放電プラズマ焼結技術で世界初の航空宇宙用大口径遠赤外光学レンズの開発目指す。金沢工業大学が新潟県の企業との産学官連携で。
このたび研究開発を進めるのは、新潟県が100%出資する公益財団法人にいがた産業創造機構(新潟県新潟市)と、放電プラズマ焼結法による技術開発を手がける株式会社シンターランド(新潟県長岡市)、長岡工業高等専門学校(新潟県長岡市)、金沢工業大学高信頼理工学研究センター(金沢工業大学やつかほリサーチキャンパス)の四者からなる産学官研究グループ。金沢工業大学からは工学部 機械工学科 斉藤博嗣准教授(複合材料工学)と工学部電気電子工学科 池永訓昭准教授(プラズマ工学・薄膜材料)が参画します。
当研究の社会的意義
8~12μm の波長域の遠赤外光学レンズはドローンや小型衛星などの機体に搭載することで、夜間の雨曇りであっても数十ha の広い田んぼや農地の水稲作物状態を短時間で鮮明にかつ正確に確認することができるなど、多種多様の目的で地上にある対象物を観測できます。また数キロ遠く離れた位置からも対象物が鮮明に見えるため、災害時の生存者発見・救助や、雪すべりや土砂崩れ等の危険箇所の発見、火山活動の監視などにも活用が期待されています。
この遠赤外光学レンズの素材にはゲルマニウム(Ge)、セレン化ゲルマニウム(GeSe)、硫化亜鉛(ZnS)の3種類がありますが、ゲルマニウムとセレン化ゲルマニウムは希少金属のため原材料費の変動が大きいことや入手性が不安定になることが問題となっています。
一方、硫化亜鉛は資源制約がないため価格変動問題がほとんどない上、雨浸食や気温変動がある過酷な環境にも耐えられるため、屋外での使用に適しています。
航空宇宙分野では、数キロ離れた小さい対象物を高分解能に撮像するために、直径100~140 mm、高さ70 mm以上の大口径な高性能レンズが求められます。そのために対候性の高く、大口径の硫化亜鉛レンズの実現に大きな期待が寄せられています。
当研究の概要
現在、直径40mm以下の小口径赤外光レンズは、成膜技術の一つである結晶合成用化学気相成長(CVD法)により作製したブロック材を、超精密切削等の機械加工により製造しています。ところが、この方法を大口径レンズの製造に用いた場合、加工用の大型ブロック材形成や加工に7日間以上の日数が必要であること、厚いレンズを一度に複数製作することが不可能であること、レンズ加工による歩留まりを考慮すると製造工数や費用が膨大になるという問題があります。またCVD法で硫化亜鉛材料を製造する場合には、毒性の高い硫化水素ガスを大量に用いるため、作業の危険性や環境負荷の観点から、事実上、製造は不可能とされています。
本件に関するお問い合わせ先
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