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【摂南大学】水なしで飲むOD錠、開発試験の効率化に期待 薬物の吸収遅れを予測する新解析手法を構築

【摂南大学】水なしで飲むOD錠、開発試験の効率化に期待 薬物の吸収遅れを予測する新解析手法を構築
 摂南大学(学長:久保康之)薬学部 薬物動態学研究室の大薮由依助教、高木敏英教授らの研究グループは、口腔内崩壊錠(OD錠)を食後に水なしで服用すると吸収が遅れることに着目し、薬物の血中濃度の時間変化を予測する新しい解析手法を開発しました。この予測を基に、臨床試験での採血時間を適切に設定することで、治験参加者及び製薬企業の倫理的・経済的負担を軽減することが期待されます。
 本研究の成果は2026年6月5日に学術誌『International Journal of Pharmaceutics』に掲載されました。
【本件のポイント】
 ● 食後水なしでOD錠を服用した時の吸収遅れを数値で明らかにした
 ● 食後水ありで服用した時の血中濃度推移を基に、吸収遅れの考え方を組み合わせることで、食
   後水なしで服用した時の血中濃度推移を予測できるようにした
 ● 吸収遅れの考え方はさまざまな成分のOD錠にも応用できた

 OD錠は、ごく微量の水分で極めて速やかに崩壊するため、水なしでも服用できる製剤です。そのため、嚥下(えんげ)機能の低下した患者や水分制限下にある患者を中心に広く用いられています。近年の報告では、OD錠を食後に水なしで服用した場合、水ありと比較して吸収が遅延し、Tmax※1が遅れた血中濃度推移を示すことが明らかとなっています。OD錠の開発では、食後水なしでの生物学的同等性試験※2が求められる場合がありますが、血中動態を適切に評価するためには、ピークを確実に捉えられるよう採血時間を設定する必要があります。
 そこで本研究では、数学的な解析によって、食後水ありで服用した時の血中濃度推移を基に、食後水なしで服用した時の血中濃度推移を予測する方法を開発しました。具体的には、まず、リバーロキサバンOD錠を食後水ありと水なしで服用した時の血中濃度プロファイルを用い、食後水なしで見られる吸収遅れを、食後水ありでの血中濃度プロファイルを基準としたデコンボリューション※3により定量的に解析しました。次に、得られた「吸収遅れ関数」を、さまざまな薬物を食後水ありで服用した時の血中濃度プロファイルとコンボリューション※3することで、吸収が遅れた食後水なしでの血中濃度プロファイルを予測しました。
 その結果、「吸収遅れ関数」の算出に用いたリバーロキサバンOD錠だけでなく、トルバプタンOD錠やシルデナフィルOD錠など、他の薬物成分のOD錠製剤においても良好な予測ができました。中でも、吸収遅れによるTmaxの延長を高い精度で推定できることが示されました。本研究で示したTmax予測は、吸収遅れが想定されるOD錠の食後水なしでの生物学的同等性試験において、採血時点を事前に検討するための有用な情報となります。これにより、臨床試験での採血回数や期間を抑えることができ、患者や製薬企業の時間的・経済的負担の軽減にも寄与することが期待されます。
 本研究はJSPS科研費 JP22K06711, JP23K17475の助成を受けたものです。

【用語説明】
※1 Tmax
 薬物の投与後、血中濃度がピークに達するまでの時間。
※2 生物学的同等性試験
 同一成分を同一量含む2つの製剤を投与した後、同様の血中濃度推移を示すかどうか、すなわち生物学的
 に同等であるかを確認する試験。通常、最高血中濃度(Cmax)や血中濃度-時間曲線下面積(AUC)を
 基に同等性を判定する。特に後発医薬品の開発においては、先発品との生物学的同等性を示すことが必
 須であり、適切な試験設計が重要である。
※3 コンボリューション、デコンボリューション
 数学的な解析手法の1つ。コンボリューションは、ある入力に対して時間的な重みづけを行い、その累積
 として出力を計算するものである。デコンボリューションはその逆の考え方に基づく手法であり、出力
 と入力から重み関数を推定する、または出力と重み関数から入力を推定するために用いられる。

論文情報
論文名 Predicting plasma concentration–time profiles of orally disintegrating tablets with delayed
    absorption under fed conditions without water
    (和訳:食後に水なしで服用した際に吸収が遅延する口腔内崩壊錠(OD錠)の血中濃度-時間プ
     ロファイルの予測)

著 者 Yui Oyabu,1,2, Toshihide Takagi1, Shinji Yamashita3, Fumiyoshi Yamashita2

所 属 1 摂南大学 薬学部 薬学科 薬物動態学研究室
    2 京都大学大学院 薬学研究科
    3 立命館大学 総合科学技術研究機構

雑誌名 International Journal of Pharmaceutics

DOI 10.1016/j.ijpharm.2026.126931

URL https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378517326003790

公表日 2026年6月5日

本件に関するお問い合わせ先

学校法人常翔学園 広報企画課

石村、長谷川

住所
大阪市旭区大宮5丁目16番1号
TEL
06-6954-4026
E-mail
Koho[at]josho.ac.jp  ※メールアドレスの[at]は@に変換してください。

添付資料