業界初、ポリプロピレン繊維の染料開発に成功。大量の水を使わない技法で、ファッション性豊かな染色が可能。環境意識の高い市場での新規需要にも期待。– 有本化学工業株式会社、金沢工業大学、福井大学が共同で
※1 有本化学工業株式会社
1947年設立 オイルカラーに分類される有機染料などを開発・製造する染料メーカー。
主に、樹脂着色用(プラスチック)、機能性色材(電子材料)、有機顔料を製造・販売をしている。樹脂着色用染料では、自動車・家電・日用雑貨など耐熱性・耐光性に優れた高級縮合染料や、ガソリン・ワックス用途の染料も取り扱う。近年では一般染料以外にも新規のお問合せに対する研究開発を進めている。
※2 特許第6671729号(登録日:2020年3月6日)、特許第6721172号(登録日:2020年6月22日)
※3 ポリプロピレン(PP)とは
ポリプロピレンはノーベル化学賞を受賞したチーグラーとナッタが発明した立体規則性を制御する新規触媒を用いて合成可能となった高分子として1957年に登場しました。ポリプロピレンは耐熱性、強度、耐薬品(酸、アルカリを含む)性に優れ、比重が0.92と非常に小さく、水に浮かぶ上に、吸湿性が無いといった特長を有します。ポリプロピレン樹脂は石油精製時の排ガスを主原料としているため非常に廉価です。この樹脂を使用したポリプロピレン繊維は軽量で速乾性があり、耐薬品性、耐擦過性、耐屈曲性、帯電防止性など優れた特性を持つ繊維で、出現当時は「夢の繊維」と呼ばれていました。
実用化に当たっては耐酸化性と耐光性を付与するために、酸化防止剤および光安定剤などが混合されます。
繊維を作る際に有色顔料を樹脂に練り込むなどしてあらかじめ色付けすることは可能でしたが、色を決めるタイミングと色数、糸の太さに制約があるため、有色のポリプロピレン繊維の活用例は非常に少ないのが現状です。
※4 超臨界二酸化炭素染色とは
糸や布などの繊維製品を染色する際、大量の水を使う方法が取られていますが、水資源の有効活用の観点から、環境問題に敏感なアパレル企業やスポーツウェアブランドなどからは環境に配慮した染色方法の一つとして超臨界染色技術に注目が集まっています。
圧力釜のなかで、二酸化炭素を高温、高圧にして、気体でも液体でもない超臨界流体と呼ばれる状態にします。これを水の代わりに使うと、廃水が出ないので、水資源を保護でき、染色・加工工程の合理化と環境負荷の低減の両面に貢献します。加工技術では、約250 kgの繊維を染色することができます。
超臨界染色は、現在はポリエステルがメインですが、今回紹介したポリプロピレンだけでなく、今後、ナイロン、綿も染色が可能になると考えられます。
※5 新規染料の構造と特徴
ポリプロピレンは炭素と水素原子のみからなる高分子で、染料が結合できる場所(官能基)がなく、既存の染料では多少染色されても洗濯や摩擦、熱などで容易に脱落してしまいます。そのため、ポリプロピレン高分子の構造に対する親和性を効果的に高める置換基をキノン系の染料分子へ導入しました。実用化染料の開発に当たってはポリプロピレン繊維に対し高い染色堅ろう度が得られるものを選択しました。
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