■今まで諦めていた「普通の土」でも年代測定が可能に■立命館大学古気候学研究センターが化石花粉の放射性炭素年代を測定するサービス事業「POLARIS」を開始
上記の技術を確立してから、およそ1年間の試運転を重ね、さまざまな堆積物から安定的に花粉を抽出し、良質な年代を得る自信を持つに至りました。そこで、この技術を広く応用し、防災や気候予測などに幅広く応用していただくために、誰でも利用できる有償サービス「POLARIS」を開始しました。立命館大学古気候学研究センター宛に堆積物をお送りいただければ、そこから花粉を抽出して、およそ4〜5カ月以内(ただし混み具合によって変動)に年代測定の結果をお知らせいたします。申し込み方法や費用などの詳細は、POLARISのホームページをご覧下さい。
http://14c.rits-palaeo.com/index.html
<「POLARIS」の今後の展開について>
本サービスを利用するメリットが大きい分野としては、防災(噴火や地震、洪水などの発生頻度の解析)、土木(活断層の活動度の評価)、気候学(過去の気候変動の時期やスピードの復元)、考古学(遺物の年代決定)などを想定しています。日本だけでなく世界のニーズに対応できるようにするために、英オックスフォード大学を窓口として、同様のサービスを国際的に展開する準備も進めています(2019年にオックスフォード大学と研究協力覚書を締結)。またこの技術を用いて、水月湖年縞の「世界標準ものさし」としての精度と利便性をいっそう高めることにも取り組んでいきます。水月湖は現在、中国の葫蘆(フールー)洞窟と並んで、放射性炭素年代較正モデルの中核を支えています。今までは葉化石の放射性炭素年代を測定することで「ものさし」の精度を高めてきましたが、葉化石はこれまでの研究でほぼ枯渇しており、これから劇的に数を増やすことは困難です。しかし、花粉化石を使えば、化石を「探す」ための努力が必要なくなるため、画期的なデータ数とデータの等間隔性を確保することができ、全世界でおこなわれる年代決定の精度を飛躍的に高めることが可能になります。IntCalと呼ばれる「世界標準ものさし」の次の改定は2026年ごろと予想されるため、それに間に合うことができるよう取り組みを進めています。
■中川毅・立命館大学古気候学研究センター長のコメント
POLARISが可能にする科学の裾野はとても広いです。ぜひ多くの方に利用していただき、喜んでいただけることを願っています。
(註)今回の新技術は、年縞などの堆積物から花粉分析を行うことを目的に、立命館大学古気候学研究センターが中心となり、福井県年縞博物館が導入した装置「セルソーター」 を使用し、また東京大学総合研究博物館が持つ年代測定技術を組み合わせることで実現しました。このような取り組みは、平成31年2月に立命館大学が東京大学や福井県などと構築した国際的な連携体制のもとで実現したものです。
本件に関するお問い合わせ先
名和・中嶋
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