【名城大学×筑波大学】正体不明のイシノミが昆虫の配偶行動の進化上の重要な特徴を持っていた!
75年あまり前、北海道厚岸町からHalomachilis属のイシノミが新種として記載されました。しかし、記載は極めて不十分で、しかもこの属は日本に存在するはずのないものであるなど、再検討が強く望まれていました。今回、本種と同定できるイシノミを多数採集し、その正体を明らかにしました。その結果、本種は極東固有の数種が知られるのみのヤマトイシノミモドキ属であることが判明しました。さらに、詳細に検討したところ、このイシノミは、昆虫の陸上進出に不可欠であった配偶行動の進化の理解につながる、驚くべき特徴を持っていることが確認できました。
町田 龍一郎 客員研究員
名城大学農学部生物資源学科昆虫学研究室
武藤 将道 助教
75年あまり前、北海道厚岸町の岩礁から、Halomachilis akkesiensisとHalomachilis kojimaiという2種類のイシノミが新種として記載されました。しかし、両者とも記載は簡単で極めて不十分なものである上に、Halomachilisという属は日本には存在しないはずのもので、再検討が強く望まれていました。
ヤマトイシノミモドキ属で最も注目されてきた特徴の一つは、特殊化した雄の外部生殖器ですが、これまで、十分な検討ができませんでした。しかし、本研究により、ヤマトイシノミモドキ属での雄外部生殖器の極度な特殊化が確認され(図2右)、予想されていた本種での雄生殖器の把握機能が強く示唆されました。ほとんどの昆虫を含む有翅昆虫類は、雄と雌が外部生殖器をしっかり結合させる「交尾」により移精が完了します(直接移精)。一方、翅を未だ獲得していないイシノミ目を含む無翅昆虫類では、交尾器が発達しておらず、雄が基物に置いた精子滴(精包)を雌が拾い上げることで移精(間接移精)が行われます。間接移精を行う無翅昆虫類は湿潤環境のみでしか生息できませんが、有翅昆虫類が直接移精である「交尾」を獲得したことで、昆虫類は生息域をいたるところに拡大でき大繁栄がもたらされるようになったのです。従って、ヤマトイシノミモドキ属の雄外部生殖器の把握機能は、「交尾」への初原状態を示している、あるいは、間接移精から直接移精への進化のミッシング・リンクを提示している可能性が示唆されます。
また今回、コジマイシノミを多数採集することができたことから、稀少群であるためにこれまで知見が乏しかったヤマトイシノミモドキ属についてのさまざまな生物学的検討が可能になりました。これにより、イシノミ目の系統学的理解、さらにイシノミ目が昆虫類の祖先型に近いことから、昆虫類の進化の議論を深める糸口になると期待されます。
同一とみなされる分類群(例えば種)に付けられた学名が複数ある場合、それぞれをシノニム(同物異名)という。
(注2)先取権の原理
複数の学名が存在するとき、基本的に、より古いものを有効名とする。
What are Halomachilis akkesiensis and Halomachilis kojimai described from Hokkaido, Japan? (Insecta: Archaeognatha: Machilidae)
(北海道から記載されたHalomachilis akkesiensis と Halomachilis kojimaiとは一体なにものだ?(昆虫綱:イシノミ目、イシノミ科))
<著者名>S. Mtow and R. Machida
<掲載誌>Zootaxa
<掲載日>2024年12月4日
名城大学農学部生物資源学科昆虫学研究室 助教
TEL: 052-838-2455
Email: mtow@meijo-u.ac.jp
筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 客員研究員
TEL: 0268-74-2002
Email: machida@sugadaira.tsukuba.ac.jp
TEL: 029-853-2040
E-mail: kohositu@un.tsukuba.ac.jp
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