ものつくり大学

学生たちが授業でキャンパス内に「江戸時代後期建立の寺院」を復元する“10カ年プロジェクト”を展開中─―ものつくり大学

大学ニュース  /  教育カリキュラム  /  地域貢献

  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

ものつくり大学では2005年より、キャンパス内に「江戸時代後期建立の寺院」を復元する授業を行っている。この授業は建設技能工芸学科で、主に木造建築を専攻する3年生が毎年取り組んでいる実習で、先輩から後輩へと受け継がれながら、復元の完成までに10年を要する“一大プロジェクト”だ。

 ものつくり大学(埼玉県行田市)は、行田市内にある長久寺の本堂建替えの際に、江戸時代後期建立の本堂を丁寧に解体した古材をもらい受けた。古材は、柱や梁など一つ一つに記号と番号を付け、同大キャンパス内に保管された。
 2005年から始まった「寺院復元」は10年計画のプロジェクトで、建設技能工芸学科3年生の授業として行われる。4年目を迎えた今年は、屋根付き足場をつくり、本堂の柱や梁などを補修しながら組み上げており、寺院の骨格が現れ始めたところだ。

 この授業に参加する学生は、主に木造建築を専攻している学生で、その多くは2年生の実習ですでに一般的な木造戸建住宅の建設を体験している。このように、本物をつくり上げる体験の中から基礎的技能や技術を習得し、3年生では日本古来の建築の技を体験しながら、自身の技能・技術を高めているのだ。

 同大では、「本物」を授業で作り上げるという、他に類を見ない本格的な実習を実施するために万全の体制を整えている。その一つは「安全対策」だ。
 実習では、毎回欠かさず実習の前に講義室で危険予知訓練(KY活動)を実施。その日の実習内容と注意点などが説明され、学生は全員、書き込み式のチェックシート(KYシート)に記入し十分理解した上で実習場に向う。実習場では学生たちは10人程度のグループに分かれ、各グループに一人の教員がつき、再度安全確認をした上で、実習に取り組んでいる。

 二つ目は、実習を指導する「教員」だ。実習指導には授業の主担当である教授のほかに、4~5名の現役の宮大工や棟梁、現代の名工など第一線で活躍するプロが非常勤講師として指導にあたる。
 これこそが、同大の実習の最大の特色なのだ。つまり、実習では本物をつくる。模型やまがい物ではない本物をつくるためには、本物の現場同様の安全対策を行う。そして、その分野の一流のプロが指導にあたるのである。

 同大では、寺院の復元以外にも、主に都市建築を専攻する3年生は、両学科棟を結ぶ連絡橋や池に架かる浮橋などを建設。庭園広場も学生が設計、施工したものだ。今後はグラウンドに観客席を建設する実習も予定している。
 また、こうした実践的な授業で学んだ学生は、自らの卒業制作においても身につけた実力を発揮。なかには茶室や、銅で屋根を葺いた弓道の的場を建設した学生もおり、的場は現在も弓道部が利用している。

▼本件に関する問い合わせ先
 ものつくり大学 学務部
 埼玉県行田市前谷333番地
 TEL: 048-564-3200
 FAX: 048-564-3201
 E-Mail: kubota◎iot.ac.jp
 (「◎」は「@」を示します)
 http://www.iot.ac.jp/

338

339

340