立命館大学

「日本文化及び京都文化の教育・研究・社会発信の協力」に関する包括協定について

大学ニュース  /  大学改革

  • ★Facebook
  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

財団法人池坊華道会、財団法人裏千家今日庵、京都市立芸術大学、平安女学院大学及び立命館大学は、日本文化及び京都文化の教育・研究を推進し、社会的発信を行うことを目的に包括協定を締結した。

 このたび、財団法人池坊華道会、財団法人裏千家今日庵、京都市立芸術大学、平安女学院大学及び立命館大学は、わが国における学術及び学芸の発展に貢献するため、日本文化及び京都文化の教育・研究を推進し、社会的発信を行うことを目的として包括協定を締結した。この包括協定により、京都のさらなる活性化を目指していく。

1.趣旨
 古都・京都には、日本の文化、歴史と表裏一体として歩んできた伝統文化組織や大学等の学術機関が多数集積している。歴史的にも学術都市、文化都市及び観光都市として今日まで発展してきた。
 21世紀の日本が「世界の中の日本」として他の国と絆を強め、文化力の高い国としてさらに発展していくためには、今まで以上に、伝統文化組織や学術機関がそれぞれ固有の研究・教育や普及活動を進めるだけでなく、共同して、日本の歴史、日本の文化、そしてそれらを統合した日本学・京都学としての研究・教育を進めていくことが必要である。また、その対象や成果を知的・文化的財産として共有できるようにする社会的責任を果たすことが求められている。
 とりわけ「古都・京都」では、日本の歴史、文化と表裏一体で歩んできた伝統文化組織や大学等の学術機関の役割は大きく、協力・共同して社会的発信を進めることが大切であると考えられる。


2.経緯
 上述の通り、国際化進展のもと、21世紀の日本が、「世界の中で文化力の高い国」としてさらに発展していくためには、共同して、日本の歴史・文化を統合した日本学の研究・教育を進めていくことが必要であり、また近年、文化芸術とそれを資源とした観光への認識が高まっているという背景を踏まえ、既に相互に連携実績があった5者間で協議をした結果、日本文化及び京都文化を協力・共同して社会的発信を進めていき、「古都・京都」を活性化していこうという趣旨に賛同することができた。
 そこで、伝統的日本文化組織である華道家元池坊(財団法人池坊華道会)、茶道裏千家(財団法人茶道今日庵)、京都に蓄積された豊かな美の伝統を背景に研究を進める京都市立芸術大学、そして京都において最初の観光系の学部を擁する平安女学院大学、日本文化・京都文化に関する研究・教育を進める立命館大学が共同して研究・教育・発信をしていくことについて、包括協定を締結することとなった。
 この協定の締結をもって、日本の歴史と文化の中心である京都にある伝統文化組織・学術機関として、日本文化・京都文化の研究・教育拠点として国際社会へ発信していく。
 将来的には、このような包括協定の趣旨にご賛同していただける伝統文化組織・学術機関・大学・市民等の参加を広く求めてくことを考えている。


3.これまでの5者の関係
 このたびの5者間の協定は、「『古都・京都』の活性化」を行っていくという共通の考え方を掲げた上で、各々の強みである知的・文化的財産を共有していきたいと考えている。

■華道家元池坊(財団法人池坊華道会)
 いけばなの理念を確立した「池坊専応口伝」を池坊専応が著してから450年以上の歴史を蓄積している。

・立命館大学との関係では、客員教授に次期家元 池坊由紀が就任している。立命館大学において、夏期休暇中に単位認定科目を開講している。

■茶道裏千家(財団法人茶道今日庵)
 茶道の大成者である千利休を茶祖とし、その大成から400年以上の歴史を持っている。

・華道家元池坊(財団法人池坊華道会)との関係では、池坊短期大学において、千玄室・大宗匠が客員教授として講義を行っている。
・平安女学院においては、客員教授として、講義を行っている。
・立命館大学との関係では、客員教授に茶道裏千家(財団法人茶道今日庵)千玄室・大宗匠が就任している。夏期休暇中に単位認定科目を開講している。

■京都市立芸術大学
 芸術系の大学としては、京都府画学校時代も含めると128年の歴史を有している。日本でも有数の歴史を誇る芸術系の学術機関であり、膨大な歴史的蓄積を有する。

・今次の包括協定締結にあたっては、「『古都・京都』の活性化」という趣旨に賛同し、今後、包括協定にもとづいた協力のあり方について検討する。

■平安女学院
 歴史都市・京都初の観光系の学部である「国際観光学部」を有しており、日本文化観光の担い手となる若手人材の育成に取り組んでいる。

・客員教授として、茶道裏千家(財団法人茶道今日庵)の方をお迎えしている。
・「『古都・京都』の活性化」にむけて、有栖館を提供することによって、日本文化・京都文化を発信する取り組みに貢献していきたいと考えている。

■立命館大学
 日本文化・京都文化に関係する研究では、文部科学省21世紀COEプログラムにおいて2件(「京都アート・エンタテインメント創成研究」、「文化遺産を核とした歴史都市の防災研究」)、グローバルCOEプログラムにおいて2件(「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」、「歴史都市を守る『文化遺産防災学』推進拠点」)の合計4件が採択されている。また、2009年度には文学部に「京都学プログラム」を新設する。

・華道家元池坊(財団法人池坊華道会)、茶道裏千家(財団法人茶道今日庵)との関係では、華道家元池坊 次期家元・池坊由紀、茶道裏千家 千玄室・大宗匠が客員教授として、夏期休暇中に単位認定科目として「華道文化史」「茶道文化史」を開講している。


4.具体案
 具体案については今次協定を締結した5者間で議論をしながら決定していくが、次の柱について検討していく。
(1)共同研究の実施
 5者の強みや知的資源を共有し、華道・茶道を中心とした伝統文化を学術的に研究し、社会へ発信をすることを目標としている。伝統文化である華道・茶道をアカデミックに研究することで「京都学」を確立し、更には国際社会へ発信することにより京都の活性化にもつながると考えている。

(2)知的・文化的財産の共有
 それぞれの研究者、院生、学生に各学術機関ならびに伝統文化組織が所有している博物館、図書館、資料館等の相互利用をしていく。

(3)大学院・学部教育の教学連携
[1]講師の相互派遣
 包括協定を締結した各機関が、大学院・学部教育に講師を派遣する。専門家から伝統文化を教わることで、学生が日本文化・京都文化の本質に触れ、「京都学」についての積極的な意見交換・学術的理解を促していくことを期待している。

[2]単位互換
 大学院・学部おいては単位互換などの教学展開を推進する。同じテーマで研究・教育を進めていくことで、大学間のネットワークを強化していきたいと考えている。また、京都のみならず東京や大阪においても、共同で日本文化・日本学などの講座を開催する予定である。

(4)市民公開講座の実施
 文化的価値の高い有栖館を拠点に、茶道や華道、香道、着付けなどの日本伝統文化の授業や市民講座を開催し、文化教育の発信を行っていく。京都の強みを生かした講座を展開することで、地域の方々へ5者の知的財産を還元していくことは地域社会に根付く組織としての使命であると考えている。社会発信においては、市民の方とのコミュニケーションを通じて、観光振興やまちづくり、文化政策に貢献できるような提言を行う予定である。一般の皆様には図書館等の施設を利用する際には、各施設共通の利用許可書等を発行し、多くの方が利用しやすい環境を整備していくことを考えている。


5.包括協定の期限
 協定締結日から2年間で、その後は基本的に自動更新としている(2008年8月29日~2010年8月29日)。
 また、これまでの経緯を踏まえ、今後5者間の事務局としての役割を立命館大学が担っていくことを予定している。

---------------------------------

【包括協定を締結する伝統文化組織、学術機関の概要】

■華道家元池坊(財団法人池坊華道会)
○歴史:
 1462年、いけばなの名手として池坊専慶の名が当時の記録に残され、最古の華道家元として今日まで続いている。
○理念:
 池坊華道の基本である「和と美」の精神を通して、慈愛の心を育て、わが国の文化の向上と世界の文化の発展に寄与することを目的としている。
○備考:
 諸流派中、最も古い伝統を持ち華道界最大の流派。全国300余の支部を通じて、各種の講習会を開催。古典研究とともに、最新のいけばな研究にも力を注ぎ、種々の華道展にて発表するなど、常に先進的な活動を続けている。また昭和27年には、全国門弟の協力によって池坊学園を開設。新時代に即応する教育体系を整備するなど、日本の伝統文化の学問的体制もつくりあげている。
○施設等:
 いけばな資料館、池坊短期大学図書館など

■茶道裏千家(財団法人裏千家今日庵)
○歴史:
 茶道の大成者である千利休を茶祖とし、その大成から400年以上の歴史を持つ。
○理念:
 茶の心として、日本的な美の結晶といえる人間的なぬくもりを大事にするという「和敬清寂」の精神を掲げている。
○備考:
 戦後は学校教育への普及や全国統一組織の結成、海外への普及活動などによって、表千家・武者小路千家とあわせた三千家の内、最大の流派となっている。また、茶道を広く内外に紹介し、我が国への理解を深めると同時に、国際親善交流を促進させる活動にも注力している。
○施設等:
 茶道資料館、今日庵文庫など

■京都市立芸術大学
○歴史:
 京都府画学校(1880年創立)時代も含めると日本で最も長い歴史を持つ芸術大学。
○理念:
 建学精神「本校は美術を拡張し工芸製作の基礎を訂正するために設くるものにして粗を戒め精を窮め浮を去り実に就き公益を謀り文化を補うを本旨とす」にあるように、創造的な精神と技術によって広く社会や文化に貢献することが今日まで続く基本理念。
○備考:
 美術学部は京都府画学校時代からの伝統ある学部で、当時としては珍しく西洋画を他の美術学校に先駆けて教えるなど先進的な取り組みを行う環境が今にも引き継がれている。
○施設等:
 附属図書館、芸術資料館など
○構成:
 美術学部、音楽部、美術研究科、音楽研究科、日本伝統音楽研究センター

■平安女学院大学
○創立:
 1875年 創設者 ミス・エレン・G・エディ
○理念:
 建学の精神:「知性を広げ、望みを高くし、感受性を豊かにしそして神を知らせる」
 建学以来、キリスト教の精神に基づく女子教育の専門機関として長い歴史と伝統を誇る大学。実社会で活躍できる基礎教養を身につけるため「ジェネリック・スキル」を重視し、自主的でマナーも良く「社会適応力偏差値」の高い人材の育成に取り組んでいる。
○備考:
 2007年4月に開設された「国際文化観光都市京都」初の観光系の学部を擁する大学。京都にあるという立地条件を最大限に活かし、「京都観光研究」「京都の伝統産業」「京都の歴史と文化」等の科目群を学びの中心に据えている。
○施設等:
 明治館、有栖館、図書館など
○構成:
 国際観光学部、生活福祉学部(2009年4月より子ども学部として開設予定)、短期大学部

■立命館大学
○創立:
 1900年 創設者:中川小十郎
○理念:
 建学の精神:「自由と清新」
 教学理念:「平和と民主主義」
 確かな学力の上に、豊かな個性を花開かせ、正義と倫理をもった地球市民として活躍できる人間の育成に努める。
 大学での学びを通して自らの志を現実に変えていく知恵を身につけ、未来を生み出す主人公となり、世界へ立ち向かう人材育成に努める。
○備考:
 文学部、アート・リサーチセンター、歴史都市防災研究センターなどが、日本文化研究をはじめ、京都を主題とする先端研究、大学院教学、学部教学、教育文化事業において多様な取り組みを進めてきた。
 最近では、グローバルCOEに「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ推進拠点」、「歴史都市を守る『文化遺産防災学』推進拠点」が採択され、また、文学部では、これまでの蓄積の上に2009年度から「京都学プログラム」を新設。
○施設等:
 各キャンパス図書館、アート・リサーチセンターなど
○構成:
 12学部15研究科

▼本件に関する問い合わせ先(立命館大学)
 立命館大学 広報課
 TEL: 075-813-8300

251

252