東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授らの研究チームが、温泉の習慣的な利用により介護状態の悪化を予防できる可能性を明らかに
このたびの研究は、自宅に温泉を引いて入浴できる環境にある静岡県熱海市民の介護保険のデータを用いて、温泉の自宅への設置状況と介護予防の関連について明らかにすることを目的として行われた。
調査の対象としたのは、熱海市民のうち2017年3月時点において介護保険で要支援、または要介護状態と認定を受けている2719人。2回以上介護認定を受けている2194人について初回の介護状態と2017年3月時点の介護状態を比較し、状態が改善または変わらないグループと悪化しているグループに分けた。それぞれを初回の介護状態別・性別に分け、温泉設置状況と介護状態の維持・改善、悪化の割合を比較し、解析を行った。その結果、有意な差があり、自宅への温泉設置は介護状態の悪化の予防と関連因子である可能性があることが分かった。
研究チームは今後、介護予防に有効な温泉の入り方などを調査していく予定。
※熱海市:自宅への温泉設置については選択制。温泉を自宅に引いている割合は、全世代で約3割、要支援・要介護認定を受けている高齢者に限定すると約9割。
※本研究は科研費(JP16K09263)による研究である。
■論文題目
自宅への温泉設置の有無と介護予防の関連:公的データを用いた症例対照研究
【方法】:
1.研究デザイン:症例対照研究
2.調査対象:静岡県熱海市民のうち、2017年3月時点に介護保険で要支援、または要介護状態と認定を受けている2719人(男754人、女1965人)。
3.調査方法:調査対象者のうち、介護保険認定情報を初回認定時までさかのぼり介護状態を紐づけした。さらに各家庭での温泉設置有無について調査対象者の2017年3月時点での熱海市水栓使用者情報を紐づけした。
4.解析方法:調査対象の年齢分布を示した。その後、2回以上介護認定を受けている者2194人について初回の介護状態と2017年3月時点での介護状態を比較し、2017年3月時点での介護状態が改善、または変わらない者を介護状態維持改善群(維持改善群)、悪化している者を介護状態悪化群(悪化群)とした。初回の介護状態別、性別に分け、温泉設置状況と介護状態の維持・改善、または悪化の割合を比較し、カイ2乗検定でオッズ比と95%信頼区間を算出した。最後に男女合わせて同様に解析を行い、Mantel-Haenszel Testによって性を調整したオッズ比と95%信頼区間を算出した。
【結果】:
維持改善群1192人、悪化群1002人を解析した。維持改善した者は温泉設置有で1050人(55.2%)、温泉設置無で142人(48.5%)であり、維持改善への温泉設置有のオッズ比(95%信頼区間)は1.311(1.025-1.677)で有意な関連があった。
【結論】
自宅への温泉設置は介護状態の悪化を予防することと関連因子である可能性がある。
【今後の予定】
介護予防に有効な温泉の入り方を調査していきたい。
【共同研究者】
内田耳鼻咽喉科院長 内田實(熱海市医師会)、
自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児整形外科准教授 渡邉英明、
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