横浜市立大学

やせ型インスリン抵抗性と骨格筋との関わりを解明~糖尿病発症抑制の新たな可能性~『Scientific Reports』に掲載(英国時間2月12日午前10時付:日本時間2月12日午後7時付)~

大学ニュース  /  先端研究

  • ★Facebook
  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学の大城光二医師、田村功一主任教授、涌井広道講師、小豆島謙護博士、医学部医学科5年生の岸尾望氏らは、やせ型インスリン抵抗性の発症・進展に関わるメカニズムの一部を解明しました。
◆研究成果のポイント
〇骨格筋での糖取り込み低下がやせ型なのにインスリン抵抗性を示す重要な要因
〇この糖取り込みの低下に関わるアンジオテンシン受容体の過剰な活性化をATRAPで改善できる

◆今後の展開
 本研究の意義は、肥満、脂質異常や血圧上昇を伴わずとも、RAS過剰亢進により骨格筋での糖取り込みが低下しインスリン抵抗性が生じ得ることを明らかにした点です。これまでは、メタボリック症候群の主体である内臓脂肪型肥満に付随する脂肪組織RAS亢進と血圧上昇、インスリン抵抗性の関わりが注目されてきましたが、今回の研究成果により、やせ型で血圧正常範囲の健常者の中にも、インスリン抵抗性、延いては糖尿病進展への病態を抱えている人が隠れている可能性があると考えられます。
 また、これまでの研究と合わせて、脂肪組織や骨格筋でのATRAPの活性化が、肥満だけでなく非肥満状態においてもAT1受容体の過剰な活性化を抑制することで、インスリン抵抗性を改善させることがわかりました。さらに、AT1受容体系の完全な遮断は、脂肪細胞分化障害などを介し、かえってインスリン抵抗性を増悪させてしまうのに対して、ATRAP活性化は組織の分化障害を起こさずに、AT1受容体の過剰な活性のみを選択的に抑制するという機能上の大きな利点をもつこともわかっています。したがって、今後開発が期待されるATRAP活性化治療によって、効率的に糖尿病の発症を抑制できる可能性があり、国民の健康増進に大きく貢献できると考えられます。

※研究成果の詳細については添付のPDFをご覧ください

▼お問い合わせ先
 学術院医学群 循環器・腎臓・高血圧内科学 涌井広道
 主任教授 田村功一
 E-mail: hiro1234@yokohama-cu.ac.jp(涌井)
 tamukou@med.yokohama-cu.ac.jp(田村)
 TEL:045-787-2635
 FAX:045-701-3738

(取材対応窓口、資料請求など)
 研究企画・産学連携推進課長 渡邊 誠
 TEL:045-787-2510
 E-Mail:kenki@yokohama-cu.ac.jp