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立命館大学ベンチャー・ビジネス・コミュニティ(VBC)――産官学による日野町地域活性化プロジェクト 建築組合 Version 学生目線のオーダーメイド。職人の生み出す価値とは

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立命館大学ベンチャー・ビジネス・コミュニティ(VBC)は日野町商工会と協力し、産官学連携による「日野町地域活性化プロジェクト」を展開している。その活動の一環として、このたび滋賀県蒲生郡の日野町建築組合のホームページを作成。地場産業の職人一人ひとりに学生が取材を行い、学生目線によるオーダーメイドのホームページを完成させ、職人の生み出す「新たな価値」を創造していく。

立命館大学ベンチャー・ビジネス・コミュニティ(VBC)
 産官学による日野町地域活性化プロジェクト 建築組合 Version 学生目線のオーダーメイド。職人の生み出す価値とは

1.立命館大学ベンチャー・ビジネス・コミュニティ(VBC)について

○概  要
・名 称: 立命館大学ベンチャービジネスコミュニティ(VBC)
・設立年月日: 2000年5月
・構成員: 18人
  経営学部 14名
  経済学部 2名
  理工学部 2名
・顧 問: 黒木正樹(経営学部教授)
・目 的: 学生のアントレプレナーシップを養成し、その上で各々が持つ「想い」や「経験」を相互に交換し合い、それをさらに成長させるための基盤構築として活動している。
・活動範囲: 「ビジネス」を切り口にした様々な活動を行っている。立命館大学BKCキャンパスを拠点とした関西一区で活動している。
・活動内容: 「勉強会」「講演会企画」「インターンシップ」「新商品企画」などを個人又はチームで取り組む。
・名称由来: アントレプレナーシップを養成する「場」として個々のメンバーが切磋琢磨する役割を目指したもの。
 
○VBC設立の背景
 近年、わが国ではベンチャー企業育成のための産業政策が盛んに行われている。立命館大学ベンチャー・ビジネス・コミュニティ(VBC)は、2000年5月、立命館大学の全学生を対象としたアントレプレナークラブとして出発した。当時は、大学が社会から必要とされている「教育」と「研究」の双方を産業界に発信していくためのプラットフォーム構築を目的として活動していた。
 大学の産学連携事業の重要性が年々高まる中、学生が大学の正課授業を通して習得した知識と学生ならではのアイデアや視点から、ビジネスを切り口とした研究活動を通して、実社会へ成果を還元していくべく、VBCと改称してからは、学外にて精力的に活動を広げている。

2.VBC具体的な活動内容

▼勉強会
 学生が主体となりメンバー間で知識を共有しながら行う勉強会と、商工会議所などの外部機関が開催している勉強会に参加する。どちらも、自らが運営・参加する目的を持ち、主体的に学ぶことを軸としている。

▼講演会企画
 立命館大学の学生を対象に企画している。VBCの活動について周知してもらい、多くの学生に「アントレプレナーシップ」について興味・関心をもってもらうために開催している。民間企業の経営者の方々をお招きし、新入生・在学生に向けた講演を定期的に実施している。

▼インターンシップ
 実社会で通用するスキルやノウハウを身につけるため、ビジネスの実践を学ぶ。自ら企画するインターンシップ、大学が提供するインターンシップに積極的に参加する。

▼新商品企画
 民間企業との連携の基に成り立っている活動である。大学での正課授業で習得した知識とこれまでのVBCの活動の蓄積としてデータベース化している情報、メンバー同士のアイデアを討議して企業へ提案を繰り返し、確立していく。新商品の共同企画をする際には、会社概要の資料や当該企業へのヒアリング情報を基に企業分析を実施し、強み・弱みや将来性などの特徴を認識した上で、新商品のコンセプト作りから始めている。定期的に企業へプレゼンテーションを実施し、企業の意向とマッチングしていることを随時確認して進めている。企業の方々からの依頼内容にきめ細かく応えられるよう、実地調査を頻繁に行い、また、キャンパス内で学生の意見を取り入れるためアンケート調査を実施するなどして、広い視野を持って提案することを念頭においている。

3.日野町商工会との地域活性化プロジェクトについて

▼日野町商工会概要
 昭和35年8月に「商工会の組織等に関する法律」の施行により607名をもって日野町商工会が設立された。その後、経営改善の普及として、金融、税務、経営、労務指導をはじめ、地域活性化を図るため、地域振興事業の実施に貢献してきた。現在会員数600名。経営革新事業の推進や日野菜中心とした特産品づくりや販売に傾注している。

・事業内容: 経営改善普及事業並びに地域振興事業の推進
・社 名: 日野町商工会
・代表者: 会長 岸村嘉平
・本社所在地: 滋賀県蒲生郡日野町河原一丁目1番地
 TEL: 0748-52-0515
 FAX: 0748-53-1859
・創 業: 1960年10月25日
・従業員数: 8名

▼共同企画プロジェクト設立の経緯
 以前より、黒木正樹・立命館大学経営学部教授、井本亨・立命館大学経営学部講師は、日野町商工会と「日野町商工会再生プロジェクト委員会」という委員会のメンバーとして係わりを持っていた。当委員会において、学生との共同プロジェクトの可能性について論議を交わし、藤岡辰美・日野町商工会経営指導員より「学生による建築組合のホームページ作成」という提案を受けた。これを受けて、日野町の活性化に役立てればという想いから受け手となる学生を、これまで数々の実績を積んできたVBCメンバーが選出された。
 こうしてVBCのメンバーである2回生の西田亮介を中心として、地域活性に興味を持っているVBC1回生メンバー4名とホームページ作成に長けた4回生の加藤伸哉をプロジェクトメンバーとしてチームが発足した。

▼立命館大学生との共同プロジェクトの意義
 現在日本では、学生と企業・地方自治体が一丸となってプロジェクトを運営し成功を目指す姿があらゆる場面でみられる。このたびの「産官学による日野町地域活性化プロジェクト建築組合Version 学生目線のオーダーメイド。職人の生み出す価値とは」における意義は、地方事業所・職人、地方自治体、学生という「産官学」という新しい構成で、地域活性という現在様々な地域で取りざたされている課題に対して行動を起こすことにある。

▼日野町商工会建築組合からの期待
 子どもの頃からパソコンやゲームにふれ、インターネットを利用する機会の多い情報化社会に育っている学生にとって、オリジナリティ溢れるホームページを作ることは得意なのだろうと期待していた。また、ホームページを作るためには、技術力、デザイン力、表現力、情報収集力・伝達力、経営視点などが求められるが、経営を学びながら実践をもするVBCの学生は、多くのものをもっていると感じている。

▼これまでの活動内容
2008年12月11日 ヒアリングおよびホームページ作成についての勉強会
2008年12月16日 日野町事業所に対するヒアリング作業
2009年12月19日~12月26日 ヒアリング内容の文章化・データ化作業
2009年2月1日~2月16日 ホームページ作成作業

4.プロジェクト成果物概要

・タイトル: 「日野町商工会建築組合ホームページ」
・商品内容: 日野町商工会建築組合の組合員である各事業所の紹介用ページ
 ( http://www.rmc.ne.jp/hino-net/ )
・掲載期間: 2009年3月12日~
・主なターゲット層: 日野町周辺において住宅の新築およびリフォームを考えている方々
・コンセプト: 確かな技術を持つ日野の職人さんを紹介し、閲覧者に信頼と安心を提供する

▼日野町商工会建築組合からの感想
 14事業所に参加して頂き、その違いを出すのは難しいと感じていたが、それぞれに特徴をつかんでキャッチコピーや文書により表現されたことは、非常によかったと感じている。また、第三者である学生自身のコメントは事業者にとってもセールスポイントとなると考えており、非常に有難かった。
 今回のプロジェクトは何もないところからの作成であり、加えて短時間のヒアリングでそれぞれの良さが表現され、さすがだと期待以上の出来上がりに感心した。

5.今後の活動予定

▼日野町建築組合応援計画
 今回のホームページ作成プロジェクトを一過性のものとして終わらせず、今後も日野町商工会建築組合の方々とのつながりを大切にしたいと考えている。
 特に、今後ホームページの維持が最も重要かつ大変なので、その点を学生が請け負いたいと考えている。単純に与えられた情報を学生がアップデートするのではなく、学生が企画したコンテンツの付加や、職人の方への継続的な取材などによる積極的かつアイデアの溢れる更新活動を目指したいと考えている。
 また、ホームページだけにとらわれず、日野町の方々と触れ合う機会を増やすため、モデルハウスを利用したイベントや職人訪問など、地域の方が参画できるイベントを開催していきたいと考えている。

▼日野町活性化計画
 今後は連携していく組織を、日野町商工会建築組合だけでなく、他の分野・他の組合にも広げていきたいと考えている。学生にアンケート調査を実施して、新たなイベントを企画するなど、学生視点を用いて、日野町を再発見することができるのではないかと考えている。
 日野菜やブルーメの丘など、すでにある日野町の特徴を従来とは異なる角度から情報発信を行い、新たな発想を日野町に吹き込むことができれば幸いであると考える。

▼近隣町村活性化計画
 今回の日野町のプロジェクトをモデルケースとして、この取り組みを立命館大学の近隣の町村にも広めていきたいと考えている。そして、このような地域活性のプロジェクトは立命館大学VBCのメンバーの地元地域を活性化したいという想いを実現し、ひいては生涯忘れえぬプロジェクトとして自己実現の場になるのではないかと考えている。これらは立命館大学、連携した町村の飛躍につながるのではないかと考えている。

▼今後の活動について(日野町商工会から)
 ホームページを作成するということは、事業者へのヒアリングだけでなく、事業者の経営方針やその内側まで立ち入っての把握が必要であると考える。本プロジェクトを通して、事業所は学生から「気づき」や「アドバイス」につながるものを得られたと考えている。建築組合参加事業所からは、興味がわいたこともあり、更新やコンテンツの増量を希望したいという問い合わせが増えており、今後もこういった関係で産学の活動が続けば幸いであると感じている。