日本工業大学

海外での現場体験を通して学ぶユニークな建築プロジェクトを展開する日本工業大学 ―カナダでの「2×4木造建築工房」と、東南アジアでの「現場体験を通して学ぶ国際協力建築プロジェクト」―

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日本工業大学(埼玉県宮代町・学長 柳澤章)では、カナダでの「2×4木造建築工房」や東南アジアでの「現場体験を通して学ぶ国際協力建築プロジェクト」など、ユニークな建築プロジェクトを展開している。

 日本工業大学は、実践から学ぶ「実工学教育」を教育の柱とし、世界で活躍するプロジェクトリーダーの育成に力を注いでいるが、その一環として、建築学科では海外での現場体験を通して学ぶユニークなプロジェクトを実施している。

 そのひとつがカナダで行う「2×4木造建築工房」であり、もうひとつが東南アジアにおける「現場体験を通して学ぶ国際協力建築プロジェクト」である。いずれも、事前に講義形式で専門知識を修得し、その後に現地での活動に入るという同大学独自のデュアルシステムによる教育法を採用している。

(写真上)「2×4木造建築工房」現地作業(2006年)
(写真中)「現場体験を通して学ぶ国際協力建築プロジェクト」
  ホイアン町並み保存に関し、現地に派遣中の青年海外協力隊員から話を聞く学生(2008年)     

■「2×4木造建築工房」

 駅舎・茶室など小規模な建物を企画・設計し、学内での大工作業準備を経て、同学の海外施設であるカナダ研修所(カナダ アルバータ州クロウズネストパス)に赴き、現地スタッフの協力を得て、建設作業を行いながら英語を学ぶもの。

 本工房は、2004年から実施しており、茶室、看板、門などを建設してきた。本年度は、6月からの準備段階を経て、9月7日(日)~16日(火)の予定で、クロウズネストパスにある歴史的建築・史跡の説明や場所を示す看板の設計、建設に取り組む。同工房に参加する学生16名(同学科4年生2名、3年生14名)のうち、6名がカナダ研修所へ赴く。工房責任者は、同学科教授・波多野純、工房担当者は同学科助手・野口憲治、建築技術センター・宮国勉。

 学生は1年次、2年次で建築の基礎を学んだ後、実習を中心とした「2×4木造建築工房」科目を受講。工房I(2年秋学期)では、カナダ研修所での作業に向けて2×4構法を理解し、デザイン案を検討する。工房II(3年春学期・夏季集中)では、カナダ研修所に赴き、現地で建設作業と英語研修に取り組み、工房III(3年秋学期)で、工房IIで行った内容を、英語の報告書としてまとめる。

■東南アジアでの「現場体験を通して学ぶ国際協力建築プロジェクト」

 日本はあらゆる分野で国際協力事業を行っているが、本教育プロジェクトは、分野を建築に限定することで専門性を高め、将来海外で国際プロジェクトに携わることのできる人材予備軍の育成を目的とするもの。国際協力事業に従事した経験者による講義で、国際協力事業の現状と問題点を学び、協力事業に必要な知識を習得した後、海外での現場視察を行う。

 海外での現場視察は、参加希望者の中から10名程度を選抜し、夏休み期間に実施している。初回である2007年度には、カンボジア、タイに赴いた。本年度は8月19日(火)~27日(水)の9日間、ベトナムを訪問し、フエ王宮の隆徳殿解体修理工事現場、ホイアン町並み保存現場等、5地域を訪れ、現地で国際協力事業に従事する日本人専門家やスタッフと意見交換を行った。

 参加学生は11名(修士2年生・2名、同学科4年生1名、3年生5名、2年生2名、1年生1名)。指導責任者は同学科准教授・成田剛。同学科教授・黒津高行が同行した。

 最終的には、3年間で行った特別講義の内容と海外研修の成果をまとめ、その後の教育に活用するためのオリジナル教材の作成を目指している。

▼本件に関する問い合わせ先
 日本工業大学 広報室
 TEL:0480-34-4111(代表)
 http://www.nit.ac.jp

1.「2×4木造建築工房」
●これまでのプロジェクト
2004年 Japanese Pavilion(茶室の建設)
2005年 Signage Project(看板の建設)
2006年 Japanese Gate(門の建設)
2007年 Hillcrest Cemetery Project(ベンチの建設)


●2008年度のプロジェクト:Crowsnest Heritage Initiative Signage Project
 クロウズネストパス(カナダ アルバータ州)にある歴史的建築・史跡の説明や場所を示す看板の設計、建設に取り組む。Heritage Initiative Signage Committee からデザインに関する条件が示され、学生からデザイン案を募り、Crowsnest Heritage Initiative Signage Committeeへ提出。最終案が絞り込まれ、模型制作とモックアップの制作に取り組み、最終デザインの検討を行った。

(2008年度 日程)
6月~7月 デザイン案の検討
8月2日~8月8日  模型・モックアップの製作
9月7日~9月16日 研修所にて建設作業、英語研修。カナダ、アメリカの建築見学。

(写真下)2008年―モックアップの制作に取り組む学生

2. 東南アジアでの「現場体験を通して学ぶ国際協力建築プロジェクト」
●目的
 国際社会において日本がその存在をより明確にするためには、海外での国際協力事業の質を高めることが重要である。その為には、対象国の実情を理解するとともに、政府開発援助(ODA)をはじめとする対外援助の仕組みについて多くの知識が求められる。

 本教育プロジェクトは、分野を建築に限定することで専門性を高め、将来海外で国際プロジェクトに携わることのできる人材予備軍の育成を目的としている。

 一方、国内のあらゆる建設工事現場でも、外国人との共同作業が必要とされる機会は、ますます増大している。加えて、一時撤退が続いた民間建設関連企業も、最近は積極的に海外進出を図っている。今後は、従来以上に国内外で外国人との共同事業に従事する機会が増え、それに対応できる人材の育成は大学として重要な課題であると言えよう。

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