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【中部大学】インターネット依存とギャンブル問題はつながっていることが判明 ー大学生5,000 人超の大規模調査から見えた実態 ー

中部大学では保育者や教育者を養成する現代教育学部と医療分野の専門家を養成する生命健康科学部が共同で実施した大学生5,000 人超の大規模調査から見えた実態で、インターネット依存とギャンブル問題はつながっていることを明らかにしました。現代教育学部幼児教育学科の山本彩未准教授と生命健康科学部スポーツ保健医療学科の伊藤守弘教授らはオンラインカジノ時代の新たなリスクだと考え、今回の研究を実施しました。成果として得られた特に重要な点は、「ネット依存」と「ギャンブル問題」を別々の問題ではなく、脳内の報酬系(ドーパミンシステム)に共通の基盤を持つ「行動嗜癖」として捉えた点です。スマホを手放せない、ゲームやSNS が止まらない、という状態と、パチンコやオンラインカジノが止まらないという状態は、脳の仕組みの上では本質的に似たメカニズムが働いている可能性があります。今回の研究結果から、「ネットにはまっている」「ギャンブルが気になる」——これらのサインを見逃さないことが早期支援につながると思います。研究成果は中央ヨーロッパ夏時間(CEST)の5月8日付で、行動科学の専門誌Behavioral Sciencesに掲載されました。

研究成果のポイント

  • インターネット依存傾向が高い大学生ほど、ギャンブル問題を抱えるリスクが有意に高い
  • 睡眠不足・運動不足など不健康な生活習慣がインターネット依存と深く関連
  • オンラインカジノの普及が進む現代において、両者を「一体の問題」として捉えた予防が必要
  • 大学生5,083人を対象とした国内最大規模クラスの調査に基づく
  • 現代教育学部と生命健康科学部の研究者が学部を超えて連携した異分野共同研究

研究成果の概要

中部大学では保育者や教育者を養成する現代教育学部と医療分野の専門家を養成する生命健康科学部が共同で実施した大学生5,000 人超の大規模調査から見えた実態で、インターネット依存とギャンブル問題はつながっていることを明らかにしました。現代教育学部幼児教育学科の山本彩未准教授と生命健康科学部スポーツ保健医療学科の伊藤守弘教授らはオンラインカジノ時代の新たなリスクだと考え、今回の研究を実施しました。成果として得られた特に重要な点は、「ネット依存」と「ギャンブル問題」を別々の問題ではなく、脳内の報酬系(ドーパミンシステム)に共通の基盤を持つ「行動嗜癖」として捉えた点です。スマホを手放せない、ゲームやSNS が止まらない、という状態と、パチンコやオンラインカジノが止まらないという状態は、脳の仕組みの上では本質的に似たメカニズムが働いている可能性があります。今回の研究結果から、「ネットにはまっている」「ギャンブルが気になる」——これらのサインを見逃さないことが早期支援につながると思います。研究成果は中央ヨーロッパ夏時間(CEST)の5月8日付で、行動科学の専門誌Behavioral Sciencesに掲載されました。

研究の背景 ― オンラインカジノ時代の新たなリスク

スマートフォンの普及により、私たちはいつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境に生きています。しかしその利便性の裏側で、「ネット依存」や「ギャンブル依存」といった問題が若者の間で深刻化しています。

これらは単なる「意志の弱さ」や「習慣の問題」ではありません。ギャンブル依存症は、世界保健機関(WHO)や米国精神医学会(APA)が定める国際的な診断基準において、正式な「疾患」として位置づけられています。インターネット依存についても、脳の報酬系に関わる神経学的な変化を伴うことが明らかになっており、適切な支援や介入が必要な健康問題です。やめたくてもやめられない——それは病気のサインである可能性があります。

特に近年、海外のオンラインカジノへのアクセスが若年層にも広まりつつあり、日本でもIR(統合型リゾート)整備が進むなど、ギャンブルと日常生活の距離はかつてないほど縮まっています。スマホ一台でいつでも賭けられる環境は、ネット依存とギャンブル依存を同時生む「温床」になりかねません。

こうした社会背景のもと、中部大学では現代教育学部と生命健康科学部の研究者が学部の垣根を越えてチームを組み、日本の大学生を対象にインターネット依存とギャンブル問題の関連を大規模に調査しました。教育、保健・医療、スポーツ科学など異なる専門分野の知見を持ち寄ることで、この複雑な問題を多角的に捉えることが可能になっています。

調査の概要

対象

愛知県内の1大学に在籍する学部生 5,083 名(男性68.5%、女性31.5%)
*大学健康診断受診時に同意・回答が得られた5,127 名のうち、欠損値のない5,083名を解析対象。5,083名は在籍者人数とは異なる。

⽅法

年度初めの定期健康診断時にオンライン質問紙を実施

調査期間

2025年3月〜4月

使⽤尺度

インターネット依存尺度(IAT:Internet Addiction Test)、問題ギャンブル尺度(SOGS:South Oaks Gambling Screen)

IATは世界的に広く使われるネット依存の評価ツールで、スコアに応じて「低リスク群」「中リスク群」「高リスク群」に分類されます。SOGS はギャンブル問題のスクリーニング尺度で、「問題なし」「潜在的問題群」「問題群」の3段階で評価します。

主な調査結果

■ ネット依存とギャンブル問題は強く関連

ギャンブル経験者856名の中でSOGSスコアを分析したところ、IATのスコアが高い人ほど、ギャンブル問題を抱えている割合が高いことが示されました。これらの結果から、ネット依存傾向とギャンブル問題との関連が示されました。

■ 大学生の約17%にギャンブル経験あり

回答者全体の16.8%(約6人に1人)がギャンブル経験を持ち、そのうち約半数(54.0%)が「潜在的問題群」に相当するスコアを示しました。問題ギャンブルの疑いがある学生は全体(5,083名)の0.3%弱(14名)と少数ですが、潜在的なリスクを抱える層は決して少なくありません。

■ ネット依存には「生活習慣の乱れ」が深く関係

インターネット依存のリスクが高い学生ほど、以下の生活習慣の問題が顕著でした。

▶ 睡眠の質に不満を感じている
▶ 運動習慣がほとんどない
▶ 食事を菓子やスナックで代替しがち
▶ 栄養バランスを意識していない

これらの習慣の乱れが、脳の自制心を担う前頭前皮質の機能を低下させ、依存行動を引き起こしやすくする可能性が考えられます。

■ ギャンブル問題は「家族の影響」が大きな要因

問題ギャンブルのリスクには、親のギャンブル問題の有無が関係していました。親にギャンブル問題がある学生は、そうでない学生に比べて問題群に分類されるリスクが高く、家庭環境や遺伝的背景などの影響が関与している可能性が考えられます。

■ 男性・低学年ほどリスクが高い傾向

ネット依存・ギャンブル問題のいずれも、男性に多く見られました。また、ネット依存については1〜3年生が4年生よりも中等度のネット依存リスクが高く、入学直後の時期に特に注意が必要なことが示されました。

この研究が社会に伝えること

今回の研究が特に重要なのは、「ネット依存」と「ギャンブル問題」を別々の問題ではなく、脳内の報酬系(ドーパミンシステム)に共通の基盤を持つ「行動嗜癖」として捉えた点です。スマホを手放せない、ゲームやSNS が止まらない、という状態と、パチンコやオンラインカジノが止まらないという状態は、脳の仕組みの上では本質的に似たメカニズムが働いている可能性があります。

【実社会への示唆】

▶ オンラインカジノ規制・IR 整備が進む現在、「ネット利用の問題」と「ギャンブル問題」は切り離して考えられない
▶ ソーシャルゲームのガチャ課金は、ギャンブルへの入口になりうる
▶ 大学の健康支援は「ネット・ギャンブル・生活習慣」を一体的に扱う必要がある
▶ 睡眠・運動・食事の改善が、依存予防の第一歩になりうる

予防医学の研究室が、なぜこの課題に取り組むのか

本研究を担った中部大学の研究グループは、予防医学を専門としています。予防医学とは、病気になってから治療するのではなく、「病気になる前に防ぐ」ことを目指す医学の分野です。

依存症はいったん深刻化すると、本人だけでなく家族や職場など周囲にも大きな影響を与え、回復までに長期間を要します。だからこそ、問題が表面化する前の段階——まだ「依存の入口」にいる若者——を対象にした実態把握と早期介入が、社会全体のコストを大きく減らすことができます。

大学生という時期は、親元を離れ自由度が増す一方で、脳の自制心をつかさどる前頭前皮質がまだ発達途上にあります。この「脆弱な時期」を科学的に捉え、リスクの構造を明らかにすることは、予防医学が果たすべき重要な役割です。ネット依存とギャンブル問題という二つの現代的な健康課題を、生活習慣も含めて包括的に調査した本研究は、まさにその使命に応えるものです。

さらに本研究の強みは、現代教育学部(幼児教育・教育科学)と生命健康科学部(保健・看護・スポーツ科学・生命科学)という異なる学問領域の研究者が一つのチームとして取り組んだ点にあります。「若者の健康と育ち」を教育と医学・保健の両面から捉えるこの連携体制が、依存症予防という複合的な課題に対応するうえで大きな強みとなっています。

研究グループからのメッセージ

「ネットにはまっている」「ギャンブルが気になる」——これらのサインを見逃さないことが早期支援につながります。本研究の成果が、大学における健康支援プログラムや、社会全体での行動嗜癖に対する啓発活動に活かされることを願っています。

今後は縦断調査や複数大学での研究を通じて、因果関係の解明や予防・介入モデルの構築を進めていく予定です。

論文情報

雑誌名:Behavioral Sciences
論文タイトル:Internet Addiction and Problem Gambling Among Japanese University
Students: Comorbidity and Lifestyle Correlates
著者:Saimi Yamamoto, Tsukasa Yamamoto, Harumi Ejiri, Yoko Iio, Yukihiro Mori,
Manato Seguchi, Yuka Aoyama, Morihiro Ito
DOI:10.3390/bs16050728

お問い合わせ先

研究内容に関すること
山本彩未(中部大学 現代教育学部 幼児教育学科 准教授)
電子メール:s-yamamoto@fsc.chubu.ac.jp

研究内容に関すること
伊藤守弘(中部大学 生命健康科学部 スポーツ保健医療学科 教授)
電子メール:m-ito@fsc.chubu.ac.jp

本件に関するお問い合わせ先

中部大学 入試・広報センター(広報課)

TEL
0568-51-5541
E-mail
chubu-info@fsc.chubu.ac.jp

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