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近畿大学水産研究所(本部:和歌山県白浜町)は、ニホンウナギ(以下 ウナギ)の種苗生産研究に取り組んでおり、令和5年(2023年)7月6日、人工種苗から養成した親魚より仔魚を得ることに成功し、完全養殖を達成しました。現在、仔魚の飼育期間は112日※ となっています。
ウナギの完全養殖については、平成22年(2010年)に国立研究開発法人水産研究・教育機構(以下 水産機構、当時 独立行政法人水産総合研究センター)が成功していますが、大学としては初の成果となります。
まずは養殖用種苗として利用可能になるシラスウナギ(稚魚)までの育成を第一目標としています。今後、仔魚用飼料の改良に取り組むなどして、育成技術の安定化に向けた研究を続けます。
※ 令和5年(2023年)10月26日現在
【本件のポイント】
●近畿大学水産研究所がウナギの完全養殖を達成し、飼育期間が112日になる
●今後は、養殖用種苗として利用可能になるシラスウナギ(稚魚)までの育成が第一目標
●仔魚用飼料の改良に取り組むなどして、育成技術の安定化をめざす
【研究の背景】
ウナギは日本の食文化に欠くことのできない食材ですが、国内消費量の99%以上を養殖に依存しています。現在、ウナギ養殖に用いる種苗はすべて、シラスウナギと呼ばれる天然の稚魚が用いられていますが、近年、漁獲されるシラスウナギの量が著しく減っているため、ウナギ養殖に必要な種苗の確保が課題となっており、一日も早い「完全養殖」の実用化が望まれています。
ウナギの完全養殖をめざす研究は古くから行われ、北海道大学が昭和48年(1973年)に人工ふ化に成功、水産機構(当時 独立行政法人水産総合研究センター)が平成14年(2002年)にシラスウナギまで育成し、平成22年(2010年)には完全養殖に成功しました。しかし、実用的なコストでの大量生産には至っていません。
近畿大学水産研究所では、天然資源に頼らない持続可能なウナギ養殖の実現をめざし、ウナギの完全養殖とシラスウナギまで安定して育てる技術の確立に取り組んでいます。
【研究の内容】
近畿大学水産研究所では、白浜実験場(和歌山県白浜町)で昭和51年(1976年)からニホンウナギの種苗生産研究を開始し、昭和59年(1984年)と平成10年(1998年)に採卵・ふ化に成功しました。しかし、仔魚が餌を食べるまでには至らず、その後、研究は中断していました。平成31年(2019年)3月、浦神実験場(和歌山県那智勝浦町)において、水産機構で開発され、公表されている技術情報をもとに研究を再開したところ、同年9月に人工ふ化に成功しました。
そこから、人工ふ化したウナギの雌雄を親魚として、令和4年(2022年)9月より成長の良いものから順次、催熟※ を開始したところ、令和5年(2023年)7月5日に受精卵が得られ、翌6日には仔魚がふ化して、完全養殖に成功しました。その後、8月3日、8月24日にもふ化が確認されています。今後、3カ月から半年程度でシラスウナギに変態し、一般的な食用サイズに成長するにはそこからさらに約1年程度かかる見込みです。
※ 卵や精子の形成に関与するホルモンなどを投与して人為的に成熟を促進すること。ウナギは、飼育条件下では成熟に関与するホルモンが生産・分泌されないので、どれほど大きく成長しても性成熟が進みません。そのため、他の生物から得たホルモンを用いて成熟を促します。投与したホルモンは短期間で分解され排泄されるので蓄積することはなく、得られた受精卵やふ化仔魚に残留する心配はありません。
●近畿大学水産研究所がウナギの完全養殖を達成し、飼育期間が112日になる
●今後は、養殖用種苗として利用可能になるシラスウナギ(稚魚)までの育成が第一目標
●仔魚用飼料の改良に取り組むなどして、育成技術の安定化をめざす
【研究の背景】
ウナギは日本の食文化に欠くことのできない食材ですが、国内消費量の99%以上を養殖に依存しています。現在、ウナギ養殖に用いる種苗はすべて、シラスウナギと呼ばれる天然の稚魚が用いられていますが、近年、漁獲されるシラスウナギの量が著しく減っているため、ウナギ養殖に必要な種苗の確保が課題となっており、一日も早い「完全養殖」の実用化が望まれています。
ウナギの完全養殖をめざす研究は古くから行われ、北海道大学が昭和48年(1973年)に人工ふ化に成功、水産機構(当時 独立行政法人水産総合研究センター)が平成14年(2002年)にシラスウナギまで育成し、平成22年(2010年)には完全養殖に成功しました。しかし、実用的なコストでの大量生産には至っていません。
近畿大学水産研究所では、天然資源に頼らない持続可能なウナギ養殖の実現をめざし、ウナギの完全養殖とシラスウナギまで安定して育てる技術の確立に取り組んでいます。
【研究の内容】
近畿大学水産研究所では、白浜実験場(和歌山県白浜町)で昭和51年(1976年)からニホンウナギの種苗生産研究を開始し、昭和59年(1984年)と平成10年(1998年)に採卵・ふ化に成功しました。しかし、仔魚が餌を食べるまでには至らず、その後、研究は中断していました。平成31年(2019年)3月、浦神実験場(和歌山県那智勝浦町)において、水産機構で開発され、公表されている技術情報をもとに研究を再開したところ、同年9月に人工ふ化に成功しました。
そこから、人工ふ化したウナギの雌雄を親魚として、令和4年(2022年)9月より成長の良いものから順次、催熟※ を開始したところ、令和5年(2023年)7月5日に受精卵が得られ、翌6日には仔魚がふ化して、完全養殖に成功しました。その後、8月3日、8月24日にもふ化が確認されています。今後、3カ月から半年程度でシラスウナギに変態し、一般的な食用サイズに成長するにはそこからさらに約1年程度かかる見込みです。
※ 卵や精子の形成に関与するホルモンなどを投与して人為的に成熟を促進すること。ウナギは、飼育条件下では成熟に関与するホルモンが生産・分泌されないので、どれほど大きく成長しても性成熟が進みません。そのため、他の生物から得たホルモンを用いて成熟を促します。投与したホルモンは短期間で分解され排泄されるので蓄積することはなく、得られた受精卵やふ化仔魚に残留する心配はありません。
【今後の研究と課題】
ウナギの完全養殖は、受精卵を得てシラスウナギにするまでが一番難しいとされており、今後の研究においては養殖用種苗として利用可能になるシラスウナギまでの育成を第一目標としています。
また、現状の仔魚飼育技術は、特殊な小規模水槽でのみ飼育が可能なものであり、単純に水槽数の増大や水槽規模の拡大といった対策を施すだけでは大量生産の実現は困難です。本学を含め、現在開発されている既存技術では、シラスウナギを低コストで大量生産できる目途は立っていないのが実情です。
なお、本学における現在の飼育技術の大部分は、水産機構が開発したものをベースとしています。今後は、近大マグロで知られる近畿大学水産研究所がこれまでに培ってきた技術と経験をもとに、本学独自のアプローチでウナギの仔魚用飼料の改良に挑戦するとともに、シラスウナギまでの安定した生産技術の確立をめざします。
【近畿大学におけるウナギ研究の経過】
昭和51年(1976年) ウナギの種苗生産研究を開始
昭和59年(1984年) 採卵・ふ化に成功するも餌を食べるまでに至らず
平成10年(1998年) 採卵・ふ化に成功するも餌を食べるまでに至らず、その後研究を中断
平成31年(2019年)3月 研究再開
令和元年(2019年)9月12日 人工ふ化に成功
令和5年(2023年)7月6日 完全養殖に成功
【関連リンク】
近畿大学水産研究所
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/aqua-research/
ウナギの完全養殖は、受精卵を得てシラスウナギにするまでが一番難しいとされており、今後の研究においては養殖用種苗として利用可能になるシラスウナギまでの育成を第一目標としています。
また、現状の仔魚飼育技術は、特殊な小規模水槽でのみ飼育が可能なものであり、単純に水槽数の増大や水槽規模の拡大といった対策を施すだけでは大量生産の実現は困難です。本学を含め、現在開発されている既存技術では、シラスウナギを低コストで大量生産できる目途は立っていないのが実情です。
なお、本学における現在の飼育技術の大部分は、水産機構が開発したものをベースとしています。今後は、近大マグロで知られる近畿大学水産研究所がこれまでに培ってきた技術と経験をもとに、本学独自のアプローチでウナギの仔魚用飼料の改良に挑戦するとともに、シラスウナギまでの安定した生産技術の確立をめざします。
【近畿大学におけるウナギ研究の経過】
昭和51年(1976年) ウナギの種苗生産研究を開始
昭和59年(1984年) 採卵・ふ化に成功するも餌を食べるまでに至らず
平成10年(1998年) 採卵・ふ化に成功するも餌を食べるまでに至らず、その後研究を中断
平成31年(2019年)3月 研究再開
令和元年(2019年)9月12日 人工ふ化に成功
令和5年(2023年)7月6日 完全養殖に成功
【関連リンク】
近畿大学水産研究所
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/aqua-research/
▼本件に関する問い合わせ先 |
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広報室 | |
住所 | : 〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1 |
TEL | : 06‐4307‐3007 |
FAX | : 06‐6727‐5288 |
大学・学校情報 |
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大学・学校名 近畿大学 |
URL https://www.kindai.ac.jp/ |
住所 東大阪市小若江3-4-1 |
学長(学校長) 松村 到 |