龍谷大学

龍谷大学ときょうとNPOセンターによる公共施設運営を通じた地域課題解決プログラム「Ryu-SEI GAP」がスタート~300人の学生を前に協定を締結

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龍谷大学政策学部は、特定非営利活動法人きょうとNPOセンターが指定管理者として管理・運営を行う「京都市伏見いきいき市民活動センター」「京都市東山いきいき市民活動センター」の運営を通して、新たな公共施設の在り方や運営モデルの構築を実現するため、きょうとNPOセンターと相互協力に関する協定を締結。7月25日に記者会見を行った。大学がこのような形で公共施設の運営に関わるのは日本初。

 龍谷大学政策学部は今回の協定により、きょうとNPOセンターが管理・運営する両施設において、学生や教員らが正課・課外などで地域社会の課題解決に取り組むプログラム“Ryu-SEI GAP(龍谷大学 政策学部 Glocal Action Program)”をスタート。「サービスラーニング」の手法なども取り入れて、地域社会のニーズを汲み取った形での取り組みを長期にわたって行う予定である。

 龍谷大学深草学舎で行われた会見では、はじめに同協定の趣旨について、きょうとNPOセンター野池雅人事務局長から説明があり、続いて、きょうとNPOセンター理事長武田道子氏と政策学部長の白石克孝教授によって協定書が取り交わされた。そして、新たに始まる地域課題解決プログラム“Ryu-SEI GAP”について白石学部長から説明があった。会見では、政策学部1年生の授業科目「現代社会の市民性を学ぶ」の中で行われ、同プログラムの対象となる学生300人も同席した。

◆龍谷大学政策学部・きょうとNPOセンター相互協力に関する協定について

【連携の目的】
 社会問題の対処から積極的な社会課題の解決に向けて
 「民」「民」による新たな行動軸を創造し実践する関係を目指して

 本協定の目的は、地域での課題発掘やコーディネート、ファシリテートを得意とするきょうとNPOセンターと、地域協働を掲げ、多くの知恵や多様な人材、豊富な資源をもつ龍谷大学が連携することを通じて、地域と共に考え、知恵を共有し、地域に生まれる様々な可能性をつなぎ、その成果を地域に還元することである。

 大学に求められる社会的役割は、研究と教育である。これまでの研究対象としての地域から、研究対象と研究成果を生かすための循環した地域との関係性の構築が求められ、地域に開かれた大学から、地域や社会のための大学が今後求められているのではないだろうか。また、地域との関係が構築されることで、学生の学びに対して新たな選択肢を広げ、実践する力を備えた育成ができる。学生という資源が地域で生かされると共に、学生にも地域からの学びを提供することで、「大学のまち京都」の新たな地域連携モデルの創出につながると考える。

 一方、きょうとNPOセンターの使命は、地域や社会の変革である。真の市民社会の実現を目指し、これまでの「NPO支援」という枠を越える必要があると私たちは考えている。特に、今回私たち指定管理者として管理運営を行ういきいきセンターにおいて、京都市市民活動総合センターとは違った、地域のための拠点として位置づけ、様々な地域の課題を受け止め、大学や企業等の民の連携によって、地域課題を解決するための仕掛けづくり展開したいと考える。地域や社会の課題は本来その地域や社会の中に解決の糸口があること、その主体は、「行政」ではなく、「市民」であるというコンセプトを掲げたい。そのためにも、市民が主人公となる新たな地域課題の解決にむけた仕掛けづくりやそれらを保障する環境整備が重要であると考えている。

 今回の連携を通じて、地域の課題を地域内の住民だけで取り組むのではなく、NPOと大学が連携し、多様な資源とマッチングし共に行動することで、地域の受け入れ力、巻き込み力の向上、そしてこれを通じた新たな学生の学びの場の創造を図りたい。
 また、将来的にはこういった公共施設が民の力で支えられ、民の力で運営されるモデルとして全国に波及することも目指したいと考えている。

【いきいきセンターについて】
 2011年4月、京都市は、いきいき市民活動センターを市内13か所に開設し、きょうとNPOセンターは、「伏見」「東山」の2つのセンターの指定管理者となった。今回、新たな公共施設のモデルの創造を行うべく、いきいきセンターを通じて、上記協定の展開を図りたいと考える。

●いきいきセンターの方向性
(1)地域や社会に存在する矛盾や課題に対して真摯に向き合うと共に、市民の英知や
   行動をつなぎ、引き出し、活動に繋げるなど、市民の協同性を引き出し、発信するセ
   ンターを目指す。
(2)地域にある様々な財(人、文化、歴史、価値観、知恵など)を集積し、従来の市民
   活動支援の手法に捉われない市民の「行動」を生み出し、価値を創出するセンター
   を目指す。
(3)企業や大学などの様々な社会資源との連携を促進し、そこから生まれる人の学びや
   地域経済の波及効果といった成果を地域に還元し、循環させるセンターを目指す。

●伏見いきいきセンターについて
 伏見いきいきセンターは龍谷大学と近接地もあるため、学生や市民の可能性や能力を引き出すトレーニングやまちづくりに特化した事業を展開したい。例えば、キャップストーンプログラムなどの展開や大学のリソースを活用した企業との連携拠点やコラボレーションの拠点として取組んでいきたい。具体的には、私たちが提唱する「グローカル・アクション・プログラム」を展開し、龍谷大学が持つさまざまなノウハウを生かし、地域に介在する課題を地域住民や地域で活動する各種団体、NPO・市民活動団体、地元企業等と学生・教員が主体となって抽出、整理を行う。
 そして、きょうとNPOセンターが得意とするリエゾン、コーディネート機能を生かし、課題解決に向けたアクションプランを学生と共に考え、他の団体等と連携しながら実践していきたいと考える。

●東山いきいきセンターについて
 東山いきいきセンターは、「まち」の価値を蓄積し、表現し、発信することに特化した事業を展開したい。具体的には、センター内に「コミュニケーションデザインスタジオ」を設置し、学生や市民がまちの価値や課題を発掘し、加工し、表現する取組みを展開する。また、それらをアーカイブし、新たな「まちづくり」の価値創造と発信の拠点を目指す。そのため映像の撮影・編集・発信環境等の技術面を整えるだけでなく、地域住民等と連携しながら、様々な文化や活動の歴史をアーカイブし、それらをより魅力的に伝えるソフト開発を目指していきたい。具体的には、グローカル・アクション・プログラムと連携し、地域の課題そのものやその成果を広く発信、共有していくための事業を展開する。将来的には、さまざまな大学の研究成果を地域に還元する拠点を目指したい。

▼本件に関する問い合わせ先
 龍谷大学政策学部教務課(担当:栗田・鈴木)
 TEL: 075-645-2285

2360 協定を締結する龍谷大学政策学部白石学部長(左)と、きょうとNPOセンター武田理事長(右)

2361 300人の学生も協定締結に同席した。

2362 伏見いきいきセンター(外観)

2363 東山いきいきセンター(外観)