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立命館大学が、外務省 平成20年度日中研究交流支援事業『調和(和諧)社会総合モデル構築』に関する日中シンポジウムを開催

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立命館大学では外務省「平成20年度日中研究交流支援事業」の一環として、『調和(和諧)社会総合モデル構築に関する日中シンポジウム』を開催することとなった。立命館サステイナビリティ学研究センターは、日中両国の産官学の連携と知的協力により経済・環境と社会の調和の取れた「調和社会総合モデル」構築に関する共同研究プロジェクトを推進している。

1.シンポジウム開催の経緯

 中国では過去30年間の高度成長を実現した反面、貧富格差の拡大、地域間のアンバランス、環境問題の深刻化、CO2排出の大幅な増加など「持続可能な社会」に深刻な影響を与える課題が顕在化している。中国政府はこれらローカルとグローバルな諸課題を解決し、社会の安定と持続可能な発展を目的として、「成長モデル」から経済、環境、社会の調和がとれた「調和(和諧)モデル」への転換を基本国策として打ち出した。

 一方で、2007年12月28日、福田総理(当時)が北京大学の講演会にて、「今後、中国側と相談しながら、日本として、改革開放支援から「和諧社会」実現のための協力に軸足を移していきたい」と述べるなど、調和社会の構築と実現に向けた取り組みは日中共同の課題として認識されている。

 立命館サステイナビリティ学研究センター(RCS)は、サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)、浙江大学と湖州市三者の協力協定の推進役として、日中両国の産官学の連携と知的協力により「調和社会総合モデル」構築に関する共同研究プロジェクトを推進している。
 このプロジェクトは外務省「2008日中研究交流支援事業」に選ばれた(研究代表者:周 瑋生)。その一環として、2008年12月22日に湖州市長興県にて「第一回和諧社会総合モデル構築に関する日中シンポジウム」を開催。今回のシンポジウムは、その第2回にあたる。

2.趣旨・目的

 本シンポジウムでは、日本で過去の経済成長と環境保全を成し遂げてきた経験を生かしながら、パイロットモデル事業の策定、実施、評価を通じて、理論的、実証的アプローチから、中国における和諧社会モデルの構築に資する両国の専門家間の研究交流を行うことを目的としている。
 経済産業大臣・二階俊博氏の特別講演に加え、地域を主体とする特色ある持続可能な社会づくりを目指す日中の地方自治体(地方政府)を招いた市長フォーラムを行い、両国の地域間の交流を深め、和諧社会の形成に資する国際互恵型協力関係を築き上げることを目指す。

3.シンポジウム概要

【日 時】 2009年2月22日(日) 13:00~17:00 (開場12:30)
【場 所】 立命館大学衣笠キャンパス 創思館カンファレンスホール 
【主 催】 立命館大学、浙江大学、湖州市政府  
【共 催】 サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)  
【協 力】 外務省(平成20年度日中研究交流支援事業)
【後 援】 中華人民共和国駐日本国大使館 中華人民共和国駐大阪総領事館
【協 賛】 日経BP環境経営フォーラム

【プログラム】 
テーマ: 調和社会構築における日中協力のあり方
13:00~13:15/開会挨拶
  川口清史(学校法人立命館総長、立命館大学長)
  陳 子辰 (浙江大学常務副理事長)
  中曽根 弘文(外務大臣)(※外務省関係者が挨拶代読)
  崔 天凱 (中華人民共和国駐日本国特命全権大使)
13:15~13:35/特別講演
  二階 俊博 (経済産業大臣)
13:35~13:45/趣旨説明
  「調和(和諧)社会総合モデル構築」プロジェクトについて
  周 瑋生(立命館大学政策科学部教授・立命館サステイナビリティ学研究センター長)
13:45~14:15/第一部 日中市長フォーラム
◇パネル報告1 
  (1)中国・湖州市 呉 国昇(湖州市副市長)
  (2)日本・草津市 橋川 渉(草津市長)
14:15~14:25/休憩
14:25~15:25
◇パネル報告2
  (3)中国・揚州市 呉 春篤(揚州環境資源技術学院学院長)
  (4)日本・姫路市 石見利勝(姫路市長)
  (5)中国・龍泉市 季 柏林(龍泉市常務副市長)
  (6)日本・飯田市 牧野光朗(飯田市長)
15:25~15:30/休憩
15:30~16:40/第二部 日中市長 パネル・ディスカッション
17:00/終了

4.市民参加の方法

【定 員】 100名 ※定員に達し次第、受付を終了させていただきます。
【参加申込方法】
 下記のE-mailかFAXにて、(1)ご氏名、(2)ご職業、(3)電話番号、(4)ご連絡先(FAX番号またはE-mail)をご記入の上、お申し込みください。

  E-mail: rcs-info@st.ritsumei.ac.jp
  FAX :  075-465-8245

※ご記入あるいは送信いただいた個人情報は本シンポジウムに関する事項以外には一切使用いたしません。なお、本情報につきましては立命館大学人文社会リサーチオフィスが厳重に管理し、他に流用することはございません。

5.日中専門家会議、日中若手研究会を同時開催

 シンポジウムの開催にあわせ、具体的なテーマに基づき、日中両国の専門家による意見交換と議論を行う。また、若手研究者による研究交流会も開催し、世代を超えた調和社会実現のための取り組みを推進する。

◇日中専門家会議 第一部
【日 時】 2009年2月22日(日) 8:45~11:30
【場 所】 立命館大学衣笠キャンパス 国際平和ミュージアム 中野記念ホール
8:45~8:50/開会挨拶
  周 瑋生(立命館大学政策科学部教授・立命館サステイナビリティ学研究センター長)
■セッション1  テーマ:廃棄物処理システムの構築
8:50~9:30/
  李 暁東(浙江大学熱能工程研究所教授)
   医療廃棄物の物理成分及び特性の分析 ――湖州市における多種の病院での調査研究結果に基づいて」
  鈴木 良實(元東京大学環境安全研究センター准教授)
   「廃棄物処理システムの構築 -システムの変遷と東京大学における実例の紹介-」 
9:30~9:40/セッション1 質疑応答

■セッション2  テーマ:分散型汚水処理システムの構築
9:30~10:40/
  中島 淳(立命館大学理工学部教授)
   「琵琶湖の汚水処理」
  井村 正博(社団法人浄化槽システム協会 運営委員会委員長)
   「浄化槽(分散型生活排水処理施設)について」
  羅 安程(浙江大学環境与資源学院教授)
   「人工湿地処理農村生活汚水の工程効果に関する研究」
10:40~10:50/セッション2 質疑応答
10:50~11:00/休憩
11:00~11:30/全体ディスカッション
11:30/終了

◇日中専門家会議 第二部
【日 時】 2009年2月23日(月) 9:00~12:15
【場 所】 立命館大学衣笠キャンパス 国際平和ミュージアム 中野記念ホール
■セッション3  テーマ:和階社会構築
9:00~9:40/
  植田和弘(京都大学教授)
   「持続可能な低炭素社会:中国と日本」
  金 佩華(浙江省湖州市市長助役・浙江大学教授)
9:40~9:50/セッション3 質疑応答

■セッション4 テーマ:安心安全農業
9:50~11:10/
  楊 建明(浙江省湖州市農業局局長)
  春名 攻(立命館大学教授)
   「安心安全農業生産システム」
  張 英(浙江大学生物システム工程と食品科学学院教授)
  大崎 満(北海道大学教授)
11:10~11:25/セッション4 質疑応答
11:25~11:35/休憩
11:35~12:15/全体ディスカッション
12:15/終了

◇日中若手研究会
【日 時】 2009年2月23日(月)14:00~18:40
【場 所】 立命館大学衣笠キャンパス 国際平和ミュージアム 中野記念ホール
14:00~15:40/研究発表(1)
15:40~15:50/休憩
15:50~17:10/研究発表(2)
17:10~17:40/全体ディスカッション
17:40/終了

【若手研究会・発表者】
○平松あい(東京大学IR3S 特任 助教)/「アジアの都市農村混在地域におけるバイオマス有 効利用-タイとフィリピンを中心に-」  
○峯元高志(立命館大学理工学部講師)/「太陽電池の発電評価と有効利用法」 
○大西学(立命館大学 R-GIRO研究員)/「竹のCDM化にむけての制度設計」
○佐和達児(RCS/立命館大学IR3S研究員)/「戦後日本発展史の中に見る『社会の調和』とは」
○津田和俊(大阪大学 環境省PJ(Hc-084)特任研究員)/「低炭素社会に向けた都市・農村地域連携の枠組み」
○厳力蛟(浙江大学生態計画と景観設計研究所所長)/「浙江省におけるグリーンツーリズム開発の必要性、条件と原則」
○袁康培(浙江大学生命科学学院副教授)/「Aspergillus awamori Y8木聚糖酵素の酵素学特性及び飼料においての応用」
○陸勝勇(浙江大学熱エネルギー工程研究所副教授)/「汚水汚泥の燃焼処理技術に関する研究」
○黄凌霞(浙江大学動物科学学院ポストドクター)/「異なる品種の桑葉の葉緑素値とスペクトル特徴の検出に関する研究」

6.これまでの取り組み・到達点

 経済、環境と社会の調和が取れる「調和社会」の構築に関する研究は、典型的な学際・複合領域で、サステイナビリティ学のアジア版である。立命館サステイナビリティ学研究センター(RCS)では、2007年1月の設立以来2年が経過し、この間、各種プロジェクトの申請や採択、各種イベントの開催、またメンバー各位の個別研究や共同研究の推進など、多面的な活動を展開し、多くの実績を蓄積してきた。特にRCSはサステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)の協力機関として、アジア地域、とりわけ中国との共同研究や人材育成などにおける連携強化と実績を一つの特徴にした立命館大学独自の取組みを推進してきた。

 また、立命館大学は浙江大学・湖州市政府など中国の多くの大学と地方自治体との間で信頼関係が醸成され、サステイナビリティ学の実証的研究として「和諧社会総合モデル事業、日中低炭素社会モデル事業、日中安全安心農業団地構想」(総称:湖州プロジェクト)を推進し、種々の研究交流や共同シンポジウムの開催など、密度の濃い国際連携を積み重ねてきた。

7.今後の取り組み

 これまで、国際情勢に沿った多くの研究活動やイベントを行い、日中交流や連携の輪は広がったものの、より高度で具体的な成果が求められる段階になってきている。
 今後の取組みについては、イベントの企画・実施と共に、目に見える確かな研究成果をあげる点に注力していく。
 このたびの、経済産業大臣・二階俊博 氏の特別講演の実現が、今後の研究成果を出す上で大きな励みとなり、産官学の連携を通じて、持続可能な社会実現にむけ、立命館大学全体における文理融合と分野横断的な展開は大きな節目として位置付ける必要があると考えている。

▼本件に関する問い合わせ先
 立命館サステイナビリティ学研究センター(RCS)
 (担当:栗山、梁(やん))
 〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1
 TEL: 075-465-8319
 FAX: 075-465-8245
 E-mail: rcs-info@st.ritsumei.ac.jp