関西大学・矢田勝俊教授らが7月末の各都道府県の新型コロナ新規感染者数を予測 ~ PCR検査の効率的な集中実施による確実な感染者隔離を ~
・7月末時点の新規感染数は東京で680人、大阪で275人、兵庫では158人という予測結果に
・第二波初期に感染者の集中的な隔離を実現する効率的なPCR検査の必要性を指摘
他の都道府県についても詳細に見ていくと、関西においては、京都府も7月末に41人まで感染者数が拡大する恐れがあります。現在はクラスターが散見される程度ですが、十分な注意が必要です。一方、関東地方に目を移すと、東京都はPCR検査数が増加しており、陽性率は大きな変動もなく安定しています。したがって、新規感染者数は直近だと200人を超える数字となっています。シミュレーションの結果から、7月末に1日の新規感染者数が680人程度まで増える可能性があり、今後も感染拡大が進んでいく状況と言えます。埼玉県は118人、神奈川県は95人、千葉県は101人まで拡大する恐れがあります。これらは第二波に向けて何も対策を取らなかった場合ですが、現在が感染拡大の初期に相当するものと考えられます。他に急速な拡大の恐れがある地域として、愛知県、静岡県、福岡県、また現在は感染者が少ないが今後の拡大が懸念される地域として、長崎県、広島県をあげることができます。
■ 第二波初期にこそ効率的かつ集中的なPCR検査と確実な隔離を実現すべき
シミュレーションから、感染拡大を押さえ込むには感染初期にPCR検査を集中的に行い、感染者を確実に隔離する必要があることが明らかになっています(関西大学プレスリリースNo.23を参照: http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2020/No23.pdf )。現在、各地域は感染初期の段階にあると思われ、この感染初期を逃せば、その後の集中的なPCR検査は十分な効果を生まないのみか、かえって多くの隔離不十分な感染者を生み出しかねません。ただし、現状のPCR検査数には十分な許容量がなく、予算的制約もあるため無制限に行うことはできません。現時点では東京都が行っている「集団検査」(検査対象を特定地域、業種に絞る)のように陽性率が高いと予想される感染候補者グループを抽出し、限られた予算・検査薬を効率的に使用し、より多くの感染者を発見・隔離することが求められています。今後は感染者を効率的に発見し、確実に隔離していくために、感染者の集中を高い確率で予測できるモデルを構築することが必要で、われわれのグループではその作業に取りかかっています。
新型コロナウイルスの感染拡大は未知の疫病であるため、刺激的な意見やコメントに人々の不安が煽られ、正常な判断を奪いかねません。データや理論モデルに基づき、科学的なアプローチでこの伝染病に立ち向かうことが必要です。今後、同研究チームでは、主要な都道府県の公開データをもとに実証結果をまとめ、公開していきます。
※1 危機管理分析タスクフォースとは
参考文献:『PCR検査はコロナウイルス終息の特効薬か』(RISS DPシリーズ 第87号 2020年8月)/中西正雄(関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構非常勤研究員、関西学院大学名誉教授)
▼ http://www.kansai-u.ac.jp/riss/research/publications/public_files/riss_dp/RISS_DP_No87.pdf
本研究のモデル構築、シミュレーションでは、厚生労働省が公開している『新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について』を利用した。各地方自治体が公開している陽性者数等のデータと整合性の取れない期間があり、確認する必要がある。
【本件の取材は下記担当者まで直接お問い合わせ下さい】
商学部教授 矢田 勝俊(やだ かつとし)
E-mail: yada@kansai-u.ac.jp
・関西大学プレスリリース
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2020/No24.pdf
本件に関するお問い合わせ先
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