麗澤大学

麗澤大学が「モラル」を学問的に取り上げる新たな試み──学生と共同で『大学生のための道徳教科書─君はどう生きるか?─』完成

大学ニュース  /  教育カリキュラム

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麗澤大学は開学50周年を迎え、記念事業が目白押しだが、4月1日には教養教育のコア科目「道徳科学」の教科書、『大学生のための道徳教科書─君はどう生きるか?─』(道徳科学教育センター・著)が完成した。倫理学、宗教学について論じたテキストは多いが、モラルそのものを学問的に真正面から取り上げた教科書は珍しく、大学教育における「斬新的な試み」として注目を集めている。

 一般に、大学のテキストといえば、大学教員が執筆するものと決まっている。特に「モラル」がテーマとなると、えてして上からの目線による、一方通行的な“お説教”になりがちだ。しかし、麗澤大学(千葉県柏市)道徳科学教育センターが編集した教養教育コア科目「道徳科学」の教科書、『大学生のための道徳教科書─君はどう生きるか?─』では、「学生の視点」をできるだけ取り入れ、教条的な修身書にならないよう留意している。

 制作に当たっては、コア科目「道徳科学」を受講した学生の中からモニターを募集。彼らをグループに分け、すでに使われていた教科書『道徳科学へのいざない』(平成20年度)の担当箇所を割り当てた。ワークショップでは、それぞれのグループごとに教員がはりつき、内容はもとより、仔細な表現に至るまで、問題点や疑問点などを徹底的に検証した。
 いずれのワークショップも、まとまった十分な時間が必要だったため、授業のない日が充てられた。1日がかりの大きな“知的作業”となったが、参加した学生たちは「いつものミーティングとは違う知的刺激と充実感を満喫できた」と好評だったという。

 2月中旬に行われた最後のワークショップでは、新教科書の初校を再検討するため、群馬県みなかみ町の麗澤大学谷川セミナーハウスで1泊2日の合宿を実施した。セミナーハウスには、病弱だった創立者廣池千九郎が、「万人を肉体の病気から守りたい」という一念で昭和12年に開設した名湯もある。創立者の建学の理念や道徳思想に触れつつ、知的作業を行うにはまさに申し分のない環境のもと、教師と学生の「コラボレーション」の成果ができあがった(合宿の模様については http://cmse.reitaku-u.ac.jp/ を参照)。

 道徳科学教育センターを活動拠点とする同大の試みは、本書の上梓をもって終わるわけではない。本書は「理論編」であり、これに続く形で、大学生のための「道徳実践編」のテキストが作れないか、早くも検討が進められている。
 とりわけ同大では、授業以外にも寮長セミナーやリーダーセミナーなどの学生支援活動、キャンパス内外での課外活動、地域社会との連携、留学制度など、さまざまな自己発見・自己啓発の機会が提供されている。それらの実体験をモラルの視点で見直し、意味づけることも可能だ。また、今回の教科書の執筆では「道徳科学」を担当する教員が中心となっているが、大学教育がグローバル化への対応を求められている現在、麗澤と同じように道徳教育に力を入れている海外の大学と共同で、国際的な視点を積極的に盛り込んだテキスト作りに挑戦してはどうかなど、同センターの夢と構想はさらに膨らんでいる。

▼本件に関する問い合わせ先
 麗澤大学 企画部広報室
 〒277-8686 千葉県柏市光ヶ丘2-1-1
 TEL: 04-7173-3030
 FAX: 04-7173-3585
 E-mail: koho@reitaku-u.ac.jp
 http://www.reitaku-u.ac.jp/

522 『大学生のための道徳教科書─君はどう生きるか?─』