ハンガリー国立大学医学部

教育新聞社が『海外の医学部進学セミナー』を開催

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医学部を目指す学生に新たな可能性――海外の医学部進学と医師育成事情

 6月14日(土)、「海外の医学部進学セミナー」が教育新聞社(主催)およびハンガリー医科大学事務局(共催)により日本出版クラブ会館(東京都新宿区)にて開催され、高校の校長・進路指導担当教諭を含め約20名が参加した。 

 セミナーでは愛知医科大学を卒業後、米国メイヨー病院大学及び近畿大学での助教授を経て、現在は鈴木病院で医師として医療に携わる木原幹洋医師【=画面下写真1】と、ハンガリー医科大学事務局の石倉秀哉代表【=画面下写真2】による講演が行われた。

 「医学教育の国際化~海外で医学部を学ぶということ~」と題された木原医師の講演では、今日の日本と海外の大学病院の実態を比較し、英語で医学を学ぶことの重要性について述べられた。木原医師は、グローバル化の進む医学分野では先端医療の情報は常に英語で発信されており、翻訳が必要な日本人医師の対応は1~2年遅れる傾向にあるが、その点、英語の出来る医師が日本に増えれば新薬の開発が促進されるなど医療サービスの質も格段に改善されるだろうと言う。日本の医療の国際化が、ひいては日本の医療レベルの向上につながるのだ。また、災害発生時など、国際的にも貢献が可能な英語のできる医師は今後需要が高まるだろうと語った。

 木原医師は、現在ハンガリーで学ぶ学生たちにも現地で指導にあたっているが、偏差値重視で競争率の激化する日本の入試に失敗したり、経済的理由で日本の医学部に進学できなかった学生が、世界各国の留学生と肩を並べ医学を学ぶことに大きな喜びと目標を見出している声を紹介し、医師育成に対する熱意とその意義を述べて講演を締めくくった。
 
 後半は、ハンガリーの国立大学3校(センメルベイス大学、セゲド大学、ぺーチ大学)の医学部と共同で、日本人学生のための医学部進学プログラムを運営しているハンガリー医科大学事務局の石倉代表により、海外の医学部進学の実情とその傾向が述べられ、医学部を志望する学生のための「新しい医師への道」について詳しく説明がなされた。ハンガリーの国立大学を選択する理由として、英語医学コースが既に20年以上行われており、ノーベル医学賞受賞者を輩出するなど医学研究・教育の水準が非常に高いことが挙げられた。また、卒業時にはEU27カ国で通用する医師免許を取得できるほか、アメリカや日本の医師免許取得も可能なため、日本で医師として働くことはもとより、発展途上国やアメリカ、EU諸国など世界中で医師として貢献することが可能であることから、その有効性は計り知れない。

 もう一つの特徴はその入試制度にある。筆記試験で一点を争う日本の入試とは異なり、ハンガリーの入試では、書類審査、英語能力、医師になりたいというモチベーションを含めた総合的な観点から合否が決定される。もちろん一定の基礎学力は必要だが、英語力が足りない場合は事前英語研修や予備コースへの入学となるため合格率は日本に比べるとかなり高くなっている。

 日本の私立大学の医学部では膨大な学費がかかるのだが、ハンガリーの上記3大学では日本の国立大程度の費用しか掛からず、事務局と提携病院による奨学金を受給出来れば(審査あり)、更に学生の経済的負担は軽くなる。また、先輩学生によるチューター制度や日本の国家試験対策講座などの学業面での支援に加え、現地コーディネーターによる生活面での支援について、スライドを見ながら現地の様子が紹介された。
 
 最後の質疑応答では、予備コースでの教育内容についての質問に対し、高校で学ぶ生物・化学・物理と同様のレベルであり、学生には日本の大学受験に使用するテキストを参考書として使うよう指導しているとの回答があった。また、大学卒業後に受験する医師国家試験の合格率に関する質問に対して、ハンガリーでは医師国家試験に合格しなければ大学の卒業は認められない為、卒業者の合格率は100%だが、6年で卒業すること自体が容易ではないため、学生は大変な努力をする必要があり、それだけに学生個人の医師になりたいという強い意志が必要であることが強調された。
  
 セミナーの参加者からは、「ハンガリーの卒業生が日本で医師免許を取得した実例が聞けて良かった」、「日本と海外の医学部の現状に関する情報が参考になった」、「海外で日本人医学生の受け入れが増えることを希望する」という感想が聞かれたが、今後このような情報は益々重要となってくると考えられる。ハンガリー医科大学事務局では、今月21日に沖縄、そして8月以降には各地で学生を対象に説明会を行っていく予定である。


▼本件に関する問い合わせ先
 ハンガリー医科大学事務局
 入試課 藤谷 愛(ふじたに あい) 
 http://www.hungarymedical.org/
 TEL 03-5321-6771
 FAX 03-5321-6672
 E-mail info@hungarymedical.org

□写真(上から順に)
1.木原幹洋医師(鈴木病院)
2.石倉秀哉代表(ハンガリー医科大学事務局)
3.セミナーの様子

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