東洋大学生命科学部 伊藤政博教授の研究グループが第3のイオンで動くハイブリッド・ナノマシンの発見に成功
これまで微生物の運動器官であるべん毛モーターは、プロトン(H+)またはナトリウムイオン(Na+)で駆動するナノマシンであると考えられてきた。
今回の成果では、その常識を覆し、第3のイオンとして新たにカリウムイオン(K+)、ルビジウムイオン(Rb+)でも駆動できるハイブリッド型生物モーターを新たに発見。また、べん毛モーターのエネルギー変換ユニットに変異を導入してカリウムイオンでは、駆動できなくなったモーターを構築することにも成功した。
このナノマシンの作動原理は、微細加工化された人工ナノマシンの開発に貢献。また、多種類のエネルギーが利用可能になる今回の成果は、今後医療分野におけるナノモーターの研究への波及が期待されている。
・・・・・・・・・・・・・・・・
〔研究成果概要〕
生命科学部生命科学科の伊藤政博教授を中心とする研究グループは、生体ナノマシンとして注目を集めている細菌運動器官のべん毛(もう)モーターでこれまで報告例のない第3のイオンをエネルギーとして利用できるハイブリッド型生物モーターを極限環境微生物の好アルカリ性細菌から発見した。べん毛モーターは、これまでH+またはNa+のどちらかを共役イオンとして駆動すると考えられてきた。
しかし、今回、エネルギー源として新たに第3のイオンであるK+やRb+を利用できる生物モーターの発見は、これまでの常識を覆す研究報告で、いまだ未解明な課題が多い生体分子ナノマシンの世界の理解に大きく貢献する。
生命科学部とバイオ・ナノエレクトロニクス研究センターでは、これまで極限微生物の生態および分子生物学的解析とその利用を他の大学に先駆けて積極的に展開。今回の成果はその現れといえる。
〔論文発表の概要〕
■研究論文名: A Bacillus flagellar motor that can use both Na+ and K+ as a coupling ion is converted by a single mutation to use only Na+ (Na+とK+を共役イオンとして利用できるバチルス属細菌のべん毛モーターを単独変異でNa+しか利用できない変異株に変換した)
著者:Naoya Terahara(Osaka University、♯),Motohiko Sano(Toyo University、♯),and Masahiro Ito(Toyo University)(♯double first author)
■公表メディア: PLOS ONE(公表日 2012年9月25日午後5時 米国東部時間)
http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0046248
■生命科学部のホームページ
http://www.toyo.ac.jp/lsc/index_j.html
■バイオ・ナノエレクトロニクス研究センターのホームページ
http://www.toyo.ac.jp/rc/bnel/index_j.html
▼本件の取材・掲載に関する問い合わせ先
東洋大学総務部広報課
担当: 川俣
TEL: 03-3945-7571
E-mail: mlkoho@toyo.jp