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『真核生物の分類体系』改訂に島野智之教授(自然科学センター/国際文化学部)が日本人として初参加 世界47人の生物学者による、生物学・分類学上での地球20億年の真の分類体系に近づける研究成果

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2019年1月20日、国際原生生物学会により電子ジャーナル『ユーカリオティック=マイクロバイオロジー誌』上で公開された『真核生物の分類体系の改訂(原題:Revisions to the Classification, Nomenclature, and Diversity of Eukaryotes)』(Adlほか、2019)に、世界の47人の生物学者の一人として島野智之教授(自然科学センター / 国際文化学部)が参加しました。なお島野教授は日本人として唯一の参加であり、日本人の参加は今回が初となります。

 『真核生物の分類体系』は、国際原生生物学会による植物や動物などを含む真核生物の分類体系であり、2005年の発表以来、2012年に続く2回目の改訂となります。この分類体系は「スーパーグループ(supergroup)」という概念を用います。18世紀から使われてきた「リンネ式階層分類体系」の「植物界」「動物界」「菌界」が示す「人間と似ているか違っているか」という発想とは異なり、遺伝子配列の解析から予想される進化に基づいた真核生物の体系として提案されました。この新しい分類体系から、真核生物の多様性のほとんどは原生生物とよばれる真核単細胞生物にあることが明らかになりました。なお原生生物は約20億年前に地球上に出現した一方で、多細胞生物は約6億年前、陸上動物や植物は約4億年前に現れたことが知られています。スーパーグループは、日本語で「超界」などと訳されることもあります。

 2012年の改訂以来、遺伝子配列解析の技術の革新とコンピュータの性能向上により、真核生物全体の系統解析の研究成果が続々と発表され系統関係が大きく再編されました。今回の改訂の代表的な内容としては、2012年の改訂でスーパーグループをさらに大きく「アモルフェア」「ディアフォレティケス」「エクスカバータ」の3つに分類していましたが、それらのうち「エクスカバータ」が解体されたことなどがあげられます。今回の提案で、真核生物大系統の中で位置関係が定まっていなかった系統群が明確になってきた一方、エクスカバータに分類されていた生物をはじめ、未だ進化の道筋がわからないものも少なくありません。進化の道筋が未解明の原生生物の一部にはヒトに重篤な病気を起こす寄生生物も含まれており、今後の解析の進展が待たれます。

<島野智之教授 プロフィール>
 専門は原生生物学・ダニ学・系統分類学。1968年生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科修了。博士(学術)。農林水産省主任研究員、OECDリサーチフェロー(ニューヨーク州立大学)を経て、宮城教育大学准教授、フランス国立科学研究所招聘フェロー。2014年4月より法政大学・国際文化学部/自然科学センター教授。著書:永宗・島野・矢吹(編)2018「アメーバのはなしー原生生物・人・感染症ー」(朝倉書店)など。

▼本件に関するお問合せ
 法政大学自然科学センター・国際文化学部教授 島野 智之
 TEL:03-3264-9345(国際文化学部) 
 E-Mail: sim@hosei.ac.jp

▼報道担当
 法政大学広報課
 TEL:03-3264-9240 
 E-mail:pr@adm.hosei.ac.jp