神奈川工科大学

神奈川工科大学が3Dプリンタ用コンテンツの著作権保護技術を開発 ――9月11・12日開催の「イノベーションジャパン」に出展

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神奈川工科大学はこのたび、3Dプリンタで「もの」(実物体)を造形する際に、実物体の内部を微細に加工して著作権情報を埋め込む技術を開発。従来は困難であった3Dプリンタ用コンテンツの著作権保護を可能にした。この技術は9月11日・12日に東京ビッグサイトで開催される大学の研究成果の展示会『イノベーションジャパン2014』に出展される。

1.開発の背景
 将来、3Dプリンタが普及すると、ユーザは商品として「もの」を購入するのではなく、ネットを介して商品のデジタルデータを購入し、自宅で「もの」を製造するケースが増えると予想される。このため、「もの」づくりや物流の世界は大きく変革するといわれている。
 しかし、こうした3Dプリンタ向けコンテンツビジネスが発展するためには、「もの」の元となるデジタルコンテンツの著作権保護技術が必要となる。すなわち、3Dプリンタの時代では、価値を有するのは「もの」ではなく、ものを作るための「デジタルデータ」だと言えるが、デジタルデータは「もの」とは異なりコピーが簡単に行えるので、違法コピーを抑制するための著作権保護技術が不可欠となるのである。

 従来、デジタルコンテンツの著作権保護技術として、コンテンツ中に著作権情報を埋め込んでおき、不正と疑われるコンテンツがあれば、デジタル情報処理により埋め込まれた著作権情報を読み出して不正か否かを判定する技術があった。
 しかし、3Dプリンタではユーザが最終的に所有するのは「もの」であり、「もの」に対してはデジタル情報処理が施せないので、従来のデジタルコンテンツ用の技術に代わる、3Dプリンタ向けコンテンツの新たな著作権保護技術の開発が要請されていた。

2. 開発した技術の概要
 このたび神奈川工科大学の研究グループが開発した技術では、「もの」の形状データ(コンテンツデータ)と著作権情報を合成。3Dプリンタがコンテンツデータに基づいて「もの」を造形する際に、データに含まれる著作権情報によって、「もの」の内部に空洞などの母体と異質な微小領域を形成し、この微小領域の配置形態が情報を表現するようにする。
 その結果、著作権情報が造形される「もの」の内部に、外からは見えないように埋め込まれることになる。この著作権情報を、必要に応じて外部から非破壊で読み出し、「もの」が違法に造形されたものかどうかを判定する。実物体としての「もの」の内部に情報を埋め込んで、これを非破壊で読み出して活用するという点が、従来にはない本技術の特徴である。

 さらに、非破壊で読み出す方法として、「もの」の表面を加熱した際に、内部の異質領域の配置に依存した熱分布が表面に現れる現象を利用して、サーモグラフィーにより埋め込まれた情報を読み出す技術を開発した。
 なお、本技術は9月11 日・12日に東京ビッグサイト(東京国際展示場、東京都江東区)で開催される大学の研究成果の展示会「イノベーションジャパン2014」に出展される。

▼本件に関する問い合わせ先
 神奈川工科大学
 工学教育研究推進機構
 担当: 山本 博一
 Tel: 046-291-3218
 E-mail: hiroyamamoto@ctr.kanagawa-it.ac.jp

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