ものつくり大学

「ものづくり」をキーワードに、日本の工学教育の「現在」を探る ――ものつくり大学

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ものつくり大学は、日本の経済発展に「ものづくり」がきわめて重要との考えから、2001年4月に開設された工科系私立大学だ。実習では学生に本物の「橋」(2学科棟を結ぶ連絡橋)を建設するなど、特徴ある実技教育重視型のカリキュラムで注目を集めているが、開学以来8年を経過して、このような考えが他大学ではどのように捉えられているのかを探るため、同大では「ものづくり」をキーワードに現在の大学の状況や特色などを調査した。

 このたび、ものつくり大学(埼玉県行田市 総長:梅原猛、学長:神本武征)がわが国の大学・高等教育機関を対象として、WEB上で「ものづくり」をキーワードに調査した結果は以下の通り。

■ものづくりが含まれる組織、活動、行事
 「室蘭工業大学ものづくり基盤センター」「秋田大学ものづくり創造工学センター」「宇都宮大学ものづくり創成工学センター」「東京大学ものづくり経営研究センター」「東京工業大学ものつくり教育支援センター」「鳥取大学ものづくり教育実践センター」「熊本大学ものづくり創造融合工学教育センター」「金沢工業大学ものづくり研究所」「東京理科大学総合研究機構ものづくり・先端計測科学研究部門」など、組織名に「ものづくり」が含まれている大学は30を超えている。
 このほかに大学の授業科目名や大学院の専攻名、さらに大学が実施する社会人から小中高学生を対象とした各種公開講座・教室名や、地域の自治体や産業界と共催して行われる各種会議、シンポジウムなどにも頻繁に登場している。
 これらのほとんどが、本学の設立以降に創設され、あるいは実施されているものである。他大学においても「ものづくり」の重要性認識は間違いなく高まっていると言える。

■センターについて
 この中で多数を占めるセンターがどのような組織か。一概には言えないが、おおよそ次のような特徴がある。
・従来の実習工場を整理統合し、ものづくりを実践、体験できる場を提供する。それを工学部全体や大学全体に開放する。
・新たに学生がものづくりを体験する特色ある授業を実施する。
・ものづくりに意欲をもつ学生が実践、体験できる場を提供する。
・高度な加工・工作機械を提供して教育、研究を支援する。
・地域、産学連携のためものづくりに関する会合、教室を開催する。

■設置の目的・趣旨から
 設置の目的・趣旨から「ものづくり」についての考えを探る。
・ものづくりの重要性から従来の理論中心の教育を改善する。
・創造、創造性といった新たにものを作り出すという観点を重視する。ものづくりを実践する、ものづくりの感性を涵養するという大学もある。
・実際にものづくりが行われている現場との関係を深める。産学連携の重視、インターンシップの重視などがある。
・個別的かもしれないが、「ものづくりアーキテクト」の育成を謳うものもある。これは大学院の専攻が育成する人材、顧客のニーズに応えた製品開発ができ、イノベーションを実現する者を指す。
・トヨタ生産方式、全社品質管理方式について、日本独自の優れた生産方式としてそれを研究する。

■その他の特色
・大学は、国立大学が多いが、私立大学もある。
・教育支援を主目的とするが、研究の実施、支援もある。
・工学分野が多いが、経営学の分野、創造性育成の観点から教育学の分野もある。

■本学の特色
 これらを踏まえ本学を見ると、次のような特色が挙げられる。
・日本の経済発展にものづくりがきわめて重要であるとの観点から、ものづくりを対象に本格的、全面的に取り組んだはじめての大学といっても過言ではない。
・製造技能工芸学科、建設技能工芸学科の双方において、実習・実験・演習が70%を占める実学重視のカリキュラムが編成されている。
・実習、実験を支える充実した実習場が用意されている。5、6人に1人の講師がつく少人数による実習、20台の旋盤のほか、多種多彩な工作機械、3階建てを超える足場を組める実習場などがある。
・学生が24時間、自由にものづくりに取り組める「ものづくり工房」が設置されている。
・授業のひとつとして、複数回、40日から80日の長期にわたるインターンシップが実施されている。

▼本件に関する問い合わせ先
 ものつくり大学 学務部入試課
 埼玉県行田市前谷333番地
 TEL:048-564-3200
 FAX:048-564-3201
 E-Mail:k_fujisawa◎iot.ac.jp
 (「◎」は「@」を示します)
 http://www.iot.ac.jp/