【名城大学】機能性が強化された次世代型アスタキサンチンの開発へ!~効率的かつ化学薬品不使用のカロテノイド異性化技術を確立~
・加熱式のフローリアクターを用いることで、従来法と比較して反応時間を大幅に短縮することに成功。
・シス型アスタキサンチン(エステル体)は高い保管安定性を有することを実証。
・従来品よりも高い健康効果(加齢性疾患予防や肌質改善作用など)を有するアスタキサンチン素材の応用展開に期待。
また、通常シス型のカロテノイドは不安定(室温での保管でトランス型に異性化する)ですが、エステル体のシス型アスタキサンチンは高い保管安定性を有することを実証しました。具体的には、加熱によりシス型比率を高めたアスタキサンチンエステルを40 ℃で長期間保管しても、シス型比率は維持され(約50%)、アスタキサンチン自体の分解も起こらないことを確認しました(図3)。また、このメカニズムを、密度汎関数法(DFT)による分子計算により明らかにしました。
エビやカニなどに含まれる赤色色素で、キサントフィル系のカロテノイドである。強力な抗酸化作用を有することに加え、眼精疲労の軽減、脳の認知機能向上、肌質の改善などの作用を示すことが近年実証され、食品や化粧品分野での需要が拡大している。
2)シス-トランス異性体
化学式が同じだが、性質が異なる化合物を異性体という。シス-トランス異性体は、化合物中の二重結合を挟んで存在している置換基の位置の違いによって生じる。二重結合に対して主要な置換基が同じ側に結合しているシス型と、反対側に結合しているトランス型がある。
3)トランス型カロテノイド
ポリエン鎖の二重結合がすべてトランス体である形態。天然では通常トランス型が優勢である。高い結晶性を有し、油脂などへの溶解性が極めて低い。このような物性に起因して、体内吸収性が低く、加工(抽出、乳化、粉末化など)効率が悪い。
4)シス型カロテノイド
ポリエン鎖の二重結合の一箇所以上がシス型である形態。詳細なメカニズムは不明であるが、一部のカロテノイド(リコピン、アスタキサンチンなど)において、トランス型を摂取してもヒト体内ではシス型が豊富に検出される。また、近年の研究により、トランス型よりシス型の方が、体内吸収性や一部の生理活性(抗老化作用や抗炎症作用、肌質改善作用など)が高いことが示された。加えて、シス型カロテノイドは結晶性が低く、油脂への溶解度も高いことから、トランス型より加工適性に優れる。
5)ヘマトコッカス藻
淡水生の単細胞緑藻(Haematococcus属の緑藻)であり、栄養飢餓や乾燥、高塩濃度など環境ストレスをうけると、細胞中に高濃度のアスタキサンチン(エステル体)を蓄積する。食品や化粧品用途で用いられるアスタキサンチンは、主にヘマトコッカス藻由来である。
タイトル: Thermal isomerization of astaxanthin esters in the green alga Haematococcus lacustris without any chemicals
(化学薬品不使用のヘマトコッカス藻由来アスタキサンチンエステルの熱異性化)
著者名: Rina Sakaguchi, Antara Ghosh, Yoshiharu Sawada, Kentaro Takahama, Yasuhiro Nishida, and Masaki Honda
掲載日時: 2024年6月27日に電子版に掲載
https://doi.org/10.1016/j.fbio.2024.104645
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