芝浦工業大学 — 社会における協力行動を促進するための新しい他者評価のしくみを発見 ~Scientific Reports(Nature社)に掲載~
■1.助け合いの連鎖:「間接互恵性」
寄付をする、ボランティアを行う、献血をするなど、人は自分が負担になるにも関わらず他人を助ける利他的行為を行う。そして、このような利他的行為(協力)が連鎖していくことを「間接互恵性」というが、直接の見返りがないため、協力が連鎖することは当たり前ではなく、何故、間接互恵性が生まれるのか謎となっている。それを解くカギとして、コミュニティ内で生まれる他者への評判(あの人は「よい人」だ「わるい人」だと評価すること)が注目されてきたが、間接互恵性を形成・維持できる具体的な評価の仕方について、良い人や悪い人を助けたり助けなかったりすることに対してどう良いあるいは悪いと評価すべきか、世界中で研究されてきた。
■2.他者の良し悪しをどう評価するか
図表1~4の各行動に対して、いい人を助けることはいい行動であり、いい人を助けないことは悪い行動である、と評価すべきことは既に確立していた。一方で、悪い人を助けるか助けないか(図表3、4のケース)について、最も優れた評価の仕方が見つかっておらず、より複雑な評価の仕方が探求されてきた。
■3.あえて評価をしない「留保」という考え方
中井教授らは、この3、4について評価をしない「留保」という考え方を導入して、数値計算、シミュレーションを行ったところ、最も協力行動の促進につながることを示した。これまで間接互恵性研究が「評価ルールの精緻化」を進めてきた研究動向とは逆の「評価しない」という発想が頑健に協力行動を促す効果があることになり、「微妙な場合にあえて白黒つけない」という日本的な発想ともつながり、社会科学的に興味深い結果となった。現在、ネット上で相互評価が盛んに行なわれているが、本研究が、最適な社会評価システムのための基礎的な知見となることが期待される。
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