関西学院大学

関西学院大学 「競技スポーツ局」を創設 ~ 体育会の課外活動は、大学教育の一環としての「正課外教育」へ

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関西学院大学は4月、これまで課外活動であった体育会活動を正課外教育として位置付け、その活動を支援するために「競技スポーツ局(KGAD=Kwansei Gakuin University Athletic Department)」を創設しました。創設について説明する記者会見を4月21日、オンラインで開催。競技スポーツ局長を務める冨田宏治・学生活動支援機構長(副学長)が、運営で協力いただくMGスポーツ株式会社(本社:大阪市北区)の長谷川昌男代表取締役社長とともに、経緯や今後の取り組みについて話しました。4月20日までに加盟が承認された計8団体10チームの主将らも参加しました。

1.設立の背景と経緯
 大学におけるスポーツ活動は、主に「体育会」およびその傘下の各競技団体が、独自の規則などに則って管理運営しており、学生の自主活動として、正課とは一線を画した「課外活動」と位置付けられてきました。一方、近年の高等教育研究において、多くの学生が社会で必要とされる汎用的能力を課外活動によって身につけていることが示されているほか、大学は学生に知識を修得させるだけでなく、汎用的能力の育成や価値観・倫理観等の資質の養成が求められています。また、学生の自主活動とはいえ、大学がその安全配慮義務や管理責任を問われる事案が多く発生しているのも事実です。こうした背景から、関西学院創立150周年を迎える2039年を見据えた、超長期ビジョンと長期戦略からなる将来構想「Kwansei Grand Challenge 2039」では、学生の自主性を尊重しつつ、従来の課外活動を大学教育の一環として「正課外教育」と位置づけ直し、長期戦略(2018-2027)において、大学の下に学生スポーツ活動を統括する組織として「競技スポーツ局」の創設が決定されました。

2.課外活動から正課外教育へ
 「競技スポーツ局」では、正課外教育を実現するため「クラブ活動自体のプログラム化」として、クラブ活動において、自ら目標を掲げて指導者や仲間とともに努力を重ね、練達する過程で、チームワークやリーダーシップ、問題発見・解決能力等の汎用的能力を獲得する、教育的価値の高いプログラムとして再構築していきます。また、クラブ活動に関する教養(当該スポーツ・文化の歴史、哲学、社会学、心理学、マネジメント等)、キャリア形成支援、ボランティア・地域貢献、国際交流支援等のプログラムの開設を、既存の教育分野と調整しながら実現していきます。
 まず「安全性・健全性の向上」「学業との両立」の2つの基礎条件を確立する取り組みから推進し、学生の主体性を尊重しながら大学の教育プログラムとしてスポーツ活動の発展・振興を目指します。「競技スポーツ局」設立に先立ち、留学プログラムとして「スポーツ×海外×英語 English through Sports」(※1)を2018年度に始め、初年度は18名が参加しました。参加者からは、プロ選手との貴重な触れ合い、コーチングやサポート面で得たものが多かったという声があり、部活で行き詰まった際の対応など選手をサポートする側にも学びがあったという声が寄せられています。

3.地域社会への貢献
 スポーツ団体が地域社会に貢献する姿はプロスポーツに限らず、多くの競技団体も取り組んでいます。本学体育会の各部も既にスポーツ教室の開催やボランティア活動、清掃活動などさまざまな取り組みを地域で行っています。「競技スポーツ局」では、これまでの各部の自主的な取り組みを尊重するとともに、加盟する競技スポーツ団体が協力して、キャンパスライフを支えていただいている地域に貢献する活動の意義を学生と共に考え、地域に愛される大学スポーツの実現に資する取り組みを行います。こうした地域での貢献活動の取り組みが近い将来、競技の応援に来ていただくことに結び付くと考えています。地域における住民の皆様の応援が、競技する学生たちの活力となり、地域への貢献から応援の良い循環を作り出し継続していくことで、大学と地域の新たなコミュニティを形作り、発展させていきます。
 また企業と連携しての自主的な貢献活動として、ラクロス部は特定非営利活動法人「Being ALIVE Japan」と、ラグビー部は一般社団法人「神戸ファストジャイロ」との取り組みを計画し、実現に向かい歩み始めています。

4.Kwanseiコンピテンシーとスポーツ
 関西学院は、キリスト教主義に基づく全人教育によって「''Mastery for Service''を体現する世界市民」を育成することを使命としています。その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に身に付けるべき知識・能力・資質を「Kwanseiコンピテンシー」と定め、これを大学の教育に通底するものとして位置づけています。「Kwanseiコンピテンシー」は、各学部の教育課程やそれを補完する全学科目等の「正課教育」だけでなく、クラブでのスポーツ・文化・芸術活動、ボランティア活動、寮生活等の「正課外教育」、さらには友人関係、教員・職員との交流、キャンパスの豊かな自然も含めた大学の多様な「環境」によっても育まれます。この理念に則り、「競技スポーツ局」は、これらの力を身につけるために、先にあげた競技スポーツの取り組みを通じ、課外活動を教育の場に変換していくことを実現させていきます。

<概要>
名  称 :競技スポーツ局(KGAD=Kwansei Gakuin University Athletic Department)
加盟団体 :8団体10チーム(4月21日現在)
      アイスホッケー部、アメリカンフットボール部、硬式野球部、ゴルフ部、サッカー部(男女)、庭球部(男子・女子)、ラグビー部、ラクロス部女子(五十音順)
加盟資格を有する団体: 体育会43部および応援団総部3部
            申請を受け、審査の上、加盟を認める
設立年月日 :2021年4月1日
特設サイト : https://kgad.kwansei.ac.jp/ 

【参考】
・安全性・健全性の向上 学生部員の安全を守り、心身ともに健康を保つことを目指します。学生の行動に関する指導については、大学として基本方針を定め、加盟した競技団体と「競技スポーツ局」で協議のうえで指導者を決定し、学長が監督を委嘱します。その経費の一部を助成するなど体制を整備し、正課外教育の効果を高めるため、指導者に対して安全性、コーチング、マネジメント等の研修を実施していきます。また、会計を含めた運営を透明化していきます。
・学業との両立 競技者である前に学生として学業(正課)を優先する''Student-Athlete''であるという原則を確立していきます。その際、学業成績に基づく練習・試合の出場制限をルール化するとともに、チューター制等による学修支援を強化します。この取り組みは、「競技スポーツ局」設立に先立ち、「Academic Eligibility for KG athletes(関西学院大学体育会員に関する対外試合出場のための資格制度)」(※2)として2019年度から実施しています。

※1...留学プログラム スポーツ×海外×英語 「English through Sports」
 「スポーツ」という新たな切り口で英語と世界に触れる留学プログラムです。関西学院大学とオーストラリア・シドニーの名門、UNSW(ニューサウスウェールズ大学)、さらにスーパーラグビーの強豪チーム、NSW Waratahs(ニューサウスウェールズ ワラターズ)のコラボレーションが実現しました。従来の短期留学で受けられる英語集中学習に加えて、海外プロスポーツチームから得られるスポーツ体験と知識で参加者の「スポーツ観」を変えることも目的として実施しました。
 *2019年度、2020年度はコロナ感染症の影響により中止となりました。
  https://www.kwansei.ac.jp/sports/sports_019311.html

※2...Academic Eligibility for KG athletes(関西学院大学体育会員に関する対外試合出場のための資格制度)
 関西学院大学体育会に所属する学生が、学業の重要性を認識し、学業とスポーツ活動との両立を実現することによって、大学の理念と目標に沿った人材育成を実現し、体育会学生が体育会のモットーである''NOBLE STUBBORNNESS ''(※3)を自ら体現するために、本制度を制定し、2019年度から実施しています。本制度の概要は次の通りとなります。
 ・一定数の単位修得を試合・大会出場の条件とします。
 ・単位が一定数に満たない場合、修学支援プログラムの受講が必要となります。
 ・2019年度以降の入学生で体育会に所属する者が対象となります。
  https://www.kwansei.ac.jp/sports/sports_018843.html

※3...'' NOBLE STUBBORNNESS ''
 ''NOBLE STUBBORNNESS'' はもともと1920年に生まれた硬式庭球部の標語。''stubborn'' という言葉には、「頑固な」「強情な」という軽蔑的な意味と、「断固とした」「不屈の」「手ごわい」などの良い意味があり、ノーブル・スタボネスの標語は「高貴な粘り」「品位ある不屈の精神」「高尚なるねばり強さ」「気品の高い根性」などと訳されながら関西学院大学体育会全体のモットーとなっていった。

▼本件に関する問い合わせ先

関西学院広報室

住所

: 兵庫県西宮市上ヶ原一番町1-155

TEL

: 0798-54-6017

FAX

: 0798-54-0912

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