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囲碁AIの応用研究開発で目指す「人間の知の拡張」-- ゲームAI技術の発展と実践的応用のための寄附金募集をクラウドファンディングで開始【電気通信大学】

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国立大学法人電気通信大学(東京都調布市)の「エンターテイメントと認知科学研究ステーション」は、ミュージックセキュリティーズ株式会社(東京都港区)と連携し、囲碁AIを題材とした人間の知を拡張する応用研究開発、及びそれを支える囲碁AIの技術交流を目的とした「UEC杯コンピュータ囲碁大会」運営のため、寄附金をクラウドファンディングで募集する。クラウドファンディングの募集プロジェクト名は「人間の知を拡張させるゲームAIの研究開発」で、募集期間は2022年2月28日(月)までとなる。

【本件のポイント】
●国立大学法人電気通信大学がミュージックセキュリティーズ株式会社と連携し、クラウドファンディングにより、ゲームAI技術の発展と実践的応用のための寄付金を募集。
●囲碁AIの技術は、今後人間を超えるAIがさまざまな分野に登場した場合に重要な技術になると予想される。
●UEC杯は囲碁AI技術の振興の場として、参加者が一堂に会する世界的にも最大規模の大会で、今後も継続的に開催する意義は大きい。

 AI(人工知能)が人間のトッププレイヤーを超えるようになった囲碁・将棋の世界では、藤井聡太三冠に代表されるように、AIと戦うという形から、AIをパートナーとして活用しながら自らのレベルアップ(知の拡張)を図ることが日常となってきている。
 ディープラーニング(深層学習)を応用した囲碁AIは進化を続けており、開発者の裾野も広がっている。また、そこで得られた技術は、さまざまな分野に応用されている。
 特に、深層学習や膨大な探索に基づくAI技術は人間の思考過程とは相容れないものであることが多く、それを人間に理解できる表現で提示したり応用したりする技術は、今後人間を超えるAIが登場したときに重要なものになると予想される。

 エンターテイメントと認知科学研究ステーションは2006年の設立以来、囲碁AIをはじめとする最先端のゲームAIの研究を行ってきた。その中で、近年特に力を入れているのが「ゲームAIを用いた人間の知の拡張」。このプロジェクトでは、囲碁AIに代表されるゲームAI技術を用いて人間の知を拡張し、未だ到達しえない新たな境地へと至る技術を切り拓くことを目指している。
 また、このような教育研究活動を推し進めるために、毎年3月に行うUEC杯コンピュータ囲碁大会をはじめとする囲碁AI技術の振興の場を、コロナ禍でも絶やすことなく開催し続けている。
 UEC杯の特徴として、参加者の交流があげられる。参加者同士が一堂に会し技術交流を行える場としては、世界的に見ても最大規模の大会であり、今後も継続的に開催することの意義は大きい。
 このようなゲームAI技術の発展と実践的応用のため、このたびクラウドファンディングを実施することとなった。

 プロジェクトを統括する、研究ステーション長の伊藤毅志准教授(電気通信大学大学院情報理工学研究科)は、「2045年にAIの能力が人間の能力を超えるというシンギュラリティ問題に人類が直面するときに、パートナーとしてのAIとの新しい関係を構築することが必要です。特にAIによる人間の知の拡張、つまり、人智を超える極みを、今、囲碁を題材とした分野で研究しておくことが、この分野のベンチマークとして重要になります」と話している。

 クラウドファンディングの募集内容の概要は下記の通りとなる。

◆クラウドファンディング「人間の知を拡張させるゲームAIの研究開発」概要
【募集期間】2021年(令和3年)10月21日(木)から2022年(令和4年)2月28日(月)まで
【募集WEBサイト】 https://academia.securite.jp/donation/detail?c_id=12
【特典】
・5,000円以上 / 電気通信大学エンターテイメントと認知科学研究ステーションの2021年度活動レポート(寄附者限定特別編集版)
・10,000円以上 / 参加者とプロ棋士による懇親会へのご招待(抽選で10名様)
・100,000円以上 / UEC杯コンピュータ囲碁大会サポーター特典
・1,000,000円以上 / UEC杯コンピュータ囲碁大会協賛者特典
・3,000,000円以上 / UEC杯コンピュータ囲碁大会特別協賛者特典

AIと囲碁
 2015年にグーグルが開発したAlphaGo(アルファ碁)が人間のプロ囲碁棋士を破って以降も、世界で囲碁AIは進化を続けている。クラウドを利用したハードウェアが比較的安価で入手できるようになり、ディープラーニング(深層学習)を応用した囲碁AIはAlphaGo以降も進化し続けており、開発者の裾野は広がっている。
 この分野で得られた技術は囲碁AIにとどまらず、さまざまな分野に応用されている。特に、深層学習や膨大な探索に基づくAI技術は、必ずしも人間の思考過程とは相容れないものであることが多く、人間に理解しやすい表現で提示したり、学習支援に応用したりする技術は、今後人間を超えるAIが多様な分野に登場したときに重要な技術になると想像される。
 同分野の研究を活用することで、近年中国や韓国に後塵を拝してきた日本の囲碁界全体の底上げや、囲碁界だけでなくさまざまな競技分野で世界に伍する人材の育成に役立つことが期待される。

▼本件に関するお問い合わせ先
<寄附募集プロジェクトに関すること>
 国立大学法人電気通信大学 エンターテイメントと認知科学研究ステーション長
 伊藤 毅志 研究室
 E-mail:ito@cs.uec.ac.jp

<電気通信大学基金に関すること>
 国立大学法人電気通信大学 総務企画課 広報・基金・卒業生室 基金・卒業生係
 TEL:042-443-5069
 E-mail:kisotsu-k@office.uec.ac.jp

電気通信1.jpg UEC杯囲碁コンピュータ大会の様子

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