十文字学園女子大学

十文字学園女子大学大学院のベトナム人留学生が博士号に加え、日本の「調理士免許」「ふぐ調理師免許」取得の快挙 -- ベトナムにフグの食文化を伝え、日越間の水産業の新たな発展を目指す

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十文字学園女子大学(埼玉県新座市)大学院博士課程のベトナム人留学生のヴゥ・テゥイ・リンさん(2021年3月に博士課程修了)が、日本の調理師免許およびふぐ調理師免許を取得する快挙を達成した。リンさんは大学院で、フグを食することが法的に禁止されているベトナムに日本のフグの食文化を伝えるための研究を行ってきており、今後も日越間の水産業の新たな発展を目指していく。

 ヴゥ・テゥイ・リンさんはベトナムの大学を卒業後、フグを主力商品として扱うミツイ水産株式会社(本社:宮崎県延岡市)に就職。日本ではフグが高級な食材として扱われていることを知った。一方、母国ベトナムでは多くのフグが生息しているものの、捕獲も食することも法的に禁止されている。
 このような状況から、「ベトナムにおいてフグを食文化にできないか」と考え、その目的を達成するため、2016年4月に十文字学園女子大学大学院に入学。フグの研究に取り組み、2018年3月に修士課程、2021年3月に博士課程を修了した。

 修士課程では、フグ料理の味がベトナム人に受け入れられるかどうかを調べるために、日本のふぐ調理師免許保持者が、ベトナムにおいて日本の養殖トラフグとベトナムの高級魚(ハタ、サワラ)で、唐揚げ、鍋料理、刺身、ヒレ酒、煮こごり、皮の和え物、たたき、雑炊、白子豆腐を作り、栄養学及び海洋生命学分野の研究者、海産物会社員やフグに関する法律作成に関与する政府職員など100余名を対象とした嗜好テストを実施。その結果、「フグは美味しくて新しい食材になる」という評価が得られた。
 博士課程では、ベトナムの長い沿岸の北から南までの6漁港に水揚げされた合計約100匹のシロサバフグ、クロサバフグの毒性試験を実施。日本と同じく筋肉は食料として安全であることを示唆する結果を得た。

 リンさんは母国のフグ食文化確立のために努力を重ね、大学院の学位に加え、外国人にとっては困難な、日本の「調理師免許」、続いて「ふぐ調理師免許」の取得という快挙を達成した。
 また、リンさんが博士課程に在籍したのと同時期に、ベトナム政府は、水産業を国の主力産業に発展させ、国際競争力を高める方針を掲げている。「フグはその有力な候補になる」と確信するリンさんは、大学院修了後も一層の努力を続けている。

 同大の志村二三夫学長は、「リンさんは、『フグの嗜好調査』『ベトナム産フグの毒性試験』等の研究において、新規性高い知見を得て博士号取得に至りました。その一方で実践者・実務者としての力も必要と考え、ふぐ調理師免許とその前提となる調理師免許の取得に挑み、これらを取得しました。学術と実務・実践両面の力を得たことはまさに快挙です。今後のご活躍に心からのエールをお贈りします」とコメントしている。

※十文字学園女子大学は、ミツイ水産株式会社、ベトナム国立栄養研究所およびベトナム海洋漁業研究所の間で「ベトナムのフグ食文化発展のための日越交流協定」を締結し、リンさんの研究活動を支援しています。

▼本件に関する問い合わせ先

十文字学園女子大学 広報課

野口、原

住所

: 埼玉県新座市菅沢2-1-28

TEL

: 048-477-0555

FAX

: 048-478-9367

E-mail

kohoka@jumonji-u.ac.jp

6188010145332_A_20210319_172207_0027.JPG “フグちゃん”の愛称で親しまれるリンさん

DSC01960_.jpg ヴゥ・テゥイ・リンさん(中央)、志村二三夫学長(右)、国際栄養食文化健康研究所 アジアの栄養・食文化部門 部門長 山本茂教授(左)