日本獣医生命科学大学の吉村久志准教授らによる調査で新たに発見されたニホンオオカミの遺物(上顎吻端部を用いた根付)が、国立科学博物館の特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」で展示予定
さらに、ニホンオオカミのゲノム解析を専門とする総合研究大学院大学 統合進化科学研究センターの寺井洋平准教授が、微量の骨粉からPCR法によりミトコンドリアDNAを増幅し、得られた遺伝子配列を既知のニホンオオカミの配列と照合した。
本遺物は、根付として加工するため、上顎吻端部が第2前臼歯の後方で切断されており、上顎骨と鼻骨の一部、および切歯骨のほぼ全体が残存している。現状の上顎骨長は57.9mm、上顎骨幅(犬歯位置)は41.6mmであった。右犬歯の歯冠高は26.3mmと、ニホンオオカミのものと考えて矛盾しない長さを示していた。骨の背側と切断面には黒漆、口腔側には赤漆が厚く塗られていた。また、犬歯と第1前臼歯の間の正中部には、紐穴が上顎骨から鼻骨を貫通する形で穿たれ、その紐の一端には黒漆塗りの円柱状木片が結びつけられていた。
またCT画像では、鼻腔内に正常なイヌ科動物であれば存在する鼻中隔や鼻甲介等の構造がみられず、加工時に内部構造をかき出したことが示唆されたほか、切歯根周囲の上顎骨に骨融解が認められなかったため、比較的若い個体である可能性が示された。
さらに、ミトコンドリアDNA解析では、得られた配列がニホンオオカミのものと完全に一致し、形態の測定値と併せてニホンオオカミである可能性が極めて高いことが証明された。
ニホンオオカミは20世紀初頭に絶滅したとされ、現存する剥製は国内にわずか4体のみである。一方、江戸時代から明治時代にかけて、ニホンオオカミの頭骨は病気治癒の呪具として使用され、顎骨を用いた根付は山仕事をする人々が魔除けとして身に着けていたと伝えられている。そのため、ニホンオオカミの頭骨やその一部とされる遺物は、日本各地の民家などに一定数保管されていると考えられ、形態学的にニホンオオカミと判断されたものも少なからず存在する。しかし、DNA解析によってその由来が証明された例は多くない。
こうしたことから、このたび、同遺物が3月から国立科学博物館で開催される特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」において展示される予定である。
1 獣医保健看護学応用部門 病態病理学研究分野
2 同上 大学院博士課程
3 獣医放射線学研究室
4 総合研究大学院大学 統合進化科学研究センター
◆特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」概要
3月15日(土) ~ 6月15日(日)
※休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)、5月7日(水)
9:00~17:00(入場は16:30まで)
※ただし毎週土曜日、4月27日(日) ~ 5月6日(火・休)は19:00まで延長(入場は18:30まで)。
※常設展示は4月26日(土) ~ 5月6日(火・休)は18:00閉館(入場は17:30まで)。それ以外の期間、常設展示は17:00閉館(入場は16:30まで)。
<一般・大学生> 前売券:2,000円 当日券:2,100円
<小・中・高校生> 前売券:500円 当日券:600円
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