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神奈川工科大学(KAIT)(所在地:神奈川県厚木市)は、科学技術振興機構(JST)の情報通信科学・イノベーション基盤創出(CRONOS)の委託研究の下で、「広帯域インラインコンピューティングの実現」に取り組んでいる。この検討の一環で、汎用PCにおける高速なパケット処理の開発基盤として「DPDK-dock 開発環境」を新たに構築。オープンソースソフトウェアとして公開した。
■研究の背景
動画配信やクラウドサービスの普及により、大容量データを効率的かつ低遅延で処理する技術の必要性が高まっている。
神奈川工科大学では、IPv6ベースのセグメントルーティング(*1)(SRv6)(*2)ソフトウェアルータの研究開発を推進しており、その基盤技術としてDPDK(Data Plane Development Kit)を活用している。DPDKは、CPUのコアリソースやネットワークインタフェースカード(NIC)をOSから切り離し、ユーザ空間から直接処理することで高速化を図ることができるが、動作中は内部状況が把握しにくく、プログラム開発には専門性が必要であった。
■DPDK-dock 開発環境の公開
そこで同大は、DPDKのスレッドの動作を対話型に制御可能なShellとDPDKスレッド実行環境(sd-plane)から構成される「DPDK-dock開発環境」を新たに設計・構築した。この環境を用いることで、高速なソフトウェアスイッチ・ルータ機能、ファイアウォールのようなセキュリティ機能、映像処理機能などの複数のDPDKソフトウェア資産の開発に寄与することができる。特にDPDKのスレッドを対話型に自在に割り当て・開始・停止できるようになったことで、デバッグ効率が向上すると共に、複数スレッドの実行スケジューリングにも活用することが可能となる。
このたび、DPDK開発者も使えるよう、ソフトウェアルータのリリースに先駆けてDPDK-dock開発環境および関連アプリケーション(L2リピータ機能、VLANサポート・VLAN変換機能、簡易パケットジェネレータ機能)をMITライセンスのオープンソフトウェアとして公開する。
■今後の展開
神奈川工科大学では2024年10月より、JST CRONOS委託研究のテーマ「広帯域インラインコンピューティングの実現」の下で、「ネットワークやコンピューティングリソースの変化に追従し再構成が可能なネットワークアーキテクチャ」の検討を進めている。
本提案に基づくプラットフォームは、ルータ部とコンピューティング部のDPDKベースのレイヤ間処理を融合し、データ転送を最適化することで広帯域・低遅延性能を達成し、広域テストベッド上でのアプリケーション実証実験を通して早期社会実装に繋げることを目指している。
このプラットフォームの要素として、SRv6ソフトウェアルータの開発を進めており、本DPDK-dock開発環境を基盤として、2025年度末を目標に、自由にカスタマイズ可能なソフトウェアルータをリリース予定。また、従来から取り組んできた8K非圧縮映像処理技術をDPDK-dock開発環境に対応させると共に、コンピューティング部とSRv6ルータ部が密接に連携した「SRv6 End.AN」(*3)プラットフォームの開発や多様なユースケースの発掘を進め、研究開発を加速していく。
■公開URL
・プロジェクトページ: https://github.com/kait-cronos/
・DPDK-dock開発環境: https://github.com/kait-cronos/sdplane-oss/
■用語解説
(*1) セグメントルーティング: ネットワークをセグメントとよぶ要素で表現し、パケットの転送をセグメント指定により行うルーティング方式。
(*2) SRv6(Segment Routing over IPv6): IPv6の拡張ヘッダを利用してパケット単位の経路制御を行う。拡張ヘッダ部にセグメント識別子(SID: Segment Identifier)と呼ぶロケーションと処理情報を複数追加でき、各ルータはパケットをSIDリスト通りに誘導する。
(*3) SRv6 End.AN(End.Application Native): SRv6のパケットフォワーディング機能とアプリケーション処理(ネットワークファンクション)が統合されたモデルで、低遅延インラインサービスチェイニングを実現する。
■研究助成
本研究成果の一部は、JST CRONOSの委託研究(JPMJCS24N9)およびJSPS科研費(22K12021、22K12003)によるもの。
動画配信やクラウドサービスの普及により、大容量データを効率的かつ低遅延で処理する技術の必要性が高まっている。
神奈川工科大学では、IPv6ベースのセグメントルーティング(*1)(SRv6)(*2)ソフトウェアルータの研究開発を推進しており、その基盤技術としてDPDK(Data Plane Development Kit)を活用している。DPDKは、CPUのコアリソースやネットワークインタフェースカード(NIC)をOSから切り離し、ユーザ空間から直接処理することで高速化を図ることができるが、動作中は内部状況が把握しにくく、プログラム開発には専門性が必要であった。
■DPDK-dock 開発環境の公開
そこで同大は、DPDKのスレッドの動作を対話型に制御可能なShellとDPDKスレッド実行環境(sd-plane)から構成される「DPDK-dock開発環境」を新たに設計・構築した。この環境を用いることで、高速なソフトウェアスイッチ・ルータ機能、ファイアウォールのようなセキュリティ機能、映像処理機能などの複数のDPDKソフトウェア資産の開発に寄与することができる。特にDPDKのスレッドを対話型に自在に割り当て・開始・停止できるようになったことで、デバッグ効率が向上すると共に、複数スレッドの実行スケジューリングにも活用することが可能となる。
このたび、DPDK開発者も使えるよう、ソフトウェアルータのリリースに先駆けてDPDK-dock開発環境および関連アプリケーション(L2リピータ機能、VLANサポート・VLAN変換機能、簡易パケットジェネレータ機能)をMITライセンスのオープンソフトウェアとして公開する。
■今後の展開
神奈川工科大学では2024年10月より、JST CRONOS委託研究のテーマ「広帯域インラインコンピューティングの実現」の下で、「ネットワークやコンピューティングリソースの変化に追従し再構成が可能なネットワークアーキテクチャ」の検討を進めている。
本提案に基づくプラットフォームは、ルータ部とコンピューティング部のDPDKベースのレイヤ間処理を融合し、データ転送を最適化することで広帯域・低遅延性能を達成し、広域テストベッド上でのアプリケーション実証実験を通して早期社会実装に繋げることを目指している。
このプラットフォームの要素として、SRv6ソフトウェアルータの開発を進めており、本DPDK-dock開発環境を基盤として、2025年度末を目標に、自由にカスタマイズ可能なソフトウェアルータをリリース予定。また、従来から取り組んできた8K非圧縮映像処理技術をDPDK-dock開発環境に対応させると共に、コンピューティング部とSRv6ルータ部が密接に連携した「SRv6 End.AN」(*3)プラットフォームの開発や多様なユースケースの発掘を進め、研究開発を加速していく。
■公開URL
・プロジェクトページ: https://github.com/kait-cronos/
・DPDK-dock開発環境: https://github.com/kait-cronos/sdplane-oss/
■用語解説
(*1) セグメントルーティング: ネットワークをセグメントとよぶ要素で表現し、パケットの転送をセグメント指定により行うルーティング方式。
(*2) SRv6(Segment Routing over IPv6): IPv6の拡張ヘッダを利用してパケット単位の経路制御を行う。拡張ヘッダ部にセグメント識別子(SID: Segment Identifier)と呼ぶロケーションと処理情報を複数追加でき、各ルータはパケットをSIDリスト通りに誘導する。
(*3) SRv6 End.AN(End.Application Native): SRv6のパケットフォワーディング機能とアプリケーション処理(ネットワークファンクション)が統合されたモデルで、低遅延インラインサービスチェイニングを実現する。
■研究助成
本研究成果の一部は、JST CRONOSの委託研究(JPMJCS24N9)およびJSPS科研費(22K12021、22K12003)によるもの。
▼本件に関する問い合わせ先 |
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神奈川工科大学 研究推進機構 研究広報部門 | |
住所 | : 〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030 |
TEL | : 046-291-3218 |
大学・学校情報 |
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大学・学校名 神奈川工科大学 |
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URL https://www.kait.jp/ |
住所 〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030 |
学長(学校長) 井上哲理 |