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大教室、多人数で“高校生から大学生に変身させる授業” ~ 『大学での創造的学び』──日本工業大学の初年次教育

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ゆうに250名はいる大教室に入ると学生がペンを走らせる音だけが聞こえてくる。日本工業大学(埼玉県宮代町)での初年次教育科目である『大学での創造的学び』は、あえて大教室で多人数での授業設定をしている。

 高校を卒業したばかりの一年生は、4月には受け身の姿勢である。先生の書いた黒板をまじめに写して、与えられた課題をこなしていればなんとかなると思っている。その学生が夏を迎えるころには、大教室の中で手を挙げ、発言し、教室全体で協力して集中して講義を聴くようになる。そんな学生にどのようにしてなったか、そのキーワードは「思いやりある不親切さ」である。

 この授業は学修支援センターの教員スタッフが中心になって授業運営している。同センターでは一年生全員の出欠調査などを行っているが、本授業でも連続欠席者がいるとスタッフが呼びかけ、面談などをし、履修取り下げなのか、授業で何か納得がいかないことがあるのか、などを学生と話し合う。背景にはセンターのこの丁寧さがある。
 
 一方、授業では教員はあえて憎まれ役をかってで、不親切な授業をする。ただまじめに授業に出席している学生を、積極的に取り組める学生に変化させ、「先生に教えてもらう」気持ちから「自分でなんとか学ぼう」とする姿勢に変化させるためである。大教室にもかかわらずパワーポイントも配布教材も配らない、できるかぎり口頭で伝える。その言葉だけを手かがりに学生はノートを作り、自分の考えを綴るということを繰り返していく。常識の範囲で何が可能で、何をしたらいいかの選択肢を考えるという体験を通じて、社会に出てから「指示待ち」にならない人間が育っていく。

 身につけることは、授業で集中するというようなマナーから、どういう時に人に助けを求めたらいいのかまで、社会の中での「生きる力」を初年次教育科目で学びながら身につけるという授業である。一度、のぞいてみていただきたい。いつでも授業公開している。

▼本件に関するお問い合わせ先
 日本工業大学 広報室
 TEL:0480-34-4111(代表)
 E-mail:kouhou@nit.ac.jp
 http://www.nit.ac.jp

442 授業中の様子(日本工業大学)