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関西学院大学理工学部化学科の田辺陽教授、松尾憲忠博士、川元百世(大学院修士課程2年)らの研究グループは、日本が世界をリードするピレスロイド系殺虫剤のルーツである「天然ピレトリン」計6種の完全な化学合成に成功しました。
この研究成果は、アメリカ化学会のジャーナル「The Journal of Organic Chemistry(ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー)」のEarly Viewに2020年1月11日付で掲載されました。
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.joc.9b02767
除虫菊の成分である「天然ピレトリン」を人工改変した「合成ピレスロイド」は現在、30以上の商品が市販され、そのバリエーションは、あらゆる医農薬品の中で比類なき例と言えます。「蚊取り線香」から「虫コナーズ」(大日本除虫菊)まで、ピレスロイド系殺虫剤はその高い安全性のため、世界中の農業生産、アメニティライフに貢献し、さらに「オリセットネット」(住友化学)においてはマラリア駆除にも多大な役割を果たしてきました。
しかし、全く意外にも「天然ピレトリン」の正確な化学的性質や殺虫活性は、そのルーツであるにもかかわらず、計6種類の構造が非常に類似しているため、これまで確定できないままでした。ところが一方、「天然ピレトリン」は折からの天然品仕様への回帰トレンドから、実用的にも、乾燥除虫菊ベースで年間1万トンも世界中で栽培され、その利用価値は非常に高いものです。今回の研究では、全6種類の物性が確定でき、そのうち4種に高い殺虫活性があることが、初めて明らかとなりました。
日本が先導するピレスロイド化学の長年の懸案課題(ミッシング・リンク)に、貴重で有意義な解答を提出できたといえます。
しかし、全く意外にも「天然ピレトリン」の正確な化学的性質や殺虫活性は、そのルーツであるにもかかわらず、計6種類の構造が非常に類似しているため、これまで確定できないままでした。ところが一方、「天然ピレトリン」は折からの天然品仕様への回帰トレンドから、実用的にも、乾燥除虫菊ベースで年間1万トンも世界中で栽培され、その利用価値は非常に高いものです。今回の研究では、全6種類の物性が確定でき、そのうち4種に高い殺虫活性があることが、初めて明らかとなりました。
日本が先導するピレスロイド化学の長年の懸案課題(ミッシング・リンク)に、貴重で有意義な解答を提出できたといえます。
【ポイント】
(1)最新のしかも実用可能な有機化学の合成技術が駆使されています。
(2)除虫菊成分として実用化されているにも関わらず、これまで含有量さえ不明であった「天然ピレトリン」成分の精密な化学的性質を確定できました。
(3)世界中の蚊、さらにはハエ、ゴキブリ、ヒアリなどの問題害虫の駆除に、イメージの良い天然品が使用できます。
(4)天候に支配されやすい除虫菊の栽培からの脱却、すなわち、化学合成による安定した供給の確保としての貢献ができると期待されます。
(5)マラリア・デング熱などの世界の脅威から、安全な天然ピレスロイド殺虫剤の使用が今後ますます期待されます。
【研究成果】
「天然ピレトリン」の正確な化学的性質や殺虫活性を初めて確定しました。合成法や構造決定も、「天然ピレトリン」は、安価な人工ピレスロイドよりかなり困難であるため、ミッシング・リンクであったと考えられます。一方で、ピレスロイド系殺虫剤は,人工ピレスロイドとして30以上の商品として出回ったため、見過ごされてきました。実際に、構造やその人工化学合成法も簡便となったことが主な要因です。
今回、全6種類の物性が確定でき、そのうち4種に高い殺虫活性があることが判明しました。加えて、この論文では、包括的な天然ピレトリンの既存化学合成法の評価も行っています。
(1)最新のしかも実用可能な有機化学の合成技術が駆使されています。
(2)除虫菊成分として実用化されているにも関わらず、これまで含有量さえ不明であった「天然ピレトリン」成分の精密な化学的性質を確定できました。
(3)世界中の蚊、さらにはハエ、ゴキブリ、ヒアリなどの問題害虫の駆除に、イメージの良い天然品が使用できます。
(4)天候に支配されやすい除虫菊の栽培からの脱却、すなわち、化学合成による安定した供給の確保としての貢献ができると期待されます。
(5)マラリア・デング熱などの世界の脅威から、安全な天然ピレスロイド殺虫剤の使用が今後ますます期待されます。
【研究成果】
「天然ピレトリン」の正確な化学的性質や殺虫活性を初めて確定しました。合成法や構造決定も、「天然ピレトリン」は、安価な人工ピレスロイドよりかなり困難であるため、ミッシング・リンクであったと考えられます。一方で、ピレスロイド系殺虫剤は,人工ピレスロイドとして30以上の商品として出回ったため、見過ごされてきました。実際に、構造やその人工化学合成法も簡便となったことが主な要因です。
今回、全6種類の物性が確定でき、そのうち4種に高い殺虫活性があることが判明しました。加えて、この論文では、包括的な天然ピレトリンの既存化学合成法の評価も行っています。
【今後の期待】
環境調和型の天然殺虫剤の化学生産が可能になれば、天候に左右される除虫菊の栽培をカバーするだけでなく、六つの成分のブレンドも自在にできることになります。これが、品質管理上重要となります。
今回の研究成果は特許化しておらず、世界中の化学者が自由に利用できます。関西学院のスクールモットーである''Masterey for Service''(奉仕のための練達)、言い換えれば、さらなる社会貢献に結びつくことが期待されます。
環境調和型の天然殺虫剤の化学生産が可能になれば、天候に左右される除虫菊の栽培をカバーするだけでなく、六つの成分のブレンドも自在にできることになります。これが、品質管理上重要となります。
今回の研究成果は特許化しておらず、世界中の化学者が自由に利用できます。関西学院のスクールモットーである''Masterey for Service''(奉仕のための練達)、言い換えれば、さらなる社会貢献に結びつくことが期待されます。
【論文タイトル】
Momoyo Kawamoto, Mizuki Moriyama, Yuichiro Ashida, Noritada Matsuo, Yoo Tanabe,
Momoyo Kawamoto, Mizuki Moriyama, Yuichiro Ashida, Noritada Matsuo, Yoo Tanabe,
''Total Syntheses of All Six Chiral Natural Pyrethrins:Accurate Determination of the Physical Properties, Their Insecticidal Activities, and Evaluation of Synthetic Methods,'' J. Org. Chem. in press.
川元百世、森山瑞希、蘆田雄一郎、松尾憲忠、田辺陽
川元百世、森山瑞希、蘆田雄一郎、松尾憲忠、田辺陽
「天然ピレトリン6種の完全化学合成:物性の精密決定,殺虫活性,合成法評価」
▼本件に関する問い合わせ先 |
|
広報室 | |
住所 | : 兵庫県西宮市上ヶ原一番町1-155 |
TEL | : 0798-54-6017 |
FAX | : 0798-54-0912 |
大学・学校情報 |
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大学・学校名 関西学院大学 |
URL https://www.kwansei.ac.jp/ |
住所 兵庫県西宮市上ケ原一番町1-155 |
関西学院はキリスト教主義による教育を理念として生まれ、現在は兵庫県西宮市と三田市、宝塚市、大阪府箕面市、大阪梅田、東京丸の内にキャンパスを設け、幼稚園から大学院までを擁する総合学園です。 |
学長(学校長) 森 康俊 |