日本工業大学

日本工業大学の三宅教授が「第1回カルロス・ゴーン賞」を受賞

大学ニュース  /  先端研究  /  産官学連携

  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

日本工業大学の三宅正二郎教授(システム工学科)は、このたび「自動車部品用DLC低フリクション膜の研究」で日産自動車「第1回カルロス・ゴーン賞」を受賞した。

 日本工業大学の三宅正二郎教授(システム工学科)が「自動車部品用DLC(※1)低フリクション膜の研究」で日産自動車「第1回カルロス・ゴーン賞(※2)」を受賞した。

 DLC膜については世界の研究機関や企業で研究・開発が行われており、その成膜方法としては、炭化水素ガスを使用した蒸着方法が一般的である。
 三宅教授は10年程前から同社との共同研究に携わっており、DLC膜と潤滑油との吸着性をさらに向上させるためには、膜内に水素を含まない構造が適しているという結論に達した。その成果を実用化に繋げたことが今回の受賞のポイントである。

この水素フリーDLC膜は、2006年発売のスカイラインの新型エンジンから採用されており、カムとバルブリフタの間の摩擦を約40%低減させることで燃費の向上に大きく寄与。自動車部品の他にも、各種機械の摩擦部に応用できる汎用性のある技術として、大いに注目されている。
 さらに現在、同社との共同研究で、膜内に金属を含んだ新しい構造のDLC膜の研究にも取り組んでいるところである。

 表彰式は9月2日(火)、同社・先進技術開発センター(厚木市)で行われ、式典後には記念講演も行った。
 受賞に際し同教授は「技術というものは実用化されてこそ意味がある。今後も摩擦ゼロ、摩耗ゼロを実現する表面形成技術を目指して、社会に貢献できる研究を続けていきたい」と語っている。
 また、今回受賞の研究においては学生の貢献が大きい。「本学には自動車が好きで、実験能力に優れた学生が多い。卒業研究などを通して、多くの成果を残してくれた」と感謝の意を述べている。

※1 DLC
 Diamond like Carbon。ダイヤモンドに近い物性を持つ非結晶の硬質膜。この膜を金属部品等にコーティングすることで潤滑性、耐摩耗性などが格段に向上する。具体的な応用例としては自動車用部品、ハードディスクの表面、剃刀の刃、ペットボトルの内面など。

※2 カルロス・ゴーン賞
 日産自動車が、継続的で質の高い研究開発を促進するため、同社との共同研究で顕著な価値を創出した研究に対し、その業績をたたえ表彰する制度。第1回目の本年は、三宅教授のチームを含め3テーマが受賞。

▼関連リンク:日産自動車 プレスリリース
http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2008/_STORY/080902-01-j.html

▼本件に関する問い合わせ先
 日本工業大学 総務部広報室
 埼玉県南埼玉郡宮代町学園台4-1
 TEL: 0480-34-4111(代表)
 FAX: 0480-34-2941