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神奈川工科大学

神奈川工科大学がフルハイビジョンの16倍の「8K超高精細映像素材」を、非圧縮のままストリーム型ビックデータとしてクラウド上で編集加工し、ネットワーク配信する実験に成功


神奈川工科大学はこのたび、NICT(独立行政法人情報通信研究機構)が主催する“さっぽろ雪まつり”での実証実験の場に参加。東京―大阪―北陸間の100Gbpsのテストベッドネットワークおよびクラウド設備を用いて、8K超高精細映像素材を非圧縮のままストリーム型ビッグデータとして編集加工し、配信する実験に成功した。


 学校法人幾徳学園 神奈川工科大学 (以下「KAIT」、学長:小宮一三)は、独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」)、国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (以下「NAIST」)、日本電信電話株式会社(以下「NTT」)、エヌ・ティ・ティアイティ株式会社 (以下「NTT-IT」)、株式会社PFU (以下「PFU」)、アストロデザイン株式会社(以下「アストロデザイン」)と共同で、クラウド上での超高精細映像素材の編集加工および多地点への配信実験、モーションキャプチャを用いたリアルタイム映像制作実験に取り組んだ。

 このたび世界初の試みとして、2015年2月にNICTが主催した“さっぽろ雪まつり”実証実験(注1)において、JGN-Xの100Gbps回線およびStarBED3(注2)のクラウド設備を用いて、8K(7680×4320画素・ハイビジョンの16倍)超高精細映像素材(注3)を非圧縮のまま、ストリーム型ビッグデータとしてクラウド上に伝送・蓄積、編集加工し、ネットワーク上で複数の8K超高精細映像素材の選択切替えを行いながら配信する実験に成功した。従来は専用装置でのみ実現できた、8K超高精細映像素材の蓄積・配信や編集加工を、クラウド内のノードを用いて仮想的に実現し、ネットワークを使った遠隔利用ができるようになった。

 同時に、複数地点のモーションキャプチャ(注4)のデータを用いて、リアルタイムで4K高精細映像素材(注3)をCG(Computer Graphics)合成し、札幌の雪まつり会場の模様を紹介する北海道テレビ株式会社(以下「HTB」)の映像素材として提供する映像制作の実験を行う。

 本実験を2015年2月6日に、グランフロント大阪内のナレッジキャピタル(The Lab)内で一般公開する。

【背景および今回の実験概要】
 2020年の東京オリンピックの開催に向けて、8Kや4Kの高精細映像を利用するアプリケーションの研究開発が加速している。これまで、8Kの映像製作には約24Gbpsの伝送ビットレートが必要なため、映像編集や映像効果を付加するためには、専用装置が必要だった。

 KAITでは2013年4月より関係各社と共に、高精細映像素材を安定的に伝送、蓄積配信するストリーミングクラウド技術の研究開発を、NICTのテストベッドJGN-X(注5)を利用して進めてきた。昨年のNICTが主催した“さっぽろ雪まつり”実証実験においては、100Gbpsの回線を使い、既存の4K映像伝送装置(注6)や広帯域IP映像サーバ(注7)を複数台用いて、高精細な8K超高精細映像を圧縮せずに伝送・蓄積配信できることを実証した。これにより、8Kカメラ(注8)のような映像機器をネットワーク接続し、遠隔地のクラウド設備にシームレスに接続できる環境が整った。

 KAITでは次のステップとして、超高精細映像を扱う制作環境を必要な時だけクラウド上のサービスとして簡便に利用できるシステムの構築を目指している。今回は、その第1歩として、クラウド上に8K映像蓄積配信機能や映像加工機能を仮想的に構築したほか、2地点のモーションキャプチャデータを用いて、リアルタイムCG合成を行う4K映像制作の技術検証を行った。

 本実験では、クラウド内のノードを複数台用いて広帯域IP映像サーバの同期処理化(注9)を行うことで、8K高精細映像素材をリアルタイムに蓄積配信が可能な性能(24Gbps)を達成している。同時に、クラウド内のノードで、8K高精細映像素材からPCで視聴可能なプレビュー映像を作成する映像加工を行っている。また、100Gbpsの回線に接続された複数のIPルータによりマルチキャスト(注10)配信機能を構成し、複数の8K超高精細映像素材(24Gbps)の選択的な受信を行うことで、仮想的な映像スイッチング機能を実現した。また、このマルチキャスト配信機能を使い、8K高精細映像素材コンテンツから生成されたさまざまなレートの映像コンテンツをKAITやNAISTに配信している。
 さらに、これらの映像素材のネットワーク上の安定的な配信を実現するため、高精度なネットワーク計測技術(注11)と8K映像トラヒックメータ(注12)を併用して、100Gbps回線の伝送状況を実時間で観測する実験を行っている。

【今後の予定】
 今回の実証実験での結果を踏まえ、超高精細映像素材を用いたクラウド映像製作ワークフローの確立、マルチメディア研究との連携による新たなメディア製作手法の確立の研究開発を進める。

*本実証実験の実施にあたり、シャープ株式会社様、北海道テレビ放送株式会社様、奈良市観光協会様、池上通信機株式会社様、株式会社ナックイメージテクノロジー様、ナパテックジャパン株式会社様、グリーン株式会社様、住友電気工業株式会社様、ピュアロジック株式会社様、株式会社トランス・ニュー・テクノロジー様のご協力をいただきました。本実証実験の一部は、JSPS科研費24800069, 26330121の助成を受けて進めました。

【注釈】
(注1) さっぽろ雪まつり実証実験
 NICTが新世代ネットワーク技術と放送技術の実証実験の場として、テストベッドネットワークJGN-Xを用いた実験フィールドを提供して行う。さまざまなプロジェクトが最新技術を持ち寄り、実験を行う。
(注2) StarBED3 (スターベッド・キュービック)
 NICTが世界最大規模のエミュレーション基盤として運用する、1,300台を超える実験用ノードから構成されるクラウド設備。北陸StarBED技術センターに設置されている。
 [参考URI] http://starbed.nict.go.jp/index.html
(注3) 8K超高精細映像素材/4K高精細映像素材
 「8K」は現行のフルハイビジョンの約16倍にあたる3300万画素を持つ。さまざまな方式が提案されているが、今回は8Kデュアルグリーン方式,フレームレート60P、10bit映像(24Gbps)を扱った。
 「4K」は2014年に試験放送が始まった次世代高品質テレビ規格のこと。さまざまな規格があるが、今回は、映像業界での素材として用いられる4K@60P映像を生成する。
(注4) モーションキャプチャ
 人物や動きをデジタル的に記録する技術のこと。記録された情報を使って、スポーツ選手の身体動作の解析に利用したり、アニメーションの人物表現やゲームキャラクタの動作再現に利用される。キャプチャ技術には、光学式、磁気式などさまざまな方式がある。今回は、複数の赤外線カメラと反射マーカを用いる光学式を用いている。
(注5) JGN-X
 NICTが2011年4月から運用している、新世代ネットワーク技術の実現とその展開のためのテストベッド環境のこと。KAITはJGN-X利用プロジェクトとして、2013年4月に「リアルタイム指向ネットワークコンピューティング技術を用いたストリーミングクラウド機能の検証」というプロジェクトを立ち上げた。KAITがプロジェクトリーダを務め、NICT、NAIST、NTT-IT、PFU、アストロデザイン、NTT未来ねっと研究所の各組織と共同で、高精細映像伝送・蓄積配信実験を進めている。KAITはJGN-Xに20Gbpsで接続を行い、NAISTとの間で各種の利用実験を行っている。
(注6) 4K映像伝送装置
 NTT未来ねっと研究所の技術を基に、PFUからQool Tornado QG70として製品化されている。QG70を1台で、非圧縮ハイビジョン素材(「以下HD」、1.5Gbpsの伝送レート)を4本同時に送受できる性能を有し、装置内の同期で4Kの非圧縮素材を送受可能。また、装置間の同期を行うことで、8K超高精細素材の伝送が可能である。
 [参考URI] http://www.pfu.fujitsu.com/qooltornado/
(注7) 広帯域IP映像サーバ
 NTT未来ねっと研究所の技術を基に、NTT-ITから「viaPlatz XMSサーバ」として製品化されている。本サーバ装置は、1台で4K@60P(12Gbps)を蓄積・配信できる性能を有する。本サーバ装置を2台設置し、入出力装置として「viaPlatz 4Kメディアゲートウェイ」を4台使うことで、8K超高精細素材の蓄積・配信を実現している。
 [参考URI] http://www.viaplatz.com/
(注8) 8Kカメラ
 アストロデザインからAH-4800として製品化された、単板式の超小型なカメラユニット。本製品に8K CCU(カメラコントロールユニット)のAC-4802を接続することで、8Kデュアルグリーン方式の映像が出力される。
 [参考URI]  http://www.astrodesign.co.jp/japanese/product/ah-4800
(注9) 同期処理化
 HDの1.5Gbpsのレートを単位に、これを複数組み合わせて送受するマルチレーン伝送を行っている。このため、レーン間での映像のずれがないように、映像のフレーム番号と周波数同期を行う。
(注10) マルチキャスト
一対多で、一つの送信元から複数の宛先を持つグループに送信する仕組み。送信元から送信したデータを途中のノードで必要な宛先にのみ複製し、要求に応じて必要な伝送経路を選択する機能を持つため、最小限の帯域利用で効率的な伝送が可能となる。今回はマルチキャストルーティングプロトコルにPIM-SM (Protocol-Independent Multicast Sparse Mode) を用い、マルチキャストグループの切り替えによって、受信する内容を選択的に変更する仕組みを利用している。10Gbpsを超える規模でのIPマルチキャストを広帯域で検証した初のケースとなる。
(注11) 高精度なネットワーク計測技術
 JGN-Xは、高精度ネットワーク測定装置PRESTA 10Gを複数配置し、多面的な計測ができる環境を用意している。PRESTA 10Gは、10Gbpsのキャプチャ・ジェネレータ機能を有する10ナノ秒粒度で測定可能なネットワーク測定システムであり、NTT未来ねっと研究所の技術を基に、NTT-IT社から「viaPlatzストリームモニタ」として製品化されている。
 今回はPRESTA 10Gを複数台同期させて観測するほか、100Gbpsの区間の一部のトラヒックを抜き出して、計測を行う。
 [参考URI] http://www.viaplatz.com/
 また、グリーン株式会社「QPシリーズ プラットフォーム」、ナパテックジャパン株式会社「NT100E3-1-PTP、100GbEネットワーク解析アクセラレータ」、住友電気工業株式会社「100ギガビット通信用CFP4 小型光トランシーバ」の製品協力により、100Gbpsストリームモニタプロトタイプを用いて、100Gbps回線を直接計測する実験を実施した。
(注12) 8K映像トラヒックメータ
 KAITでは、複数台の4K映像伝送装置のトラヒックを同時に観測し、使用状況の表示ができるリアルタイムネットワークモニタを開発している。今回は、80Gbpsまでのトラヒック伝送状況の可視化を行う拡張を行った。

▼本件に関する問い合わせ先
 神奈川工科大学 工学教育研究推進機構
 〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
 担当: 山本 博一
 TEL: 046-291-3218
 E-mail: yamamotohkz@ccy.kanagawa-it.ac.jp


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