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帝京大学医真菌研究センターが動物園のコアラから「新種の酵母」を発見

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クリプトコックス症からコアラを守るため、日本中の動物園で飼育されているコアラの鼻腔を調べている帝京大学医真菌研究センターでは、このたび新種の酵母を発見。コアラにちなんで「スポロボロマイセス・コアラエ」と命名し、微生物新種記載の上で最も権威ある「International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology」の2008年第58巻12月号に発表した。

 帝京大学医真菌研究センターでは、コアラ病として恐れられているクリプトコックス症から、動物園で飼育されているコアラを守るために、日本中の動物園で飼育されているコアラの鼻腔を調べている。その過程で、健康なコアラから見慣れない酵母を発見した。その酵母を微生物学的・分子生物学的に調べたところ、新種であることが判明したため、コアラにちなんで「Sporobolomyces Koalae(スポロボロマイセス・コアラエ)」と命名し、微生物新種記載の上で最も権威ある「International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology」の2008年第58巻12月号(※)に発表した。

(※)http://ijs.sgmjournals.org/cgi/content/abstract/58/12/2983

 今回発見された新種酵母と同じ仲間の菌は、主に落ち葉や枯れ枝から見つかるが、空中や2000m以深の深海にも生息することが知られている。動物の鼻腔にもヒトと同じくさまざまな微生物が常在していることが知られているが、動物によってどのような微生物が生育しているかという疑問にはまだ十分答えられていない。帝京大学医真菌研究センターでは、これら微生物がヒトや動物にどのような影響を及ぼしているかを調べることも、わが国を代表する医真菌研究機関としての同センターの課題であるとしている。

(参考)帝京大学医真菌研究センター: 冲永荘一帝京大学総長(当時)の発案により、1983年10月、帝京大学医学部に付置設立された。設立の目的は、わが国における医真菌学および関連領域における研究の発展と教育の向上ならびに国際交流の推進をはかることにある。同センターの機能・活動の内容は、真菌症の診断・治療法の開発、病原真菌の病原因子と薬剤耐性機構の解析、真菌細胞の超微細構造の解析、さらに病原真菌の主要な特性に関する分子生物学的研究など多岐にわたっているが、これに加えてヒトおよび動物に対して病原性をもつ真菌菌株の収集保存および分譲がその主要な柱の一つとなっている。真菌菌株としては、国内の臨床症例から分離されたものが大多数であり、現在急速に進展している病原真菌の分類系統学的研究ならびにこれらの真菌に起因する真菌症の疫学、病因論、免疫学、診断法および化学療法などの研究に欠かせない貴重なものとなっている。

▼本件に関する問い合わせ先
 帝京大学 大学PR推進室
 〒173-8605 東京都板橋区加賀2-11-1
 TEL: 03-3964-4162
 http://www.teikyo-u.ac.jp