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2005年3月より、黒澤プロダクション(横浜市緑区:代表取締役 黒澤久雄)と龍谷大学(京都市伏見区:学長 若原道昭)が共同で取り組んできた、黒澤明監督の直筆シナリオをはじめとする資料のデジタルアーカイブ化がこのたび完成し、龍谷大学Webサイト上で公開を始めた。
2005年3月より、株式会社黒澤プロダクションと龍谷大学(京都市伏見区:学長 若原道昭)が共同し、取り組んできた黒澤明監督の直筆シナリオをはじめとする資料のデジタルアーカイブ化がこのたび、完成した。これにより、世界的に著名な映画監督である黒澤明氏の直筆シナリオをはじめ撮影現場での写真や台本、今までに公開されていなかった創作ノートや直筆メモなど多数の貴重な資料や画像の管理、保管、利活用を行うことが可能となる。
これまで、黒澤明監督の写真や台本などの映画関連資料は、数々の放送番組や、黒澤明関連のイベント、また、教育関連等において現物の貸出による利用がなされていたが、その度に起こる現物の損傷、劣化、紛失などが大きな問題となっていた。
これらの貴重な映画関連資産が高精細デジタルデータとしてアーカイブ化がなされたことにより、直筆の原稿等ではその筆の運びの勢いまで確認することが可能であり、副次的な成果として原稿を書いたときの監督の様子や心情までもが伺え、デジタル化されたデータの利用価値は非常に高いものとなる。
また、膨大な量の黒澤明監督の貴重な映画関連資産は、非常に高い価値を有しており映画館関係者の研究材料や、今後の映画界の若手人材育成においても有益な情報となる。
今回、最新技術によるアーカイブ化されたコンテンツの提供が可能になったことにより、貴重な原典資料を損傷、劣化等から保護出来るとともに、インターネットで資料を公開していくことにより幅広く色々な方や様々な分野で活用していくことが可能となった。
今後、株式会社黒澤プロダクションと龍谷大学の両者は、一人の偉大な芸術家のデジタル資料を単なるデジタルデータではなく、新たな知的財産と位置づけ、学術資料として教育研究の場で活用して行くとともに、映画界ことに若手映画人の育成の現場で活かされることが可能となることを目指す。
■デジタルアーカイブ化総点数27,431点
今回アーカイブ化された資料は、未公開の資料も含め株式会社黒澤プロダクションが保有する資料27,431点で、その内、写真7,692枚、台本10,868枚、創作ノート1,482枚、直筆メモ2,747枚、その他関連資料類4,642点にのぼる。
■最新のデジタルアーカイブ化技術を採用
デジタルアーカイブ化を担当した龍谷大学は、これまでにも世界的に貴重な歴史資料である古典籍やシルクロード関連の学術資料の原典を、デジタルアーカイブ化する高い技術と実績を有している。今回のデジタル化においても壁画復元の色彩処理に用いる様々な最新手法(「領域分割※」や「時間軸解析※」)等を用い、最先端のアーカイブを構築した。
この技術を用いることで、メディア・コンバージェンス※を見据え、静的シナリオに動画データ化した映像を組み合わせ、シナリオを読みながら完成している映画のそのシナリオに書かれたシーンを一緒に観るなど、シナリオが最終的にどの様に変わったかなどを同時に確認出来るようになった。また、デジタルデータならではの手法として、原典に関わる様々な情報を付加した撮影条件などの詳細データを作成している。
※メディア・コンバージェンス: 複数のメディアを有機的に結びつけること。
※領域分割: 同一コンテンツ内にある複数のモチーフをモチーフ毎に分けて解析する手法。
※時間軸解析: 領域分割をさらに進めた解析で時間軸を縦に積み重ねることにより特定の動きに対する物理量を解析する手法。
■龍谷大学 古典籍デジタルアーカイブ研究センターについて
龍谷大学は、寫字台(しゃじだい)文庫や大谷文書といった古典籍、長尾文庫などの社会科学関連の貴重資料、大谷探検隊の将来品など、世界的な文化遺産を有している。これらを整理分類・保存し、永く後世に伝承することは本学に課せられた課題である。
古典籍デジタルアーカイブ研究センターは、このような本学所蔵品の原典情報を、最先端の電子技術を利用し、超高精細デジタル画像に変換し、整理・分類した上で、必要によりインターネットなどで公開するシステムを研究する。
文部科学省学術フロンティア推進事業(2001-2008年)、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(2009年-2011年)に採択された、本学の独自性を活かした高度先端科学技術研究事業。
http://www.ryukoku.ac.jp/kenkyu/kenkyu_soshiki/digital.html
■黒澤デジタルアーカイブデータベース
http://www.afc.ryukoku.ac.jp/Komon/kurosawa/index.html
▼本件に関する問い合わせ先
・株式会社黒澤プロダクション 〈担当:熊田〉
TEL: 045-922-0850 (直通)
・龍谷大学 研究部 (深草) 〈担当:河村〉
TEL: 090-1711-6614 (直通)
・龍谷大学 学長室 (広報) 〈担当:篠田〉
TEL: 075-645-7882 (直通)
【写真説明】
◎ 若原道昭学長(左)と黒澤久雄社長(右):
黒澤社長: 「(黒澤明監督が)どう考えて映画の制作に至ったのかがわかる貴重な資料。映画に携わる人の勉強材料にしてほしい」
若原学長: 「単なるデジタルデータではなく、新たな知的財産として教育の現場で活用したい」
◎ 岡田古典籍デジタルアーカイブ研究センター長:
「日本映画で、これほど詳しい情報をアーカイブしたのは初めてではないか」
大学・学校情報 |
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大学・学校名 龍谷大学 |
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URL https://www.ryukoku.ac.jp |
住所 京都市伏見区深草塚本町67 |
龍谷大学は、1639年に京都・西本願寺に設けられた「学寮」に始まる10学部、1短期大学部、11研究科を擁する総合大学です。私たちは、「自省利他」を行動哲学として、地球規模で広がる課題に立ち向かい、社会の新しい可能性の追求に力を尽くしていきます。 |
学長(学校長) 安藤 徹 |