深層学習を用いて無人航空機(UAV)の空中写真データ等から森林境界や材積等を推定。林業の活性化を目指す産官学共同研究を開始。
本研究は国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターが公募した平成30年度「イノベーション創出強化研究推進事業」に選定され、2020年度までの3年計画で実施されます。
本研究の社会的意義
戦後造成された人工林は半分以上が50年生以上となり、本格的な利用期を迎えていますが、林業を営む世帯の88%が保有山林面積は10ha未満と小規模であること、また高齢化が進んでいることで、森林境界の不明確化が進行するなどにより、国産材の需要に応じた安定的な原木供給ができていないのが現状です。
また、国内の森林面積の約6割を占める天然林の多くは、かつては薪炭林として循環利用されていましたが、生活様式の変化とともに利用されなくなり、現状では、パルプ・燃料用等として木材総生産量の約1割強程度(平成27年度)と少なくなっています。また、コナラ等のきのこ原木の確保も多くの県にとって切実な課題となっています。
このような状況の中で、適切な森林整備による原木の安定供給体制を構築し、重要な政策に位置付けられている「林業の成長産業化」を実現していくためには、路網整備等の基盤整備はもとより、森林境界の明確化を進め、主間伐等の施業の集約化をより一層進めていく必要があります。
本研究においては以下の4項目の開発を進めます。
1)無人航空機(UAV)により取得する空中写真データから、新たに開発する画像認識AIエンジンを用いて、主な樹種境界や合意形成に必要となる施業を実施するための森林境界(土地の境界ではなく施業境界)を推定する技術の開発
2)全天球カメラから取得した森林内のデータを基に、今回開発する画像認識AIエンジンによって材積や販売額に直接影響する直材(A材)や小曲がり材(B材)、曲がり材(C材)等の幹の形状(材質)を効率的に判読する技術の開発
3)UAVの空中写真データからコナラ等の有用な広葉樹を特定し、樹冠径等から材積や原木採材本数を推定する画像認識AIエンジンの開発
4)これらの画像認識AIエンジンを組み込んだ、森林組合職員等が使いやすいクラウドアプリの開発
これらの技術開発によって、多大な労力をかけて実施してきた森林調査や森林所有者の合意形成に至る作業を大幅に省力化し、施業の集約化が推進できることに加え、原木の安定供給や木材の利用促進につながるものと期待されています。
本件に関するお問い合わせ先
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