究や新たな飼料添加物の開発、育種改良に関する取り組みなどが進められていますが、牛が排出するメタンを測定するためには、大掛かりな設備が必要となります。

 今回開発した 『無線型/ウェアラブル型メタンモニタリングシステム』 は、2022年7月に北里大学発ベンチャーのライブストックジャパン株式会社が開発した簡易メタンガスモニタリングシステム"サーモニ メタン"をもとにIoT化したもので、無線型デバイスとウェアラブル型デバイスの二種類を開発しました。

 無線型デバイスでは、センサーデータを無線で受信できるようにしたもので、小型プラスチックボックスに収納したメタン・二酸化炭素センサーのデータを、受信機を介して遠隔で取得できます。ウェアラブル型デバイスでは、この仕組みを用いて両センサーと小型充電池を一体化させた頭絡(とうらく)を牛に装着することで、牛の行動を制限することなく遠隔で長時間のモニタリングを可能にしました。

 このシステムにより、これまで難しかった畜産の様々な条件下でのメタンガスのモニタリングが容易にできるようになり、メタン排出削減のための研究や取り組みが加速することが期待されます。この 『無線型/ウェアラブル型メタンモニタリングシステム』 は、同社が公益財団法人21あおもり産業総合支援センターの補助金を活用して開発したものであり、今後実施予定の実証実験の結果を踏まえて製品化を目指します。

 なお、今回開発したシステムは、農林水産省が主催するアグリビジネス創出フェア2023(東京ビッグサイト:11/20-22)にて展示します。

■参考URL
 ライブストックジャパン株式会社
 https://livestockjapan.com/

■問い合わせ先
【研究・製品に関すること
 北里大学獣医学部 動物資源科学科
 動物飼育管理学研究室 鍋西 久
 e-mailnabe9@vmas.kitasato-u.ac.jp

報道に関すること
 学校法人北里研究所 総務部広報課
 TEL03-5791-6422
 E-mailkohoh@kitasato-u.ac.jp


【図】「無線型/ウェアラブル型メタンモニタリングシステム」の概要.png 【図1:無線型メタンモニタリングセンサー(小型ボックスにメタン、二酸化炭素センサーを収納)】 【図2:ウェアラブル型メタンモニタリングセンサー(メタン、二酸化炭素センサーを一体化した頭絡)】 【図3:センサーデータを無線で受信するための受信機】 【図4:センサーデータのリアルタイム閲覧用ソフト画面】