有機酸が活性酸素からミトコンドリアを保護する仕組みを解明 アンチエイジング研究への応用に期待 — 東京工科大学応用生物学部
細胞内のエネルギー代謝に関与する有機酸は、エネルギー基質となるほか多くの生理機能が明らかになりつつあります。一部の有機酸は、線虫(注5)の実験などにより寿命を延長する効果が報告されており、アンチエイジング分野への応用が期待されています。また、有機酸はミトコンドリアで産生され、ミトコンドリア自身を保護する作用が注目されていますが、その詳しいメカニズムは明らかになっていません。
【成果】
キサンチン(XA)とキサンチンオキシダーゼ(XO)を用いてスーパーオキシドを発生させ、これが細胞内の酵素スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)によって変換される過酸化水素(H2O2)(注6)を、蛍光色素で定量し、その蓄積を観察しました。この結果、ミトコンドリアが産生する主な有機酸のうち、ピルビン酸、オキサロ酢酸、α-ケトグルタル酸の3種は、H2O2量の増加を有意に抑制した(図2)一方、他の6種(乳酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸)にはこの作用はありませんでした。また同3種は細胞死を有意に抑制した(図3)一方、他の6種は全く抑制しませんでした。
これらから、1)有機酸の中でスーパーオキシドによる細胞死を抑制するのは3種のみである 2)この作用はこれらの有機酸がH2O2を消去するためであることが明らかとなりました(図4)。これは、同3種のみが有する「α-ケト酸」と呼ばれる化学構造が、H2O2と直接に化学反応した結果であると推察されます。つまり、ミトコンドリアは活性酸素を発生させるとともに、これらを消去する物質群を生産していると考えられます。
図2:3種類の有機酸によるH2O2産生の抑制
図3:3種類の有機酸による細胞死の抑制
図4:ミトコンドリアが産生する主な有機酸
【社会的・学術的なポイント】
本研究により、線虫などで顕著に寿命を延長させる効果が報告されている3種類の有機酸について、そのミトコンドリアを保護するメカニズムが明らかになりました。有機酸は果物などに多く含まれることが知られていますが、食品などを通じて直接摂取することでアンチエイジングにつながる可能性もあり、今後の研究が期待されます。
■東京工科大学応用生物学部 アンチエイジングフード(佐藤拓己)研究室
食を通じて体の内側からアンチエイジングを目指す研究を行っています。アンチエイジングフード研究室は、寿命を延長させる作用を持つ食品に含まれる物質を探索しています。具体的には、細胞内の有機酸持つアンチエイジング効果に注目しています。また基礎研究ではビタミンCのアンチエイジング効果にも焦点を当てています。
1.有機酸の酸化ストレスに対する耐性の研究
2.ビタミンCの抗ガン作用の解析
3.ローズマリー由来のカルノシン酸の抗認知症作用の研究
TEL: 042-637-2485(研究室直通)
E-mail: satotkm(at)stf.teu.ac.jp
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