【帝京科学大学】ヒト母乳成分が腸の構造を変え栄養吸収を高めることを実証 ― 国際誌フロントカバーに採用

帝京科学大学生命科学科の西川翔准教授は、母乳に含まれる成分 2’-フコシルラクトース(2’FL)が小腸の構造そのものを変化させ、栄養吸収能力を高めることを動物モデルにより実証しました。
本研究成果は、分子栄養学分野の国際誌 Molecular Nutrition & Food Research (2026年1月号)に掲載され、さらにその内容が評価され同誌のフロントカバー(表紙)に選出されました。
本研究で西川先生は、 2’FLによる栄養吸収能力の向上という新たな機能性発見から母乳の神秘解明に迫ると共に、そのユニークで汎用性の高い機能を活かし、吸収効率を高めることで薬剤の効き目を高めるなど、栄養不足改善だけでなく生活習慣病予防など社会実装が大いに望まれる成果を報告しました。
以下に研究概要を示します。
②吸収能力向上に伴い、脂溶性成分であるDHA(詳説1)やクルクミン(詳説2)、水溶性薬剤の吸収が上昇する。
③クルクミンや水溶性薬剤(β3アドレナリン受容体作動薬)の吸収が増加することで、その機能性が増強されること(詳説3)
の3点を示しました。
②2’FLといった非栄養素が腸管リモデリングを介して栄養吸収能力を高めることを世界ではじめて示し、新たな食品機能性評価軸を提示したこと。
③吸収能力そのものを増加させるため、栄養素に限らず食品因子や薬剤など、あらゆる成分の利用効率を高めることが可能であること。
DHAは青魚に豊富に含まれる他、母乳に必須の栄養素です。乳児の発達だけではなく成人での脳機能維持にも重要な成分です。
(詳説2)
クルクミンはウコンなどターメリックに含まれる黄色色素で世界中で食されています。多様な健康機能があり、著者らもこれまでに肥満予防に関係する論文を同紙に報告しフロントカバーに採用されています(Mol. Nutr. Food Res, 2018年62巻3月号)。
(詳説3)
白色脂肪組織中で熱産生タンパク質(UCP1)が増加することでエネルギーが熱として消費されるため、エネルギー消費の増加による体脂肪の低下、肥満の抑制が期待されます。
(詳説4)
脂質や糖、タンパク質、ビタミンの様に私たちの体にとって必須ではないものの、様々な身体調節作用を有する食品成分のことです。身近なものにはβカロテンなどの色素成分やカプサイシンなどの香辛料成分が挙げられます。この様に非栄養素は私たちにとって非常に身近で、その多様な健康機能性を活かしてサプリメントとしても世界中で活用されています。
また本研究は、本学で着想され本学の環境で単独に遂行され、学生実習向けに開発した技術を基盤として、それを研究用途へと発展させて得られた成果でもあります。
<論文情報>
掲載誌: Molecular Nutrition & Food Research
論文タイトル:Two ′ -Fucosyllactose, a Human Milk Oligosaccharide,Promotes Intestinal Remodeling and Enhances Nutrient and Functional Component Absorption
著者:Sho Nishikawa、Hidetoshi Yamada、Yuto Funasaki、Wakana Jike、Mai Taromaru、 Satomi Ozaki、Izuki Tarushima、Ryoto Tanaka、Sayuki Nishimaki、Miyu Sato、Hanami Goto、Masaya Kato、 Masayoshi Okuzawa、Raimu Miyasaka
掲載情報:2026年70巻1号e70376
DOI: 10.1002/mnfr.70376
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著者所属と連絡先:
帝京科学大学 生命科学科 生命コース
准教授 西川 翔
(メール)sh-nishikawa@ntu.ac.jp (西川)
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本件に関するお問い合わせ先
帝京科学大学 入試・広報課
E-mail:koho@ntu.ac.jp
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また、本学ではオープンキャンパスも実施しています。西川先生も参加していますので、是非直接お話を聞いてみて下さい。
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